先日ベトナムのサッカー代表監督に三浦俊也氏が就任することになったニュースは、まあ今はもろにワールドカップネタに隠れてしまっていますが(笑)、サッカー系メディアを中心に少しニュースになりました。Jリーグのアジア戦略とも歩調を合わせた動きでしょう。今ではワールドカップ常連になった日本から代表監督を招聘し、最近気勢の上がらないベトナム代表を建て直すんだ!ってな動きが、親日なベトナムではさぞ好評かと思いきや、実はその反応は結構冷やか?っていう話題です。

HLV Nhat?
先月のスポーツ紙週末版も
「日本人監督は希望か、疑問か?」との特集を組むなど
ベトナム人の意見は割れている模様

 まあどこの国もスポーツメディアは言いたい放題と言いますか、三浦氏の「代表監督としての資質」にもかなりの言いたい放題。就任記者会見でも本人に対して「代表監督としての資質に疑問が付いていますが?」なんていう、まだ就任発表の席での外国人監督に対してもこれまた言いたい放題の質問も。昨日TuoiTre紙では「何と三浦氏は最近11カ月は「テレビでサッカー解説」をしていたらしい、それは監督経験者としては「失業」と同じ。つまり監督としてのレベルに疑問有りだ」という何ともな推論。ただいずれにせよ、BongDa+など一部スポーツメディアを除いては、相当厳しい見方をしていると言えるでしょう。

(ちなみに上記コメントから、ベトナムにおけるサッカー解説者(ベトナム語では「評論員:Binh Luan Vien」と呼ばれます)が全くプロフェッショナルな仕事として認められていないことも見えて面白いです。確かにベトナムのサッカー中継ではただアナウンサーが選手名を連呼したり「すごーい!」「あぶなーい!」とか叫んだりしているばかりで、戦術の説明はほとんどありません。しかも「評論員」は試合中はコメントせず、ハーフタイムや試合前後に「あーだこーだ」と議論するだけ。実況アナも一人で疲れるのか、試合中適宜休む(!?)ために「スタジアムの音声だけでお伝えしております」状態に勝手になる局面も多く、評論員のコメントも「じゃあ試合中に言えば良いじゃん」と突っ込みたくなります。)

 メディアの受け手側も、確かに三浦氏のこれまでの監督としての業績に「大丈夫か?」という声が主流のよう。例えばこちらベトナムエクスプレス記事でもコメントは否定的なものが大多数。正直すいません、Jリーグに関心を持ちだしたのが一昨年な自分には「三浦監督」に対するリアルな印象がゼロなのですが、ビッグクラブを渡り歩いたわけではない中、確かに一見しては輝かしい戦績とはいかず、ブランド大好きなベトナム人からすると「名監督が来た!」ってなニュースを期待していたところから物足りないようです。まあその点はともかくもベトナムでの実績でカバーするしかないかもしれません。ベトナムらしく「13,000-15,000ドル/月」(その内大部分ホンダベトナムが出すとの報道も?)という、給料レベルがこれまでのベトナム代表外国人監督よりも安いという報道も真っ先に出て、「VFFはまた安物買いなんじゃない?」なんてエグいコメントも出ています。

 このような冷やかな反応の遠因(もしかしたら主要因?)となっているのは、三浦氏の就任発表の前に一部ベトナムメディアから「あの岡ちゃんが来るらしい!?」というニュースが出回っていたからです。何と日本の元代表監督がベトナムに!?となればそれはベトナム人サッカーファンも色めき立ちます。ただその噂はあっという間に立ち消えた後に三浦氏の就任発表。三浦氏に何の罪もありませんが、変な「落差」が付いてしまったというところ。「なぜ元代表監督を選ばなかったのか?」なんてタイトルの記事も、ただ読むと「給料高くて払えなかったんでしょ」という安易な結論(推論)。

 ともかくも、メディアやベトナム人サッカーファンからの反応からは、順風満帆とは言えない三浦ベトナムの船出。でもレコンビンムーブメントが去ってしまった中、日越サッカー界交流のためにはまたとないチャンス、在ハノイで全力で応援しておりますので、これら地元メディアをあっと言わせるような活躍を期待しています!