進化の設計者 | 個人的読書

進化の設計者

進化の設計者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)/林 譲治
¥1,785
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「進化の設計者」
林譲治・著
早川書房・出版/ハヤカワSFシリーズJコレクション


『けっこう怖い、パニック系』


 林譲治さんはですね「ウロボロスの波動」もずーっと読みたいと思っていたのだけれど、
新しいこちらから。
 時代設定は、2036年、人類は、小型ウェラブルPCを開発ユビキタス社会を実現しています。
が、地球規模での気候変動、北海道に大型台風が上陸したりしています。
関西では、ジャーナリストが行方不明と猫の集団が、、、又、スマトラ沖での原人化石発掘でも行方不明者が、、、
そして、謎の優生学的思想をもつユーレカと呼ばれる集団が暗躍しており、、、。
 
 SFなのですが、複数の視点で描いた、パニック系のSFです。
けっこう個々の事象は怖かったりします。

 又これ、ガンダムのボールみたいな小型深海潜水船(機!?)が活躍する、海洋冒険SFでもあります。
この小型潜水船、ガンダムではシャアがジオングに登場する際に(非地上では)足なんていらないんです。
って技術系の士官に言われていましたが、こちらの小型潜水船は足が重要な要素になっています。


 タイトルから推測し、又、同時多発的に起こることから、大きな枠組みが説明されるんだろうな、、と
思っていたのですが、それは、ちょっと、、、、、、でした。
最後の盛り上がりは、また海洋冒険SFで締めくくられて、ちょっと誤魔化された観があります。
 まぁ、大きく風呂敷を広げる作品は、SFの殆どですが、それをきちっとたたもうとして、たためるいや、
たためた作品は、5年か、10年に一度の名作、傑作になるので、
しょうがないっす。


 これ、早川のムック「SFが読みたい」では、「鯨の王」より高順位だったのですが、
SFとしては、上でもいいですが、エンタメ作品としては、「鯨の王」のほうが、上だと思います。

ただ、やっぱりこの方も、藤崎さん同様、あんまり人物が描けていない、、、。

これもSFとしては、しょうがないのか、、。