普段土日が休みの方にとっては残念!となりがちな土曜日の祝日も、アイケーブリッジのスタッフ、先生にとっては滅多にない連休となります。
そこで、この連休は箱根に一泊旅行をする計画を立てた……
のですが、
なんとも良いタイミングで私が久しぶりの大風邪を引き、キャンセルとなりました。
前日に高熱が出て、迷う余地もなく……。キャンセル料金がイタい……。
しかし、予定が変わったおかげで、夫と子ども達は法事に行くことができ、そして私は一日中横になっていられるという、普段から思い描いてははかなくも消えていた夢を実現させることができました。相当具合が悪くないとできないことだけに貴重な機会!
しかし「時間貧乏性」の私は、「いますべきこと」に考えを巡らせます……
とはいえ、中国語の勉強は具合が悪いとする気にならない。iPhoneをいじるのもそんなに時間潰せないし、やっぱり読書かな!と、ある一冊の本を手にしました。
それは松本清張の『ゼロの焦点』。こんなときはビジネス書を読むのも辛いし、読みやすい小説に限ります。
新品のこの小説は、恐らく何かの折に浅井社長(昨年他界されたアイケーブリッジの恩人です)からいただいたものかと思われます。
浅井社長は松本清張の大ファンでした。いちばんのお勧めは『砂の器』。映画かドラマとなったビデオを貸していただき観たことがありますが、サスペンスという娯楽性を持ちながらも、高度成長期の日本の抱える社会問題をえぐり出す、感動的でもあれば胸が痛む作品でした。
『ゼロの焦点』は頂いたまま、読む機会を逸して本棚に眠ってしまっていたのでしょう。昨年末に大掃除で本棚を整理し、多くはブックオフに売ってしまったのですが、この小説は何かの機会にぜひ読もうと思いました。ようやくその機会がやってきたのですね。
小説の冒頭で、主人公の旦那さんが、新婚生活をスタートさせるそのときに失踪します。その謎解きの長編小説。ただの推理小説でなく、日本の高度成長期の暗部にも焦点を当てています。一気に1日で一冊読んでしまいました。
舞台は北陸。東京から夜行で出発し、朝着くという時間感覚。電話を交換台が取り次ぐシーン。手紙やハガキによる通信。旅館の女中さん。すべてが「昭和」でした。このアナログ感、いいです。
昭和、戦後の社会問題や時代背景はなんとも物語になりやすいですね。もちろんこれは松本清張の手腕なのでしょうが。
失踪した夫の足取りを掴もうと、主人公がいろんなところに聞き込みに行くのですが、まぁ、どこでもみんなホイホイ教えてくれること!
いまだったら「個人情報保護」とかで教えてくれないだろうな~と思うシーンが結構ありました。
いろんな意味で、それはそれで良い時代だったな~なんて思ったり。
インターネットとか携帯電話の発展は、人を待ったり、足を使ったり、想像をめぐらせたりしないので、物語を作りにくくなったかもしれないなぁと思ったりもしました。
最近、石原慎太郎氏が芥川賞の選考委員を降りたことが話題になりました。
氏がインタビューで「小説家は時代と寝ないといけない、とアドバイスされたことがある。自分の時は日本の青春時代とかぶり時代と寝ることができたけど、いまはそれが難しいのかもしれない」というようなことを語っていました。
そういえば、前回のブログでご紹介した『サンザシの樹の下で』はアナログの極み。監督は時代と寝ていますね。
今回、『ゼロの焦点』を読めたおかげで、いろんなことを考えました。
松本清張を読んだことがない方には、まず浅井社長も絶賛されていた『砂の器』がお勧めです。
亡くなった方が好きだったものに触れ、思いを巡らすのも、何かの供養になりますでしょうか。浅井社長を偲びつつ、松本清張の描く戦後の昭和について考えました。