小作苗字で、名前はJ | クソイナカ…周囲はほとんど既知害ばかり

小作苗字で、名前はJ

 先生から目をつけられまくり、いちいち注意され、「やってらんねーよ!」な雰囲気を漂わせてたJ。けれども少なくとも田舎特有な力関係には乗らず、あくまで全てを己で完結させていたような。


 ワタシはJが注意されるたびに、反抗する気持ちがわかった。小学の頃から、行事などに参加せず、ズル休みを繰り返し、それを咎められていたけれど、ワタシだって休めるモンなら休みたかった。


 Jは別段悪いことなどしてなかったような。もっとタチ悪い奴ならいくらでもいたし、けれどもそのタチの悪い奴らは田舎の力関係に乗っかっていて、先生もそれを咎めなかった。


 Jは示威行為をやってたくらいだったかな?教室移動の際に、大声で「11PM」の唄を歌っていたのを覚えている。これを示威といって言いのかわからないけれど、先生もムキになって怒っていた。別にそこまで怒らなくても良かったはずだが。


 農地解放で、元々小作農が土地を得た。その小作農の子孫というのが、私の校区には10人程度いて、いずれも田舎特有の理不尽に苦しんでいたような。県を挙げての大開発が昭和40年代初めに発生して、元小作農は土地を国に売り払い、ここで元小作農が急激に裕福になり、元地主との所得が逆転した。元地主はバカみたいな失敗を理由に土地を売り払い、随分と落ちぶれていた。けれども地域にあって力を確かに持ち、目にかけた子を地元の役場に押し込むくらいの力はあった。


 元地主とその取り巻き連中が流す、元小作家系に対する大げさな噂。さらにその力関係から発生する理不尽。いつだったか元小作家系の子が嫌だ嫌だといっていたのを覚えている。


 おとなしければ理不尽に耐えるしかなく、ちょっと威勢がよければ反抗し、結果さらに理不尽な扱いを受ける。私以上に辛い状況だったのかもしれない。


 どうのこうのいいながら、Jは根っ子はやさしかったような。事情があって落ち込んでた子を、学校帰りに誘ってファミスタやってたと聞いたし。Jは学校そばに住んでたから、とうのもあるけれど。


 元小作家系の子で、凄く仲が良かった子は、随分と美人だった。さらにお父さんが商売やって、これ奇跡じゃないの?というくらいの大成功をして、結果当然に妬まれていた。いや普通に妬まれる以上に、元地主とその取り巻き連中が流す嘘はひどかった。