私が書いたパブリックコメント | 女王様のブログ

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ある女性教師の日常のこと,悩みや課題を率直に書いた,ぶっちゃけ話。

《要点》

 1.教科名が不自然で滑稽


 2.普通学科を基準にした内容でなく,他の学科にも配慮してほしい。(他教科との連携をして欲しい。)


 3.新指導要領の達成は,教師自身もできているものかどうか


 4.コミュニケーションの授業と大学受験用の英語授業は別もの(予備校のカリスマ英語教師は皆日本語で説明している。)


 5.教育格差の危惧


 6.指導主事(自身が出来るか怪しいのに)の物言いで教員の精神疾患者の増大,もしくは自殺者が出る可能性


 7.デタラメ英語教師からの拷問うける生徒達


 8.高等学校の上にいる,国公立大の英語教員すらできないことをなぜ強いるのか


 9.日本語ではなく英語を話せと皆に言っているようなもの


10.子をもつ親は,皆英語圏へ移住した方がいいのではないかと思わざるを得ない内容


11.子供たちの躾の問題(母語で聞かない子供達に英語でどのように聞かせるのか?)


12.教員が,離島といった僻地でも全国変わらない研修ができるようにまずはシステムを整えて欲しい。


13.日本の政治を安定させるのが先決


14.私達から励ましの言葉を奪わないで欲しい



 《詳細》

 まず,履修する英語の教科名は非常に滑稽で分かりづらいです。教科名に一つ一つコミュニケーションを付けるのは非常に滑稽ですし,従来通りの名前でよいかと感じます。(もうすでに決まっているのでしょうか)巷では,名前を考えるのが面倒であったのではないかと予測して話しています。まずは教科名が変だと感じます。生徒は混乱すると思います。

コミュニケーションを図ろうとする力は,まずは日本語での表現ができなければならず,自身の意見を母語で表現できない者が多い中,非常に無謀です。



中学校では,全員が同じ時間数,3年間は同じ教科書を使うので,ある程度統一された内容が通じるかもしれませんが,高等学校の英語の単位は,それぞれの学校で違います。普通科の他に商業科,工業科,福祉科,水産科,家政科,農業科などで,だいたい週あたり2~10単位差があります。

商業科や工業科や水産科はそれぞれの科にあわせた英語の科目が既にあり,この科目を英語の教員が教えることができないことがあるので,英語の学習指導要領を考える際にはそのことも明記すべきだと考えます。普通科以外の教員にも配慮した(全く違います。)学習指導要領でなければ,他の教科に英語のことが明記されている場合,現場は非常に混乱します。例えは,英語の単位を商業の単位として認めるというようなことが,商業科の学習指導要領には明記されています。

他の教科との連携が必要であることも多々あります。英語科の内部だけ見て,英語に関わる他の教科のことを調べずに作られていることに非常に疑問があります。やるべきことはたくさんありますのに,文面だけを一生懸命考えても何も変わりません。



 次に,新学習指導要領の内容をすべて達成しようとするならば,かなりの英語力を要すると思います。教師自身が,もしくはこれを作成されている方々も,母語の日本語ですらきちんとできるかどうかも分からないようなことを,生徒に要求するのは非常に可愛そうです。

 一部の国立の付属の学校で,表面上上手に見栄えよくやっている授業は,実は作られたものであり本当の姿ではありません。ほとんどの生徒達は学校の外で塾や予備校に通い学んでいます。

ここ,K市でも中学校で塾へ行っている生徒は全体の7割です。文法事項は塾で習ってきたと言っています。

ほとんどの生徒が外国語として英語を学ぶので,中学校で文法事項を習ってこないまま高校にあがってきた生徒達は,高校でもまた文法事項の授業をせずにコミュニケーションばかりをするので、大学受験の一般入試には太刀打ちできません。



私の学校では2年次にオーラルコミュニケーションが3時間もあります。私自身もほとんど英語でしていますが,それが本当に生徒達のために良いかどうかは分かりません。

彼らは,外国人と積極的に関わることはできると思います。授業も楽しいと言ってくれます。しかし,生徒が楽しいという授業が本当に生徒の力になっているかどうかは疑問です。コミュニケーション力をつけるだけでしたら,はっきり申しまして英語の学習指導要領であえて明記しなくても生徒に学ばせることはできます。問題は,難しい表現とか,抽象的な物の見方だと感じます。表面上のことと実際の力とは全く違うように思います。



 私が一番危惧しますのは,この新学習指導要領を達成しようとするのならば,校の授業だけでは足りないと,幼少からの英語教育に拍車がかかることです。親たちは躍起になって子供をインターナショナルスクールや英会話学校に入れます。そして教育格差が広がり,地方の人間が不利に置かれるような状況を国が作ることになります。本当にあらゆる地域から優秀な人材を平等に育てていくという公教育の使命に反しますし,塾や予備校,英会話学校などが多い都会の一部の子供達だけが得をするような文言があれば,公教育の否定になります。



