本因坊戦第二局
羽根本因坊の戦先勝で始まった本因坊戦は26、27日に第二局が行われた。山下挑戦者の黒番。
序盤は比較的穏やかな立ち上がりかと思いきや、黒1とケイマしたところを白がいきなり出切っていった手には驚いた。羽根本因坊は最近このようないわゆる最強の手を打つことが多いような気がする。この意識が世界戦好調な所以なのだろうか。この後難解な戦いとなったが、双方手順を凝らして、左上一帯の白地に対して黒は中央の数子を取り込むというフリカワリになった。このワカレは黒がややポイントをあげたのではないかという評判。
山下天元の封じ手は天元へのコスミ。この手は自分の中では全く予想に無かった。中央の白からの利きを緩和し、右上の白の一団へのヨリツキを見た好手だと思われる。打たれてみれば山下天元らしい手厚い一着である。
二日目も黒が堅実に打ち進め一目半の勝ちとなった。山下挑戦者の終始手厚い打ちまわしが光った一局といえるだろう。これで勝ち星は両者一勝づつの五分に戻し、三局目以降がますます楽しみである。
富士通杯の惨敗 / LG杯予選、鈴木歩五段の奮闘
先日、日本主催の国際棋戦である富士通杯の1、2、3回戦が行われた。1回戦、日本勢は5人中4人が勝利するという順調なすべり出しだった。しかし2回戦、勝ち上がった4人にシードの張栩九段、山下敬吾九段が加わったのにもかかわらず、その6人全員が敗退するという無残な結果に終わってしまった。2回戦の日本勢の碁の中でははっきり優勢だった碁もいくつかあったらしく非常に残念である。日本主催の国際棋戦で日本人がベスト8に一人も残れないのはまずいのではと思ってしまった。富士通杯の詳細はこちら 。
そんな中うれしいニュースが飛び込んできた。現在韓国でLG杯の予選が行われている。各国の強豪選手がひしめく中、鈴木歩五段が快挙を成し遂げた。中国の若手のホープ古霊益
五段に半目勝負での勝利を収めた。そして続く3回戦、韓国の文明根九段に勝利し、Bブロックの準決勝に駒を進めた。
さて、LG杯本戦に進出できる日本棋士はいるのだろうか。今後の活躍に期待である。LG杯予選の詳細はこちら
でご覧いただきたい。また、こちらのページ
では現地から対局風景や選手のインタビューを生で配信している。過去のアーカイブもあるので必見である。
十段戦第3局
十段戦は張栩十段が三連勝で防衛に成功した。敗れた山下敬吾天元は先日井山裕太名人とのプレーオフを制し、本因坊戦の挑戦権を手にしている。今回は残念であったが本因坊戦は楽しみだ。
十段戦第3局の棋譜はこちら
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僕が個人的に注目したのは以下の場面。張十段の黒。
白が1、3とハネツイだときに黒4のノゾキが工夫した手。白はAのツギにはBを先手でキかそうということらしい。白はそれを嫌って、5と打ち黒6のツギに白7とハザマをついたところで黒は8とアテコんだ。白はBと受けるとキカされなので・・・
1と気合でツケコシていった。黒は2、3をかわって4と左下を連打。白7までとなった後、黒Aとタケフに打って、白Bとカカエになれば白に不満はなさそう。
そこで黒1のノビが好手だった。黒11までとなって下辺の白をいじめる展開になれば形勢黒良し。
前図白6で1、3の出切りに対しては黒4がうまい手で、以下12まで下辺の黒石はなかなか死なない。
その後も張十段は的確な打ちまわしでリード広げ、勝ちを収めた。