インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日 | 個人的読書

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日/中村 安希

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「インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日」
中村安希・著
集英社・出版

『ユーラシア、アフリカ大陸横断』

 本書は、一人の何の権力も財力もない女性が
(地の文中、そういう表現がある)
ユーラシアとアフリカ大陸を横断した旅行記です。
そして、「開高健ノンフィクション賞」を受賞。

 とにかく、全編すごい。

 旅行を完遂するため、偽装結婚すること一度ならずも二度、
しかもその相手も行きずりの韓国人男性。
 旅行というより、ちょっとした冒険で、
アフリカでの荷台にひたすらしがみつくトラックの旅など、
まさに冒険小説顔負けです。

 世界を知るための冒険としてというより、
読んでみるとそんなおもしろさより、考えさせられることいっぱいでした。
 場所柄、ボランティアのNGOの方などとご一緒されるのですが、
現地の人のための本当に必要とされる援助とは?とか。
 貧困とは、都会にのみ存在するとか、、、。
また、キラキラおめめの子供たちとのふれあい。
(子供たちの純粋すぎる質問に爆笑)
これが、地球としてでなく、人の存在する世界を知るということなんだろうか、と
一歩も動かず、ページを繰っているだけなのに思いました。

 世界の多様性、複雑さを主に描いている(だって、まさに大陸の端から端)
わけですが、逆に、人間と言う意味でその同一性というか、シンプルさを
感じた気もします。
 どこでも人は生きていけるし、人として根本的なところは同じなんだと。
なんかわからないけど、そういう芯の強さも感じました。
旅行記ってあまり読みなれていないのだけれど、
 最近読んだノンフィクションの中でも、かなりのヘビー級の一冊でした。

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