「授業を英語で行うことを基本とする」と明記するのはよくありません。現場の先生方は,非常に多忙です。その上,このようなことを明記すれば,指導主事や校長が「学習指導要領どおりにやれ!」と圧力をかけ,ご自身ができるかどうかも分からないのに先生方を窮地に陥れます。その言葉を権威的に使う人間によって,ただですら大変な教育現場をもっと大変に困難にし,教員の精神疾患者が今以上に増えていくことは目に見えています。先生が荒れれば,生徒はもっと荒れます。

そういった中でも,英語の教師の中には,出来ないのに無理矢理英語を使おうとする人も出てくるかもしれません。それは私が高校時代に習ったある英語教師のことです。

私は,フィリピンで英語を学んだことのある先生に英語で授業を受けました。何を言っているかまるで分からないので,皆,無視,内職(別の教科の勉強)している人や,寝ている人もいました。先生の言っていることが分からないと言うのを恐れて,かえって質問が出来ない雰囲気を作り出していました。先生の英語が分かっているふりをして,頷いていた記憶があります。その教師の英語が正しかったかどうかも分からないのに,変な威圧感を感じていました。そのような状況に生徒をおくことは拷問です。そして,それが最大の問題です。

生徒たちが,その英語が正しいのか正しくないのか分からないような状況の中で,教師が自ら作り上げた文法・語法で,内容もたいしたことでないものを,偉そうに使うことが問題です。



ですから,第3殻2の(3)の「生徒が英語に触れる機会を充実するとともに・・・授業は(教師の力量にあわせて)英語で行なう事を基本とする。生徒の理解の程度(と反応)に応じた(正しい)英語を用いるよう十分配慮すること。」とすべきです。



先日,某国立大学の先生の英語の講話があり,どのような立派な話が聞けるかと思ったのですが,内容はTOEICの宣伝で教育とはほど遠いものでした。文法もめちゃくちゃ,内容は浅はかでした。国立大学の先生ですらまともにできないことを,高校の教員である私達に強いるのはどうしてでしょうか?

ただ単に,英語を話せれば良いと言う事ではないことをまず教えるべきです。教師の偽善性を知るために,生徒は正しい英語を学んでいくべきです。アメリカの著名なノーム・チョムスキー教授も,著書の中で,「言葉の読み方より先に世の中の読み方を教えるべきだ。」と言っています。

 

批判力とはどのように身に付くものなのでしょうか?それは英語を学んだからと言って身に付くものなのでしょうか?

 小学校英語から,新学習指導要領の内容など考え見て,国は私達の使っている言語「日本語」をなくしようとしているのではないかと,どこかの植民地のようにしようとしているのではないかと疑問に思います。私自身,小学生の子どもがおりますので,このような外国語教育を押し進めて子供たちが苦労をするのならば,いっそのこと英語を話す国に移住でもして暮らした方が子どものためになるのではないかと考えざるを得ません。世の中のお母さん方はそのように感じると思います。



授業中の躾も英語でということでしょうか?私語をしてはいけないとか,真面目に授業を受けなさいとか,起きなさいとか,教科書を出しなさいとか,全部英語でしろと言っているのでしょうか?十代の血の気の多い男子40人を相手に,そのようなマジックのようなことが出来る方がいたら,お会いしたいです。
生徒とは毎日真剣勝負です。母語でしか通じないことをなぜ無理やり英語でさせようとするのでしょうか?母語ですら通じないこともあるのに・・・。授業でしか会えない生徒に,母語で「今日は元気がないけど,どうしたの?」と聞くことのほうがずっと教育的に良かったりします。
英語ですべてしろというなら,英語教師にもっと自己研修の時間を作っていただきたい。国でお金を出して,地方やへき地の離島などでも学べるように,テレビ電話での英会話の研修を無料で行ってください。お金を持っている自治体だけができるようなことではなく,そして口だけではなく,日本全国どこにでも変わらないことができるようまずはシステムを変えてください。そのようなお金が国に今あるのでしょうか?どこにそのような余裕があるのでしょうか?

現在は,英語よりも教師が,身銭を切って子供たちにご飯を食べさせたりすることの方が,意味があったりします。実際に生活が困窮している家庭が多いです。まずは,経済対策をしっかりしてください。社会が不安定なままでは、到底受け入れられません。日本の社会が不安定なままで,新しいことを押し進めようとするのは非常に危険です。日本が落ちていくことに拍車をかけるようなことは止めてください。



今,子供たちには励ましの声が必要です。日本人であることの誇りを身につけてやることが先決です。中には母語でしかできないことがあることを本当に理解してください。

学習指導要領を決めていられる方々は,現場の人間の声をきちんと理解していられるのでしょうか?ご自身は温かいストーブの前で,厳しい現実の外にいるのではないですか?

ご自身は実際に実践されてこられたのですか?そちらの会議は英語できちんとなされているのでしょうか?

生徒や先生方同士の励ましの言葉すら奪ってしまうようなことは絶対にやめてください。

先生達も頑張りすぎるくらい頑張っています。

まずはシステムを整えて,それから現実に指示をするべきです。そうでなければすべては空論に過ぎません。