高円寺ペンギンハウス 震災支援チャリティーライブ 2011年5月7日『被災地という名のふるさと』 | いまいはのんの『コトノハお茶会』

いまいはのんの『コトノハお茶会』

自作の詩を掲載しています。ごゆっくりご覧ください。

震災支援チャリティーライブの5月7日の最後のアーティストの後、主催者の木澤雅博様の挨拶がありました。その時に、被災地を故郷に持つ詩人ということで急遽メッセージを読ませて頂くことになりました。



『被災地という名のふるさと』


先日まで、宮城の実家に帰っておりました。テレビや新聞で見るよりも、被害は甚大であろうと考えながら帰りましたが、現実は、それを何倍も上回る凄惨なものでした。

私の住んでいる町では、内陸に6キロまで津波が来ています。

6キロというと、線路でほぼ高円寺から新宿までの長さとなります。

家に船がつっこむ、入り江に車やプレハブが浮いている、土台しかない家。
言葉で言えばそれまでですが、目の前にある光景に、きちんと表現できる言葉を見つけられません。
あったはずのものがなくなっている。
そして、防風林が薙ぎ倒され、見えなかったはずの海が見える。
よく知る町なのに、迷子になりそうなほど、町は変わっていました。

「被災地」、という言葉でくくってしまえばそうなのですが、私にとって、その被災地は「ふるさと」です。

その町が変わってしまうということ。それは、恐怖でもあり、哀しみでもあり、名前のつかない感情ばかりが心を占めます。
私の家は、幸い、倒壊や床下浸水などの被害には遭いませんでした。
しかし、目の前にまで津波が迫ったことを考えると、ぞっとします。

今回の帰省で、何人かの友人と会うこともできました。
友人から聞いた、甥御さんの話です。
甥御さんは幼稚園に通っていました。当日、地震が来て、津波に気づき、幼稚園の小型バスに乗せられました。しかし、津波はすでに近くまで来ており、小型バスは波に流されました。口の辺りまで水がつき「少し水を飲んだ」とだけ、彼は言ったそうです。それ以外は言いませんでした。
しかし、後に新聞による記事を読むと、小型バスは流された後、どうにか民家にひっかかり、教員がバスの屋根に園児を載せ、近くの民家の2階へ身を寄せたそうです。教員はその民家の、ありったけの衣料と毛布を園児にかけました。しかし、園児の一人は息絶え、教員のひとりも亡くなりました。彼は、それらをまの当たりにしていたはずですが、言葉にすることができないのか、理解したくないのか、思い出したくないのか、今はまだ判りません。

この話は、地元では記事になっているものの、ほかの場所ではほとんど記事になっていません。
私たちは、つい、記事となった事柄に目が行きがちですが、記事にならなくとも、このような辛い事実はあり、また、それは、ひとつやふたつではなく、何百、何千とあるはずなのです。
それでも、前へ向くために、泣くことも、叫ぶこともできずにいます。
家が流されても流されなくても、家族を失っても失わなくても、その日の記憶のなかに、黙ってもがいている人が沢山います。
「復興」という言葉が先走りますが、町をまのあたりにして思うことは、復興という道のりはいまだ遠く、まだまだ沢山の方々の助けが必要だということです。

物質的な助けであり、人手という助けであり、そして、心の置き場所も、今、必要とされています。
今回、チャリティーライブということで、皆様の、暖かい心を頂き、宮城をふるさとに持つものとして、本当に嬉しく、幸せに思います。


もし、もうひとつ願うことが、許されるならば、今、ここにある気持ちを、できるだけ、長く、長く胸の中に置いておいてほしいのです。


長い歴史の上で、ひとびとが歩みつづけたように、東北は、かならず、立ち上がります。
哀しみは尽きずとも、喜びもまた尽きぬ
と信じております。
そんな決意で、この詩を生み出しました。


『再生』

どんなに厳しい冬に包まれようとも
寒さが痛さに
痛さが無痛に
包まれようとも

再生すると決めた

幾つもの
時を刻めたはずの
命とともに
心に
消しやしない

たとえ
踏まれても
たとえ
摘み取られても

私たちは
再生してみせる

絶望的な冬の寒さを耐え
泥まみれになりながら

現実の先に
覚悟を決めて

生きる

不器用でも
気高く
生きる

どんな試練がこようとも
君を忘れずに
生きてゆく

君が笑えるようになるその日まで

共に、生きて、行きましょう


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2011年5月7日

『震災支援チャリティーライブ』1日目

東京高円寺ペンギンハウスにて朗読。


■番組:SKCH1(こちら高円寺南3丁目!)

『震災復興チャリティライブ@ペンギンハウス 5月7日-05/スタジオ高円寺』

http://www.ustream.tv/recorded/14540463

タイム02:13:45頃から『被災地という名のふるさと』収録


NEW震災支援チャリティーライブ 合言葉は、「助け合い 力をあわせて のりこえよう!」に参加!
いまいはのん の 『コトノハお茶会』-image0002.jpg

【高円寺ゴジラや】主催で、2011年5月7日(土)、8日(日)の2日間、高円寺のペンギンハウスにて開催。ゴジラやさんが、主催のこともあり、ミュージシャンをはじめ、ゴジラやではおなじみの、特撮やアニメ関係の方々も多数出演!子供は無料。


詳細は『ゴジラや』ホームページをご覧ください。

http://www1.plala.or.jp/GODZILLAYA/charity.htm


■5月7日(土)~8日(日)の2日間、それぞれ午後1時~10時間以上のライブ の模様をUstreamで見ることができます!

■震災支援チャリティーライブ@ペンギンハウス 5月7日‐01~05まで/スタジオ高円寺

① http://www.ustream.tv/recorded/14533841

② http://www.ustream.tv/recorded/14535259

③ http://www.ustream.tv/recorded/14536802

④ http://www.ustream.tv/recorded/14538165

⑤ http://www.ustream.tv/recorded/14540463


■震災支援チャリティーライブ@ペンギンハウス 5月8日‐01~05まで/スタジオ高円寺

① http://www.ustream.tv/recorded/14559289

② http://www.ustream.tv/recorded/14561179

③ http://www.ustream.tv/recorded/14563535

④ http://www.ustream.tv/recorded/14565311

⑤ http://www.ustream.tv/recorded/14567058


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『再生』は初出は、2011年4月10日にブログにて発表いたしました。

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希望は常にここにある

命ある限り

確かにここにあるのだ


瓦礫は粉砕された家々の破片

瓦礫は粉砕された生活の破片


田畑は塩害によって草の匂いを失っても

草木が根こそぎ黒い毒牙に切り刻まれようとも

地形が変わり波が奥地に入り込もうとも


希望は常にここにある

命ある限り

確かにここにあるのだ

あきらめない限り

立ち止まっても

しゃがみこんでも

希望は常にここにある


助け合って

力をあわせて

乗り越えてゆこう


生きてゆこう


希望は常にここにある


Message from いまいはのん

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