老婆ホームレスをみてふとどっかで見たかのごとく | クソイナカ…周囲はほとんど既知害ばかり

老婆ホームレスをみてふとどっかで見たかのごとく

失礼しますの挨拶もしたくはないが、仕方なしに。もしかしたら嫌なおばさんがいて、またいつものごとくに嫌な目線、ねめつけるかのようにして、眉を顰めて、下から上まで値踏みするかのようにして、でも学校行事の関係上仕方ないのだ。クラスの行事でなぜか森里美さんと一緒の班にさせられて、またどうしてだかわざわざ学校外で、ついでに日曜日に用意しなくては、というので集められたのだけど。森里美さんもまた、お母さんの遺伝子を忠実に受け継いだのだろう、無駄に釣りあがった鼻、どうしてだかずっと見つめていると心中「可愛そうに」なんて言葉がよぎってしまう顔、どうしても気分としてよくない目…だけなら生まれつきの問題だから仕方がない、として受け流しできるだろうに。しかし口を開けば誰かの悪口、特に転校生に対してのそれはひどく、そしていつも「やっぱりここが一番よねー」なんて絶対に無理のある結論を導き出すのだけど、私は内心?????だけど周囲はみんな「そうよねー」とかほざいている…

そんな森里美さんのうちは普通の平凡な一戸建て、飼っている犬の小屋がどうしてだか屋根がなくなっていて、また何も飼っていない鶏小屋とか、あと野ざらしにされた古い型のテレビとか、投げ捨ててある少女漫画誌とかを見て、森さんってどんな教育をされてるんだろうか、なんて。

無駄にほえる犬、よそ者である私への攻撃性はやはり飼い主からしつけられたか?などという疑問を抱えて、しかし森さんはそんな「ラッシー」なんてストレートすぎる名前を叫ぶと、ラッシーはその願いが込められただろう名前のごとくに忠実に、森里美さんのいうことを聞いたのだ。夕方やってた再放送の名犬ラッシーは彼女の内心に何かを与えてくれたのだろう、そしてかくあってほしいの願いはストレートに込められていたのだ…などと内心本当はうわーバカじゃねーの、と思いながらラッシーを眺めていたら、声は聞こえなかった、しかし狂気が迸った目をみて、やはりよそ者への警戒心を解いていないのだ、と解釈した。首輪はとりあえず付いている、しかし森里美さんが「よそ者を、やっちまいな!!」とかよそ者への警戒心から叫んだとしたらラッシーは私に飛び掛るんじゃないか?と不安になった。

隅っこには誇りが積もっていた…そして何も飼っていない水槽、コップ酒のビンがなぜかおいてある玄関の靴いれ、瞬間でこういうことを確認する自分も自分だが、それでも「失礼しまーす」と口にした。

途中廊下から見えた景色、ふすまが開いていて目に飛び込んできた絶望。森里美さんのお母さんが上半身裸で寝ていて、半開きの口から私は何かを悟った。

森里美さんの部屋には何も飼っていない鳥かご、水槽画おいてあって、しかも机の上、じゃあ勉強するときはそういうのどかすのかな?なんて不安が頭をよぎっていった。