10月31日 ② | イタグレの志庵 Go onこれがMY WAY!

10月31日 ②

ただ泣く事しかできないでいた。

なにも考えられなかった。


火葬の手配をこば氏が全部やってくれていた。

それだけでなく、職場へ休む旨を連絡してくれていたのもこば氏。

社会人として、人間としてどこまでダメな奴なんだろう…

こば氏がいなかったら

あたしはなにもできなかった。


友人にも電話で報告した。

たぶん、泣きわめいてなに言ってるかわからなかっただろう。。

すぐに駆けつけてくれた。

なんて優しいんだろう。

今までも、どれだけ勇気づけられたかわからない。

よく話を聞いてくれた。

悩みも喜びも、いつもそばでわかちあってくれた。

「トイレがうまくできたんだよおんぷ

「まてができるようになったよにこ

「また部屋を荒らされたよガクリ


そしてまた今回も 助けてくれた。

この場をかりて改めてお礼を言いたい。

ありがとう。


しばらくして父親も帰ってきた。

大声をだして、母親に怒る声が聞こえた。

そして泣き崩れた。


みんな、悲しんだ。



あたしは、起きてくれるのをずっと待っていた。


あと数時間で

この小さな体が、大好きな顔が、しっぽが、すべてが

骨になってしまうなんて まったく現実味がなかった。


”誰か知らない人の、悲しいストーリー”みたいな感覚で

自分の身に起こっている事だとは思えなかった。


ほんと嫌な夢だ。

起きたらいつものように うでまくらで寝ているんだろ?

「おはよ」って言ったら しっぽぶんぶん振って応えてくれるんだろ?


…あぁ

昨日は夜に雨が降ってて散歩いけなかったんだよなぁ。

今朝はあたしが「いってきます」って言ってるのに

見送りもしないでこたつにもぐって出てこなかったよなぁ。

こいつめ。

引き返して、わしゃわしゃって顔なでながら怒ってやればよかったなぁ。


こないだ3kgのごはん買ってきたばっかりだし

トイレシーツもネットで箱買いしたのに

誰が使うっていうんだ。


おやつだって、出し惜しみしてた高級なうまそうなやつが

いーっぱいあるんだぞ。


だから早く起きなさい。


今度の休みは仙台に行くって話したじゃん。

起きないと行けないんだぞ。



…ずっと呼びかけた。


何度も何度も名前を呼んだ。


離れるなんて、もう会えないなんて、

考えられなかった。



まだ連れていかないでください。

神頼みなんか した事ないけど、お願いします。

もう少し 一緒にいさせて下さい。


もう朝になろうとしていた。