これで十分?:新型ワクチン副作用を調査へ 厚労省、医療従事者の2万人 | 医学ニュースの深層

これで十分?:新型ワクチン副作用を調査へ 厚労省、医療従事者の2万人

 厚生労働省は15日までに、新型インフルエンザの国産ワクチン接種を19日から最優先で受ける医療従事者約100万人のうち約2万人を対象に、副作用の発生頻度などを調べる方針を固めた。

 11月以降に実施される重症化リスクが高い基礎疾患(持病)のある人や妊婦らへの大規模な接種に備え、新型ワクチンによる副作用の傾向を把握するのが狙い。国立病院機構が運営する約70病院の協力を得て、早い時期に接種を受ける医師、看護師らについて、神経障害や呼吸器障害などの重い副作用に加え、軽い発熱などの発生状況も報告してもらう。

 厚労省によると、今後、持病のある人などへの接種が進むと、接種後に何らかの理由で病状が悪化するなどした場合に、因果関係が不明でも副作用として報告されるケースが通常の季節性インフルエンザのワクチンよりも増える可能性がある。

 ワクチンが原因の可能性が高い症例を集めるため、報告は接種から3週間以内に起きた症状に限定する。季節性のワクチンとも比較し、専門家の意見を聞きながら新型ワクチンの性質などを評価。これを基に新型ワクチンの副作用を判別する基準を整え、今後発生する副作用症例の分析に役立てるという。(共同)


コメント:


 「医薬品の市販後調査」は原則として、全例調査をすべきなのです。

今回のワクチンのケースでも同様。


 たとえば、ワクチン接種されて、3週以内に不幸にも、交通事故で死亡したヒトでも、最初は「死亡者」に入れて、検討後、省いていき、最終結果をまとめる。


 最初から、(意図的であれ、そうでなくても)省いていたんでは、あとで、さっぱり解析できません。バイアスがかかります。


 こんなふうに、「1例、1例のケース」を大事に扱うのが基本。

これこそが、副作用(特に、予期できない副作用)のシグナルを検出し、薬害を防ぐ、唯一の手法なんです。


 今回、幸いにも「実験台」は、一般の方とは異なり、医療従事者なので、100万人の報告なんて、少々人手をかければ、案外、苦労せずに解析できますよ。

 2万人解析でも、ある程度、意味のある結果は出ますが、先に述べたような微少なシグナル検出ができるか否かは、少々?ですし。


 まあ、調査に金をかけないで最初に変な「節約」をすると、あとで、大変なコストがかかります。