稲川淳二オフィシャルブログ Powered by Ameba
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

最後のお噺

こんばんは、稲川淳二です。



それでは、そろそろ始めましょうか。




今日は、最後のお噺です。




皆さん、怖・楽しい時間を、楽しんで下さいね。




あっ、折角ですから、雰囲気を出すために、


部屋を真っ暗にして、楽しんで下さいね。




それでは、始めましょうか。




何も無ければいいんですが、

何があっても、知りませんからね。




それでは、怖・楽しい時間を、楽しんで下さい。




あれっ、あなたの後ろに・・・・。


===================================================================================



止まれとでも言うように、





ドンドン ドンドンドンドン

と、叩いてる。




(いる!まだいる!)





軽トラックは、スピードを落さずに走っている。




そして、しばらくしてピタッと止んだ。

(あぁ、どうにか行ったなぁ)




と、ほっとして軽トラを走らせていると、





前方の闇の中で、赤色ライトが、

グルグルグルグル回ってるんですよ。






やがて、それが警察官が振っている、

赤い棒の誘導灯とわかった。






我々に、止まれ止まれって合図をしている。

軽トラを停めると、





運転席の窓に来て、

「スピード出てましたねぇ」

って、言うから





「すいません」

と、ふたりが言うと





「今、どっちから来ました?」

って、聞くから、





(一本道だし、向こうから来てたの見てただろうに、

おかしな事を聞くなあ)





と思ったんですが、

谷口君が、丁寧に答えたんですよ。

すると、





「あぁ、そうですか。」

って言いながら、やたら荷台を気にしてんですよね。

で、





「荷台に、誰か乗せてました」

って、聞くんで、





「えっ!?」

と聞き返すと、






「乗せてませんでしたか?」

って、言うから、






「いえ、誰も乗っけてませんよ、

我々ふたりだけですから」

と答えると、





「あぁ、そうですかぁ」

と言って、





またチラッチラッと、荷台に目をやりながら、





「あぁ、どうもご協力ありがとうございました。

この道路、事故が多いんで、

あまりスピード出さないように。

じゃあ気をつけて」


って、かえしてくれた。





「はい、どうも。」

と、その場を去って、





「なんで、あんなところに、警官がいたんだろうねぇ。

誰かが、我々の事、通報したのかなぁ。

見たのかねぇ。

やっぱり、荷台に乗ってたんだねぇ---」





と、私が言うと谷口君が、





「交通課の警官じゃなかったですよね。

免許所の提示もなかったし」

と言った。

(なる程、それで切符切られなかったのか)

と思った。





さて、心霊探訪から戻ると、

ショウキュウさんに会って、携帯電話での事を聞くと、





『家でTVを見ていたら、

突然、どうしようもないくらい、嫌なイメージが頭に浮かんで、

急に恐くなった』

って、言うんですよ。






(もしや、今頃、あそこ通ってなきゃいいけど)




と思って、携帯を掛けたら、

ちょうど、そこ通ってるって言うんで、



それで私に、あぶないって、言ったんだそうですが。





ショウキュウさん、




「実は、あの場所はね----」

って、話してくれました。






この話は、どこまでが真実なのか確証はないんですが、







このガソリンスタンドと、

レストランが建ってるところというのは、




もともと、身寄りの無いひとり暮らしの、おばあさんが、

住んでいた土地だったそうです。





温泉地に続く道路沿いにあって、





四季を通じて車や観光バスが通る、通過地点になっていたそうですが、




その土地に目をつけた男が、

おばあさんに身内がひとりもいないのをいい事に、




うまいこと近付いて、

親切ごかしに面倒をみるふりをして、


まんまと土地の権利証と実印を手に入れて、

土地を騙し取ったそうなんです。




この土地が売られて、



ガソリンスタンドとレストランを建てるので、



立ち退きを迫られて、おばあさん、

初めて土地を騙し取られた事を知ったんですが、

すでに遅すぎた。




おばあさんは男を呪って、

なにも食べずに、餓死したんだそうですよ。




で、のちにガソリンスタンドと、

レストランができたんですが、




ここに寄った客が、店からの帰り、



やたらと道路で怪我をしたり、事故を起こすんで、




地元の人達が、

「あぁ、あれは、バァさんの祟りだ」

と噂したのが拡がったうえに、




そのうちに、近くに、新しく道路ができると、

誰もが、そっちの道を通るようになってしまった。





店の客足も、ぱったりと途絶えてしまって、

ガソリンスタンドとレストランは、

営業を辞めてしまったそうです。




その直後、このオーナーが、

これも、どこまでが真実かさだかではありませんが、



店からそう遠くない、峡谷に架かる吊り橋から、


身を投げたと思われる死体が、谷底で見付かったそうです。





それも、状況が不自然で、





自殺か殺人か、はっきりしなかったという話です。



「----あそこはまずいですよぉ」

って、言うから、





「ところで、携帯電話で、

誰かの声が混線してるって言ってたよね。

それ、なんて言ってたって?」




と聞くと、





「ああ、あれねえ----」

ショウキュウさんが言うには、




それは、男とも女ともつかない気味の悪い低い声で、













「こいつは生かしておかねぇ」





って、言ったそうです。





=============================================================================



終わり


如何でしたか。




何も起きなかったですか、それとも・・・・。




あれっ、あなたの後ろに・・・・。




それじゃまた。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>