Wed 161228 独特の地名/橋の下の歓声/ブルーマウンテンズ(シドニー夏のクリスマス11) | 今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba

Wed 161228 独特の地名/橋の下の歓声/ブルーマウンテンズ(シドニー夏のクリスマス11)

 フィッシュマーケットで思うぞんぶん生牡蠣を食べまくり、思うぞんぶん牡蠣くさくなった後は、いったん家路を急ぐことにする。

 もちろん帰る先は東京のオウチではなくて、あくまでホテルの部屋なのだから、正確には「ホテル路を急ぐ」「部屋路」を急ぐわけだが、ま、難しいことは言いっこなしだ。

 フィッシュマーケットからトラムの跨線橋をわたって、ユニオン・ストリートをひたすら東進。やがて道は「ピアモント・ブリッジ」に続き、ダーリングハーバーを左に見ながら橋を渡れば、有名なステーキ屋が並ぶ地域に入る。

 かつて「麻生太郎どんがステーキを食していらっしゃった」という目撃談もあったりして、もしもワタクシのお腹にスキマが残っていたら、是非とも麻生どんの入ったお店を訪ねたいところである。

 ただ、今の今井君は「サンダース君」(スミマセン、昨日の続きです)。これ以上ステーキを詰め込む余裕は残っていない。ホテル路だか部屋路だかをひたすら急いで帰りたい。
トラム
(シドニーのトラム、フィッシュマーケット駅付近の跨線橋から)

 真っ直ぐに進めば、マーケットストリートからウルムルーを横切って、ホテルまで徒歩で帰ることも可能。少なくとも地図上はそう見える。

 ウルムルー。英語ではWoolloomooloo。のんびり発音すれば「ウールームールー」。メッタヤタラに「oo」のスペルが続いて、さすがオーストラリア、独特の地名が多い。

 では「真っ直ぐ東進を続けてホテル路を目指す」という方針が正しいかと言えば、なかなかそうとも言えないのである。ガイドブックの地図にはアップダウンは記されていない。

 サンフランシスコほどではないにしても、シドニーは、坂の多い街。急峻なアップダウンも一目で分かるような地図でないと、あんまり信用できないのである。

 どうしてこんなに急いで帰るのかと言えば、「お腹の生牡蠣が重たい」という理由なのだから恐れ入る。もちろん
「牡蠣にあたった」
「ポンポンの危機」
「お腹の急降下。大ピンチ!!」
「ゲリピー警戒警報発令」
「ほら、言わないこっちゃない。ほどほどにしとけって言っただろ!!」
の類いのクライシスが接近中というわけではないから、ご安心くだされ。
セントラル駅
(シドニー、セントラル駅の勇姿)

 だって諸君、今井君のポンポンはマコトに丈夫に出来ている。「佐々木ゼミ(仮)四天王」の時代、今井君は焼肉料理屋の「ユッケジャンスープ」が大好物。飲み会でユッケジャンスープを2杯も3杯も飲み干し、その翌日の授業中にたびたび危機を経験している。

 その場合、特に危険なのは午前9時スタートの1時間目であった。午後10時05分、「残り25分程度」というあたりで、お腹のずっと奥の方にギュッと鈍い痛みが走る。

「果たして持ちこたえられるだろうか」。佐々木ゼミ8年の講師生活で、そういうクライシスを少なくとも5回は持ちこたえた。「サテラインで全国中継中」ということも2度あった。いやはや、海千山千の大ベテランは、乗り越えてきた危機の全てを自らの鍛錬に役立ててきたのだ。

 閑話休題、この日のシドニーは、決してその類いのクライシスに立ち向かっていたのではない。それどころか、苦しい経験を繰り返して自己鍛錬を続けてきた今井君は、今や「危機を未然に防ぐ」という術を心得ている。

 要するに「限度を知る」ということであって、この日だってサンダース止まり、ヨンダースにならないで引き上げた。繰り返すが、だから決して危機なんかではなかったのだ。「お腹の中の牡蠣が文字通り重たい」「純粋に重量として重たい」、ただそれだけのことである。
ハーバーブリッジ1
(ハーバーブリッジを目指す)

