神経分化に不可欠な物質 再生医療に応用も | 医学ニュースの深層

神経分化に不可欠な物質 再生医療に応用も

神経のもとになる幹細胞からニューロンなどの神経組織がつくられる際に、HuDというタンパク質の働きが不可欠なことを、神戸大の藤原俊伸准教授のチームが突き止め、米科学誌モレキュラーセルに25日発表した。

 このタンパク質が作用しないと必要な遺伝子が働かず、神経への分化が起きないことを培養細胞の実験などで確認。新型万能細胞(iPS細胞)から効率的に神経組織をつくる再生医療の手法に応用できそうだ。藤原准教授は「将来は神経変性疾患の原因解明にも役立つかもしれない」と話している。

 チームは、神経が成長するにつれて活性化するHuDに着目。調べるとHuDは、遺伝情報を読み取って神経分化に必要な物質をつくる働きに深くかかわっていた。



コメント:


 HuDか・・・。たとえば、肝細胞から創るiPS細胞は、皮膚繊維芽細胞から創るiPS細胞に比べて神経には、しにくいけれど、HuDのような物質を利用すれば、より、うまくいく。さっそく日本でも、そういう検証をやってもらいたいなあ。


 さて、近頃の幹細胞研究(iPS細胞を含む)の論文を見てると、「米国の研究の最前線にいる(私としては)驚きがない」お仕事とか「細かいメカニズムに踏み込んだ研究(大事ですよ!)」ばっかりだから、一般の方へのこういうブログでの紹介は控えていました。まあ、来年も、このスタンスは、あまり変わらないと思います。


 こういうブログで難しい基礎研究の英文論文を翻訳紹介しても、一般の方・患者さんには全く関係ないし、実際には研究は進んでいるように見えて、実は研究って、また「?」と戻る(3歩進んで2歩さがるくらい・・・なら、まだいいほう)ものなのに、研究が一直線的に大変進んでいるような「妙な安心感」を与えるだけかもなと・・・。

 たぶん、特に基礎研究の紹介は・・・(iPS細胞研究は例外的な進展速度のように見えますが、細かいところで乱立・立ち往生しているだけの観もある)・・・数ヶ月から半年に1回、進展具合を総括していくことが必要でしょうね・・・。


 ヒトiPS細胞関連の「発明・発見」で米国特許申請書なんかを書き始めると(ある意味、学術論文を書くよりも数段難しいのです)、余計に、そう思う今日この頃・・・。