まずは元記事です。

放射線量高めの新潟県山間部…地質が影響?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111017-00000302-yomidr-soci

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、文部科学省が新潟県の上空で行った放射線量調査で、村上市や魚沼市などの山間部でやや高めの線量が測定された。

 放射性物質を含む花こう岩が多くある地域と重なるため、県は「福島第一原発の事故の影響とは言い切れない」としているが、念のため独自に追加調査を行っている。

 文科省の調査は8月30日~9月23日に実施。ヘリコプターで高度150~300メートルを飛び、上空の空間放射線量を測った。その実測値を基に、地表1メートルの空間放射線量などを推測した結果、大半の地域は毎時0・1マイクロ・シーベルト以下で、事故前の通常の測定範囲(毎時0・016~0・16マイクロ・シーベルト)に収まった。

 ただ、村上、新発田、魚沼、南魚沼の各市、阿賀、湯沢両町などでは、山間部で0・1~0・2マイクロ・シーベルトの地域が多かった。五泉市と阿賀町の境界、魚沼市の群馬県境などには、0・2~0・5マイクロ・シーベルトの地域もまだら状に存在していた。局所的だが、南魚沼市で0・63マイクロ・シーベルト、関川村で0・62マイクロ・シーベルトとなった地点もあった。

 毎時0・2マイクロ・シーベルトを超える地域は、計算上、被曝(ひばく)量が年間1ミリ・シーベルトを超え、環境省が定めた除染対象となる。

 しかし、これらの地域は花こう岩の分布域と重なっている。県が調査結果の評価を依頼した工藤久昭・新潟大教授は、「空間線量は、花こう岩などの天然放射性物質を含む地質による影響で高くなることもあり、すべてが福島第一原発事故による影響ではない」と指摘する。

 実際、新発田市山間部の線量が高い地域で、県と市が13、14の両日に行った調査では、内の倉川の脇の山腹で花こう岩がむき出しになった場所で、カリウム40など天然の放射性物質が見つかった。線量を測ったところ、ごく一部で比較的高い毎時1・5マイクロ・シーベルトを測定した。

 また、文科省が出した地表1メートルの線量は推測値のため、かなりの誤差が生じている可能性もあるという。このため、県は独自の追加調査を実施し、その結果を公表する。具体的には、村上、魚沼、南魚沼の各市と湯沢町などで、線量の測定ができる車を使って地表1メートルの線量を実測するほか、農地などに含まれる放射性セシウムの量も調べる予定。



実際の測定法は文科省の報告書に書いてあります
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/10/17485.pdf

3.当該モニタリングの結果

○別紙 2~4 及び 6~8 の新潟県及び秋田県内の地表面へのセシウム 134、137 の沈着状況の結果は、今回の航空機モニタリングの結果、及び平成 23 年度科学技術戦略推進費「放射性物質による環境影響への対策基盤の確立」『放射性物質の分布状況等に関する調査研究』において、日本分析センターが実施した、ゲルマニウム半導体検出器を用いた in-situ 測定の結果と空間線量率の相関関係をもとに算出した。なお、放射性セシウムの沈着量の算出にあたっては、測定された空間線量率の値から地中に含まれた天然核種による空間線量率への寄与分の全国平均値を除いた上で算出しているが、一部の地域では、全国平均に比べて天然核種の空間線量率への寄与分が高い箇所が広範囲に確認されたため、周辺に比べて、空間線量率は比較的高いものの、放射性セシウムの沈着量が低くなっている箇所が生じた

文科省の測定方法は、セシウム134とセシウム137をきちんと見分けられる「ガンマ線スペクトメトリー」という方法です。
(参考)http://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/index.html


ちょっと複雑な図が「ビニールシート上に降下してきたほこりなどを採取した試料から放出された放射線のエネルギースペクトル」というタイトルで掲載されていますが、よくご覧になると、セシウム134、セシウム137と、天然放射性物質のカリウム40ははっきり区別できているのがわかるかと思います。

ちょっと専門的にいうなら、セシウム134、セシウム137、カリウム40は放出するガンマ線のエネルギーが異なり、この図では、カリウム40はガンマ線のエネルギーが高いのでセシウムよりかなり右側に現れています(なお、ウランが検出されたら、ガンマ線のエネルギーは低いのでグラフの左側に出るはずです)

これだけ明確にカリウム40とセシウムを区別できている方法で測定しているのに、両者を混同するなどあり得ません。

地質が空間線量に影響することは、日本では秋芳洞などでよく知られら事実ですし、土壌を実際に採取し、放射性物質の量を測定することは、農業のためにも大変重要なことでしょうが、航空モニタリングの結果を自然放射性物質のせいにするのは明らかに都合のよすぎる解釈だと思います

それに、文科省は「空間線量率は比較的高いものの、放射性セシウムの沈着量が低くなっている箇所が生じた。」といっているのに、県では「いや、村上市などの秋田県境ではセシウムの沈着量が実際より高く出ている」と言いたいわけでしょ?



また、元記事の最後に書いてある「文科省が出した地表1メートルの線量は推測値のため、かなりの誤差が生じている可能性もある」というのが本当なら、文科省は全く不適切な方法で数ヶ月と何十億円もの税金を使って使えないマップを作ったことになります。何のためのマップだかわからなくなりますねショック!


この件に関しては、新潟県が大学教授まで持ち出して、都合のよい解釈をしたと考えざるを得ません。
住んでいる人だけでなく、新潟のお米を食べる全国の人の健康に関わることですから、いくら魚沼地区が高度汚染されていると判明したからといって、くれぐれも土壌汚染を過小評価をすることがないようにしてほしいです。モニタリングの結果が実態と違うというなら、第三者に実際に測定してもらってからにしてください。





一応汚染地図ね

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