さて、散々偉そうな事を書いてきましたが、私こそがダメ飼い主でありました。(あります?)

そんな過去もつづってみたいと思います。

私が初めて猫を飼ったのは、中学生の時。友達が拾ってきたオス猫。

高1の時に父親が蒸発。産みの母親は1歳半で離婚。
7歳で再婚した後妻とは、猫を拾う前に2度目の離婚していたので、私は猫と二人で取り残されてしまった。

埼玉県内に住み、埼玉の高校に通っていたんだけど、東京の祖父母の家に行く事になるだろうと思っていた矢先、当時付き合っていた彼氏のお母さんが、さばけた人で「ならうちにいらっしゃいよ」と申し出てくれた。
今考えるとすごいよね。高校生で彼氏と同居してたんだから。

ただ猫はダメだという。彼氏の母親は猫が嫌いだった。
「・・わかった捨ててくる」と、ほんの10m先の雑木林ぼーぼーの空地に猫を放した。

当然帰ってくるだろうという確信犯だ。
丸一日たって帰ってきた時に、頼み込んで一緒に暮らせるように許可を貰った。

私が出かけている時は、台所でじっと玄関の方を向いて座って待っていたというような、とても穏やかで優しい良い子だったので、最初はしぶしぶだった彼女も徐々に猫を可愛がってくれるようになった。

しかし、まだケツの青い高校生同士のカップルが、円満に付き合い続けられるわきゃない。喧嘩して東京の祖父母の家に1ヶ月ほど帰った時に、その猫も連れて行った。

リュックに猫を入れて、電車で運んだ。彼は鳴きもせず大人しくしていた。

結局、私はまた彼氏の家に戻ったが、猫はそのまま祖父母の家に置いてきた。
祖父母も一緒に暮らしていた叔父も猫が好きだったので、その点では安心していた。

ただ家のすぐ横が線路だったので、連れて行った時は抱っこして、電車が通る度に「ここに来ちゃダメよ」と何度も言い聞かせた。通じたかどうかは不明である。

20年近くも前の話。「完全室内飼い」という概念は当時まったくなかった。

数年後、具合が悪そうだと祖母に連絡を貰ったので、埼玉で通っていたかかりつけの動物病院に連れて行き点滴をしてもらった。何故具合が悪いのか、原因はよくわからなかった。

病院からまた祖父母の家に連れて帰ってしばらくたった頃、その猫はいなくなった。
祖母が懸命に探したが、線路の脇に新しく土を掘り返したような跡があると近所の人が話していたらしい。

もしかしたら電車にはねられたのかもしれない。具合が悪くてお気に入りの場所で療養しているうちに息絶えたのかもしれない。

無知な為に、あまり可愛がってあげられなかった事を今でも後悔している。

その後、祖父母の家では何度か野良猫が住み着いたが、叔父は今でも「オマエが連れてきた猫が一番可愛かった」としみじみと語る。