 そこでワタクシは最短距離でホテルまで帰ることに決めた。ダーリングハーバーから船に乗ってサーキュラーキーへ。サーキュラーキーからは船でも地下鉄でもいい。さすが「脱タクシー」であり「卒タクシー」だ。外国を旅していても滅多なことではタクシーに頼らない。

 ダーリングハーバーからサーキュラーキーに向かうには、ハーバーブリッジの真下を通ることになる。諸君、不思議なものだ。橋の真下を通る時、人は必ず時ならぬ大歓声を上げる。

 聞き分けのない男子ばかりではない。コドモの頃から分別たっぷり、落ち着いた顔で済ましている女子諸君も、橋の下では構わず大歓声を上げる。中高年女子、若年女子、老年女子、3世代にも4世代にもわたる落ち着いた女子もみんな、オジサマ&オニーサンと同じように歓声に加わるのである。

 口笛・歌声・悲鳴・絶叫。歓声のジャンルはさまざまだ。とにかく橋の下を通過できて、嬉しくてたまらない。その喜び、その感激、その歓喜を素直に表現するんだから、誰にも文句は言われない。

 世界中の橋の下で、、きっと今日もまた大歓声が上がっているはずだ。サンフランシスコ、ゴールデンゲイトブリッジ。パリ、ポンヌフ。ロンドン、ロンドンブリッジ。ヴェネツィア・リアルト橋。雄叫びが数倍の大きさに反響する橋の下で、人間たちは不思議に素直な存在に戻れるのである。
ハーバーブリッジ2
(ハーバーブリッジの真下が迫る)

 そんな感慨をいだきつつ、今井君は無事サーキュラーキーに戻ってきた。ただし諸君、ダブルベイゆきの船がない。時刻もまだ早い。夕暮れどころか、まだ午後2時をちょっと過ぎたばかり。胃袋が牡蠣でどんなに重くても、そうカンタンに部屋路をたどるわけにはいかないのである。

 そこでワタクシは、オペラハウスの脇から「ロイヤル・ボタニック・ガーデン」に迷い込んだ。その広大さは、日比谷公園や代々木公園の比ではない。どこまでいっても植物園、歩けば歩くほど路に迷う、そういう一種のワナにも思えるのである。

 この広大なワナの中で、ワタクシは明日の計画を巡らしたのである。明日の今井君は、シドニーから一気に「ブルーマウンテンズ」を目指そうと思う。

 ブルーマウンテンズの探険は、シドニーから電車で2時間余り ☞ カトゥーンバの町が起点になる。Katoombaと書いてカトゥーンバ、これもまたWoolloomoolooに負けず劣らず独特の地名であるが、シドニー・セントラル駅からOPAL CARD1枚、電車1本で行ける。
オペラハウス
(夕暮れのオペラハウス)

 今回の旅で、ワタクシはブルーマウンテンズを2回に分けて探険しようと思う。明日23日が、「スリー・シスターズ」で有名なエコーポイントとシーニックワールド。明後日24日に、たくさんの鍾乳洞で有名なジェノランケイブまで行く。

 片道2時間の同じ路線を、2日連続で往復するのは若干ツラいけれども、まあその程度のツラさなら、
① 鶏の丸焼き2羽
② ハム300グラム
③ 生牡蠣サンダース
以上、この3日で体内にたっぷり貯め込んだ栄養素で、十分に何とか耐えられそうだ。

 こうして明日&明後日の計画を練っているうちに、真夏の太陽も傾きだした。そろそろホントに部屋路&ホテル路をたどろうじゃないか。

 ポンポンの中では、3時間前に胃袋に詰め込んだ生牡蠣君たちが、我が強力な消化液の餌食となって、ドロドロに融けはじめている。明日のブルーマウンテンズ探険に向け、その胃袋にビール6本分を流し込み、重い牡蠣の消化を完璧にしてから、ベッドに入ることにした。

1E(Cd) Bobby Coldwell:AUGUST MOON
2E(Cd) Bobby Coldwell:CARRY ON
3E(Cd) Bobby Coldwell:COME RAIN OR COME SHINE
4E(Cd) Bobby Coldwell:BLUE CONDITION
5E(Cd) Boz Scaggs:BOZ THE BALLADE
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