ディオとレダの旅が、生が終わりました。そして新たな王が……。
・キャシャーンvsディオ
キャシャーンとディオの戦いが続きます。
キャシャーンは、ボロボロになりながらも必死で食い下がってくるディオの姿に対して
「今、この戦いに意味はある。戦うことでディオは生きている。そして、僕も……」
と、何かを感じたようです。
最終的に、2人の最後の一撃がお互いを討ちます。
キャシャーンの攻撃はディオの顔の肉を一部削いで逸れて、
ディオの攻撃はキャシャーンの腹に突き刺さりました。
しかしディオはキャシャーンに止めを刺すことなく、
「キャシャーンに……勝った」と満足げな笑みを浮かべて攻撃をやめるのでした。
宿命の対決としては、今回のバトルはどうも激しさの演出が足りなかった気もします。
なんだか不完全燃焼で終わってしまって、「キャシャーンに勝った」というディオの言葉が自己満足に聞こえてしまう。
実際、自己満足ではあるのですが。
序盤の戦闘描写では、ロボットの臓物をぶち撒けるキャシャーンの動きが残酷でありながらも美しかったのですが、どうもバトル描写は終盤になって失速してきた気がします。
・捨てられたレダ
前回過剰な癒しを与えられたレダは、なぜかスクラップ置き場のようなところに横たわっていました。
どうやら滅びもまだ止まっていない様子。
ルナの部下が運んできて、捨てたようです。
彼女は「おお、よしよし」と空ろな目で赤ん坊をあやすような仕草をしていましたが、やがて正気を取り戻します。
そこに隠れていたリンゴが近づきますが、レダはリンゴに対して怯えたような態度を見せ、その場を去ってしまうのでした。
かつてレダが授かろうとした新しい命。
それとリンゴとは、何か関係があるのかもしれません。
・ルナの狂気
レダはルナに対して怒りを燃やし、ルナを殺しに行きますが、逆にルナは天使のような笑みを浮かべたまま、地面に落ちていた大剣の刃でレダの腹を貫くのでした。
どうもこのあたりのやりとりが、よくわからないのですが。
ルナの言葉を聞く限り、どうも癒しを与える能力は嘘ではないようです。
なのになぜ滅びが止まらなかったのか、なぜ腹の傷は致命傷になるのか。
さすがに説明不足過ぎてよくわからないのですが、どうもわからないまま終りそうな感じです。
まーとにかく、ルナが与えた癒しには何か問題があって、レダがクレームつけにいったんですね。
・燃える命
そこへキャシャーンがやってきました。
ディオに、「レダを助けてやってくれ」と言われたとのこと。
レダはその言葉を聞いて、ふらふらとディオを探しに行くのでした。
ルナはキャシャーンに、滅びゆく者の醜さや愚かしさがよくわかっただろうと呼びかけます。
そして、生に溢れるキャシャーンこそ王にふさわしい。自分と一緒に永遠の王国を作ろうと誘うのでした。
しかしキャシャーンは、ここにはただ命だけがあって、誰も生きていないのだと切り捨てます。
ディオや、これまでに会ってきたロボットたちのことを想起しながら、キャシャーンは呟きます。
「彼らはもっと……燃えるようだった。命を燃やしていた」と。
自分には死がない代わりに、彼らのような生もない。
そして自分が戦ってきた意味も、ここにはない。
キャシャーンは空しさを噛み締めながら、去っていくのでした。
リューズもリンゴも、それについていきます。
ルナの癒しを受けることなく、命を燃やし続けるために。
・ディオとレダ
ディオの死骸を見つけたレダはそれに寄り添い、2人はそのまま朽ちていったのでした。
キャシャーンを倒す。永遠の命と美貌、子供を手に入れる。
それぞれの目的のためにお互いを利用しあっていただけの2人でしたが、結局、2人の生はその目的のためにあったのでなく、一緒に過ごした時間にこそあったような気がしますね。
・王
「滅びを止めにきた」
ルナのもとへ次に訪れたのは、巨大な体を持つ男。
……ブライキングボスです。
「待っていました。私と一緒に、永遠の王国を」
かつてはルナを殺させたブライキングボスですが、今度は何を考えてルナに近づいてきたのか。
ブライキングボスは戦いの絶えない時代を築きながらも、死んだ者に対して墓だけは常に作り続けてきました。
そして、モウ誰の墓も作らないと決めたといいます。
となると彼の目的は文字通り永遠の王国。
かつてと同じように、全てのロボットが永遠の命を持つ世界なのでしょう。
死に耐えられなくなった、孤独な王。
彼の目的とキャシャーン達の死生観は、相容れない。
次回、ブライキングボスは再び王となってキャシャーンの前に立ちはだかるのでしょうか。
だとすると、キャシャーン達の死生観だけを根拠に彼を倒して、滅びを継続させるということになってしまいます。
生を渇望するロボットが世界中にいるというのに、そんなことをしてしまってもいいのか。
もしかすると、それがこのアニメで最後に描かれるSin、罪なのかもしれません。