毎日1杯のワインの効用 | 医学ニュースの深層

毎日1杯のワインの効用

 「青汁」の話ではなく、ワインの話です。


 ワインを1日1杯飲むと、食道癌(がん)の前兆であるバレット食道

(Barrett's esophagus)のリスクが低下する可能性が示された。

バレット食道は酸の逆流により食道が回復不可能な

損傷を受けることによって生じるもので、人口の約5%にみられる。

この症状のある人は、食道癌の一種である食道腺癌の

発症リスクが30~40倍とされている。


 米カイザーパーマネンテKaiser Permanente医療プラン

(カリフォルニア州)の研究員、Douglas A. Corley博士らによる今回の研究では、

北カリフォルニアの男女953人を対象に調査を実施。

1日に1杯以上の赤ワインまたは白ワインを飲む人は、

バレット食道の発症率が56%低いことが判明した。

ビールや蒸留酒ではリスクの低下はみられず、

またワインの摂取量が増えても予防効果の増大はみられなかった。


 この研究は、医学誌「Gastroenterology」3月号に掲載された。

同じ号に掲載された2研究でも同様の結果が得られている。

オーストラリアの研究ではワインを飲む人の腺癌発症率が低いことが示され、

アイルランドの研究では、ワインを飲むと食道炎のリスクが低下することがわかった。

ワインがバレット食道リスクを低下させる理由は不明だが、

抗酸化物質の効果によるものか、

ワインを飲む人は一緒に食物を摂取することが多いため、

アルコールを単独で飲んだ場合に比べて

食道組織の損傷が軽減されるためと考えられるという。


 コメント:


 この研究の掲載誌であるGastroenterology誌は、

米国消化器病学会の学会誌で、

非常に権威のある学術誌です(消化器医学のトップ誌)。

 私も、これまでに数本論文を掲載させていただいたり、

他の研究者の論文の審査もさせていただいております。


 さて、上記のバレット食道は、以前なら日本人の場合、

あんまり気にしなくてよかったのですが、ここ数年で、顕著に伸びています。

欧米スタイル食生活の増加に起因するのでしょう。


 さて、ワインですが別にカリフォルニアワインでなくても、かまいませんよ(笑)。

ただし、飲みすぎは、例えば、肝臓に悪影響を及ぼしますしねえ。


それにしても「ワイン1杯」って・・・。

う~ん、楽しめないなあ。

2~3杯くらいなら(ただし、毎日ではない)、心筋梗塞予防に効果があるから、

悩ましいなあ。


 まあ、私は、疾病予防のためにワインを飲んでいないから、どっちでもいいんですがね・・・(笑)。