8月にエステーから発売される低価格シンチ、エアカウンターEXを法人向け販売経由で入手された方から検証依頼を受け預りました。

早速セシウム137校正用線源を用い、クリアパルスA2700(シンチ・簡易校正済み)と数値の挙動を比較しました。

[測定条件]
1.各線量計のセンサー真下、距離22cmに線源を配置。関東でニーズの高い線量率レンジを設定。

2.各線量計測定開始1分時の数値をサンプリング、5分測定の平均値を求めた。

3.線源は並べ置きせず平積みしたため、センサーとの距離は線源追加の度に1mm程度接近。補正はせず。

4.測定場所のBGは、クリアパルスA2700にて0.0306μSv/h、エアカウンターEXにて0.022μSv/h。


(単位μSv/h)
[1μCi]
A2700 エアカウンターEX
0.0914 0.086

[1.25μCi]
0.1084 0.106

[1.5μCi]
0.1278 0.140

[1.75μCi]
0.1458 0.148

[2μCi]
0.1604 0.160




5分測定平均値なので厳密な検証ではありませんが、数値的には納得いくデキだと思います。


以下、実際に屋外測定や校正用線源をセンサー直付けして感じた印象や問題点について書きます。

①A2700やRadi、日立ALOKAのシンチなどで直付け3.1~3.3μSv/hを示すセシウム137線源を、エアカウンターEXのセンサーに直付けしましたところ、4.5~5.1μSv/hを推移。

②これは致命的な点だと感じたのですが、静電気に大変弱い。静電気対策がほとんど為されていない印象です。ラバーカバー無しだとセンサー部分を素手で擦っただけで0.02表示がイッキに10倍~100倍ほど跳ね上がったのには驚きました。また、振動にもやや弱いようで筐体の工夫が望まれます。


【総評】
初代エアカウンターの「たまごっち」筐体を受け継ぎ、見た目の可愛らしさは良いのですが、初代エアカウンターの持つ静電気への弱さ、振動への弱さまで引き継いでいるのが残念。また、センサーの指向性の問題か内部アルゴリズムの問題かはわかりませんが、0.1μSv/h以下では明らかにA2700より低い数値を出します。A2700で平均0.03μSv/hの自宅で、0.01~0.02μSv/hを表示している時間がかなり長いです。低線量下では低め、高線量下では高めに表示される印象です。
数値的な部分では2万以下で購入できるシンチとしては合格ラインを越えています。自宅内で扱いに気をつけて使用するなら問題ないと思います。しかし、持ち歩き使用を考えると、この静電気に対する脆弱さは大変厳しいと思います。


各人の使用目的や使用形態を考えて購入判断をお願いします。


PS
線源直付け測定では、エアカウンターSは3.1μSv/hを表示。シンチとほとんど差はありませんでした。


※家庭での素人検証です。厳密な対照実験の条件は満たしていません。専門家の方などの批判に耐えられるようなものではありませんので、ご承知下さい。