一番悲しい思いをしているのは誰かを、まず考えられない田舎名士一族郎党 | クソイナカ…周囲はほとんど既知害ばかり

一番悲しい思いをしているのは誰かを、まず考えられない田舎名士一族郎党

川崎から横浜鶴見にかけて、多数の西日本からの集団就職者が住んでいて、時折わかりやすい訛りを聞けたりしたのだとか。集団就職、なんてものがとっくに死語となってしまった今、しかし訛りでわかる出身地。「そいやけいいよろうが、なんちかんちいいよらんでもわかろーやー」福岡県内、というので博多と混同されるが、博多から60キロも距離をとれば、見事にアクセントも異なってくる、小倉訛りだろう。「むかしはどんぱちの本場っちいわれとったけのー、そんだけ、見事にイメージ悪いっちゃ、なけどのー、そんなにワリーとこやないけねー」私の知る限り、北九州筑豊出身者に悪い、という人はいなかった。確かにさまざまな都市伝説が生まれた地域ではある、しかもどうもガラの悪い方面のばかりだ。実際当地に幾度か訪れるも、確かに小倉駅周辺は洗練されておらず、またライバルと称される博多に比べて、昭和の匂いを残しているようだ。

彼女はこの町で生まれた…そもそも両親は飯塚市周辺で結婚した、とかで、やはり先ず聞かされたのは「うち小倉やけねー、まあドンパチの…」私の両親もまた九州、というのでクソイナカでまず出来た友人だった。彼女の家は幹線道路沿いの、畑の真ん中の小さなスナックの二階、店舗と住宅が一緒になったタイプのもので、隣には同じく寿司屋があった。どういう経緯で彼女の両親が分かれたのかは知らないし、詳しく聞くようなものでもない。関西訛りがどうにも抜けなかった自分と、小倉訛りで堂々と話す彼女、この辺りやはり福岡の女はつよい、といまさら実感してみたり。クソイナカでは浮いていた、なのに彼女はわかっていてだろうか?愛郷心?このあたりよくわからないのだが。「うちなんちかんちいいよってもねー、母さん大好きやけー、ほんま一生懸命働いとるけ、絶対負けんっちきめたけねー」

同じ地区、ということで同じく地域名士一族郎党からの意味不明の言いがかりを受けたけれど、自分はただうろたえるばかり、しかし彼女は父兄に対しても一歩も引かず、舐めきった態度で反論をかました。学校の先生にだってそうだ。学校の先生からのしつこい地域行事強制に、これまた徹底して反論をかました。今で言うクソ生意気な小学生、でいいだろうか?学校内ではとやかく噂が流れた。「ヤクザの娘」「母子家庭だし事情あり」「水商売の娘」「どうして母子家庭なのか尋ねたら睨み付けられた」そんな悪口を跳ね飛ばすかのごとくに「オー北九は本場っちいいよろうが」と笑ってた。

でも本当は、お母さん思いの、すばらしい心の持ち主だったと、あの時どうして自分は勇気を振り絞れずにいたのか?お母さんが疲れているだろうからと、嫌な仕事をしているからと、そして地域の行事に参加すればお母さんが苛められるとわかっていたから、だから徹底してケンカ腰だったと、わかっていてなぜ自分は黙っていた?今思うに、O塚さんのお母さんは、それほど美人ではなかった…なのでスナックもさして繁盛している様子もなかった、だからだろう、内職をしてどうにか頑張っていた、という事も聞いていた。

彼女の態度は地域名士一同の不興を買い、結果学校に通報されるまで、でも学校の先生も彼女の事情を知っていたのでは?いくばくかの金を払ってたはずのヤクザは、彼女のお母さんの店を守るのでは?


あんた、都会の人間かい?クソイナカっていうのは、他人の気持ちを考えられない、そう、自分が偉いと思い込んだ名士様が威張り腐ってる…名士様からすれば、よそ者なんて、一段も二段も劣った、そんな生き物として扱ってんだろうよ…


学校の先生にまで母親を庇っていたことをなじられ、彼女のお母さんの店に押しかける地域名士一同。


「お母さん いつも疲れてるおかあさん いつか温泉でゆっくりしてくださいね」国語の授業で自分の作った詩を読む段になって、彼女は泣き出した。教師に対するあてつけか?クソイナカ全てに対するあてつけか?あのときの目付きは私の中で、未だに確かに忘れられない情景として残っている。

彼女がいなくなったのが、3学期の頭、いきなりに、だ。どんな思い出があるだろう?どんな生き方を今してるのだろうか?彼女に比べれば、ずっとましだった状況なのに、自分が一番不幸だと思い込んでいたあの頃の自分。地域の人間の都合など考えず、名士様は善人面して、アア確かにローカル新聞で写真の真ん中にのっかってるじゃないか?

それでもあんたはまだ、クソイナカの状況を、笑い事だと思っているのか?こんなクソイナカの出来事より、まだ政治がどうとか、さもインテリぶって講釈かますか?誰が一番悲しい、苦しいか、そして誰に一番優しくすべきか?考えたりしないのか?


クソイナカのヤー公だって、結局地域の団結の尖兵として?「ああ、あの人はいいやくざだ」とかいわれたかった?ふざけろ。

この項目、まだ続く。