--DEMEL--

先月下旬、
ちょっとしたイベントがあって、
またまたケーキを食べる機会に恵まれました。
幸せ♪

DEMELのケーキです。

デメルのケーキ
とは判っているんだけど、
ケーキ個々の名前は
残念ながら判りません。
ネットで調べてみたのですが、
生菓子の紹介はされていませんでした。

デメルはウィーンにある老舗洋菓子舗です。
この紋章は、
なんと、
ハプスブルグ家の紋章なんだそうです。
王室御用達の銘を受けたことの印に
許されたそうです。

高島屋大阪店の地下食料品売場を
うろうろすること30分、
迷いに迷って選ばれたこのケーキ。
迷ったのは主人です。

見て下さい。
このフォルム!

きっと、
この形に魅了されて選んだのでしょう。

魔的な美しさがあります。
官能的と言う方が相応しいかな?

堂々とした風格も感じられ、
王のようでもあります。
魔界の王と表現したくなります。

数をあまり作っていないのか、
人気があるのか、
最後の1つでした。

高島屋大阪店の洋菓子売場の中では
結構はずれの寂しい所にひっそりとある
デメルです。
なかなか目に付かないと思うのですが、
どの種類も後1~3個ずつしか残っていませんでした。

しかし、どれも個性的で
1周回れば、
ついついもう一度見に戻って来たくなってしまう印象の強さです。
きっと『あの店のこれ』と決めていない人は
ここに戻って来て買ってしまうのでは?
一目見た瞬間、まるで魔法を掛けられてしまったかのように・・・。


デメルで最初に語られるケーキは、やはりザッハトルテでしょう。一度だけ食べたことがあるのですが、必須の生クリームをうっかり用意し忘れ、ケーキだけで食べたので、少しパサッとして甘かったという印象しか残っていません。
今度また食べてみたいと思います。

このケーキは一目でチョコレートものだと判るので、きっと甘いのだろうなと思い、エスプレッソを入れました。
ウィーンでも同じケーキを売っているのでしょうか?そして同じレシピなのでしょうか?
残念ながらウィーン本店のサイトにも生菓子の掲載はありませんでした。

まず、断面がとても気になりました。
食べる前に真っ二つにしてしまいます。

あ!
意外と中はシンプル。
どうやらムースのようです。

ひとくち・・・。

一瞬の内に
ふわ~~~~~っと
まるで泡雪のように
チョコレートの幸せな甘さだけを残し
溶けていってしまいました。

ナッツ類を練り込んだプラリネクリームが使われ
香ばしい風味がするところ、
スイートなところやビターなところ、
とろけてしまうところ、
パリッとしたところ・・・、
チョコレートの多重奏を堪能しました。



そして、もう1つ。

こちらはこちらで、
二種類のチェリーが使われた
気品漂う
王女様のような
ケーキです。

このダークな色使いにやられてしまいました。
夜が似合う。
夜の女王です。
妖しげで、それでいて高貴な魅力が漂います。
ギリシャ神話を題材にした物語を思い出しました。
夕日が落ちると同時に、東の空より夜の帳となるドレスの裾を広げ
夜の女王が現れます。
段々と濃度を増し広がる闇の美しさに
目を奪われた美しい少年が一人。
闇の中でもくっきりとその白い肢体が浮かび上がります。
女王の目にも留まります。
少年の視線は
女王のどこまでもどこまでも深い漆黒の瞳の奧へ次第に吸い込まれ
そして、とうとう、心さえも虜にされてしまうのでした。
夜の世界の夢の中を永遠にさまよう少年。
耽美で危うく美しい物語でした。
大人になってからやっとある意味深く解ったような気がします。
神話や童話も大人が語る世界なのです。
裏に隠された世界は人間の根底を現しているから、大人になってから読む方が実のところ、より面白く楽しめます。


大粒の宝石で着飾った王女様のように
見えませんか。
この、
ダークブラウン、
ブラックワインのようなディープな赤、
鈍いオレンジ
グラデーションの美しさは見事です。

このケーキを見つめていると
夜の女王が支配する闇の世界へ吸い込まれてしまいそう。


やはり、
断面が気になりました。
恐れ入りますが、
真っ二つに・・・。

あ。
こちらも中はシンプル。

チェリー風味のクリームです。

チェリーの甘酸っぱさとチェリークリームの優しい甘さ、
そしてチョコレートの絡み付くようなコクのある甘さ、
このコントラストが美味しいと思いました。

*DEMELのsite*