原発事故による今日の放射線量 1 | 医学ニュースの深層

原発事故による今日の放射線量 1

東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発事故を受けて、関東各地で15日、通常より高い放射線量が観測された。
北風が強かった午前中は、原発の南側にある栃木や茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川の各都県で場所によっては、
通常の100倍や10倍という高い数値を記録。東風に変わった午後は、西側にある福島県郡山市で
午前の130倍以上の値が出た。 各地の高い数値は、放射性物質が風に乗って拡散した結果とみられる。
いずれも人の健康に影響する水準ではないが、 都道府県に観測を委託している文部科学省は15日、
監視強化のため観測回数をできるだけ増やすよう要請。 測定結果をまとめ、1日2回公表することを決めた。
原発事故で放射性物質が放出されると「放射性雲」が発生。風に乗って流れる雲が上空を通過する際に、
放射線量が上昇するとされる。 福島第1原発では、原子炉格納容器の圧力を下げるため放射性物質を含む蒸気を放出。
3号機付近では15日午前、毎時400ミリシーベルト(1ミリシーベルトは千マイクロシーベルト)の放射線量を検出。
14日に最高値だった3130マイクロシーベルト(約3ミリシーベルト)に比べると桁違いに高い数値が観測された。
文科省が15日公表した14日午後5時~15日午前9時の測定結果によると、福島に隣接する栃木では、
最大で毎時0・864マイクロシーベルトを観測した。過去の平常値は最大でも0・067マイクロシーベルトで、
12倍を超える数値となった。 東京では0・147マイクロシーベルトを記録。
大気中からは原発で生まれる放射性物質であるヨウ素、セシウムを検出した。
このほか、埼玉は0・129マイクロシーベルト、神奈川は0・086マイクロシーベルト、 千葉も0・074マイクロシーベルトと、
通常の1・2~2倍程度だった。 一方、福島では15日午前は0・05~0・06マイクロシーベルトで推移していたが、
風向きが東風に変化すると 数値が急上昇。 午後2時には8・26マイクロシーベルトに跳ね上がった。
茨城県東海村にある東京大の研究施設の敷地内と、日本原子力研究開発機構の敷地内では15日朝、
通常の約100倍の毎時約5マイクロシーベルトを観測。午前7時46分から約20分間、毎時約5マイクロシーベルトが
続いた後、毎時約3マイクロシーベルトより低い値で推移した。 両機関は通報の基準を超えたとして国に通報した。
東大の上坂充教授は「午前1時ごろから数値が上がり始めた。放射性物質が風に乗ってきていると思うが、
人体には影響がないレベルだ」と話している。(共同)