「それはない」

 菅直人副総理兼財務相は3日午後、力強く言い切った。民主党の玄葉光一郎衆院財務金融委員長が当選1回の衆院議員十数人を国会内に集めた席上、出席者から「小沢一郎前幹事長の傀儡(かいらい)にならないですよね」と問い詰められたときだった。会場からは一斉に拍手がわき起こった。菅氏はこの後、民主党代表選出馬の記者会見に臨んだ。

 民主党内で菅氏が置かれた立場は「小沢系」と「非小沢系」の中間。小沢氏の「院政」を警戒した枝野幸男行政刷新担当相ら非小沢系は菅氏が出馬の意向を表明した2日、「政治とカネ問題でしっかりとけじめをつけてほしい」と「小沢切り」を迫っていた。

 非小沢系の中には独自候補の擁立を模索する動きもあった。菅氏は3日、非小沢系の中堅議員と接触。自身が党代表だった03年に小沢氏率いる自由党と合併した経緯に触れ「民由合併の責任は自分にあるし、鳩山由紀夫首相があそこまで言ってくれたんだからしっかりやる」と伝えた。小沢氏との「道連れ辞任」に踏み切った鳩山首相が2日の辞任表明で「クリーンな民主党を取り戻したい」と訴えた流れに菅氏が乗った。非小沢系はそう受け止めた。

 2日は態度を明確にしなかった前原誠司国土交通相、岡田克也外相らも3日になって一斉に菅氏を支持。小沢氏と近い三井辨雄前国対委員長代理、松本剛明衆院議運委員長らの支援を受けて樽床伸二衆院環境委員長が3日、出馬の意向を表明。「非小沢系の推す菅氏」対「小沢系の推す樽床氏」の構図ができあがるかにみえた。

 しかし、小沢氏支持の若手衆院議員でつくる「一新会」は3日夜、自主投票を決定。小沢氏との関係が良好な旧社会党系や旧民社党系グループも雪崩を打って菅氏支持を確認した。樽床氏は全国的には無名の中堅議員。夏の参院選を戦う「看板」として幅広い支持を得るのは難しい、との見方が強い。それでも三井氏らが樽床氏擁立に動いたのは、小沢氏が無役になっても影響力を残せるよう「菅代表」選出後の政府・党人事をにらんだ駆け引きではないか、とみられている。

 非小沢系の野田佳彦副財務相は3日、「影響力のある人が見えないところで行使するのが一番よくない。(菅氏は)何が問題かよく理解している」と指摘し、院政を許さないようクギを刺した。【須藤孝】

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