新卒医師の地元定着率5割に満たず 2007年度 | 医学ニュースの深層

新卒医師の地元定着率5割に満たず 2007年度

   
 2007年度の医学部卒業者のうち、
大学所在地の都道府県内にとどまった医師の割合は49.1%で、
5割に満たなかったことが28日、文部科学省の調査で分かった。
5年前と比べて約8ポイント低下しており、
医師不足の中、大学が地域医療を担う人材育成を
十分に果たせていない実態が浮き彫りになった。

 同省が昨年9月までに全国80の大学医学部から報告のあった卒業生の

勤務地を集計。昨年度卒の医師の地域定着率は全体で49.1%で、

前回調査の02年度卒の57.8%から8.7ポイント低下した。

(日本経済新聞)


コメント


一般には、あまり知られていないのだろうが、今は、国公立の医学部でも

多くの地方で、「地元枠」というのがある。

上記のような、事態を回避するためという名目でだ。


私はこれを、「合法的裏口入学」あるいは「合法的偽装入学」と呼んでいる。

(そういって悪いだろうか?)

で、そうまでして入学させた学生は上記のように地方にとどまりたくなくて、

大都会を希望するわけだ。そして、「職業選択の自由」をたてに、

彼らは結局、地元を捨て、都会あるいは都市部で開業したがる。

これでは、なんのための地域枠か?


ちなみに彼らの学力はといえば、通常の合格者よりも、

センター試験でいえば、地元の医学部を受ければ、

50点くらい低くても受かるようだ。

面接なり書類で、地元に貢献する強い意思を示し、

人格的にも優れていると

(高校での勉強以外の活動状況がいいとかというレベルだが)、良いらしい。

でもな、だいたい、医学部医学科クラスになれば、

この時期、ほんの数点で、浪人か否かが別れるわけで、

とんでもないゲタをはかせるもんだとつくづく思う。

別に、私は、入学時の偏差値や点数至上主義ではないが、

それでも最低限の基礎学力は特に、医学部の場合、

身につけておいてもらわないと本人自身も困るし、患者も迷惑だろう。


それに18歳前後の若者に「高貴な人格」を求めるなよ(笑)。

そんな年齢で、ほぼ完成された人間なんぞ、かえって気色悪いではないか。

常識があって、健康で、他者を感じる心をもち、まじめに勉強する若者

であってくれれば十分だ。

そういう若者をプロに仕立て上げるのが大学教官の責務だと私は思うけどね。


だいたい彼らを選抜する教官たちは、そもそも高貴な人格者か否か、

各人、胸に手をあててみるといい。

更に、あんまり面接なんぞを重視すると、リアルな裏口が横行するだけだ。


もう、いい加減、くだらん「改革ごっこ」は、やめてもらいたいもんだ。

状況がますます、悪くなるだけだ。

「識者」は、思いつきの政策で、ほんとうにこの国の医療を崩壊させたいのかな・・・。