NY市場サマリーのサマリー 9/23():米国株上昇、ユーロ/ドル下落、利回り上昇

 

<為替>

ユーロが対ドルで下落した。9月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が予想以上に悪化した一方、米国の総合PMIはほぼ横ばいだったことを反映した。

S&Pグローバルがまとめた9月のユーロ圏のPMI速報値は48.9と、8月の51.0から悪化し、2月以来初めて50を下回った。ロイターがまとめた市場予想は50.5だった。 一方、9月の米国の総合PMI速報値は54.4と、8月の54.6からほぼ横ばいとなった。

 

ユーロ圏のPMIが軟調だったことで、ECBが年内に一段の利下げを実施するとの見方が裏付けられた。市場では現在、約77%の確率でECBが10月の理事会で少なくとも0.25%ポイントの利下げを決定するとの見方が織り込まれている。

FRBは17─18日の会合で0.50%ポイントの利下げを決定。この日はFRB当局者から、0.50%ポイントの大幅利下げは経済の健全なバランスを維持することが目的だったという発言が相次いだ。

 

「金利見通しに注目している。FRBは利下げに関して比較的積極姿勢を取るとの予想が大勢になっている」と。

 

<債券>

米金融・債券市場で国債利回りが上昇し、10年債利回りと30年債利回りなどが一時3週間ぶりの高水準を付けた。経済指標で物価圧力が高まっていることが示され、FRBの利下げペースが鈍化する可能性が意識された。

S&Pグローバルが発表した9月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.4と、8月の54.6からほぼ横ばいとなった。ただ投入価格指数は59.1と1年ぶりの高水準となり、インフレが加速する可能性が示唆された。

この日は、7年債から30年債までの利回りが3週間ぶりの高水準に上昇。長短利回り格差が一段と拡大し、2年債と10年債の利回り格差はプラス17.9bpと、2022年6月以来の大幅な水準に拡大した。終盤の取引ではプラス15.6bp。

 

長期債利回りが短期債利回りよりも速いペースで上昇することでイールドカーブがスティープ化する「ベア・スティープニング」が起きていることは、将来のある時点でインフレ期待が上昇するとの見方が市場で織り込まれていることを示唆している。

 

米経済のソフトランディング(軟着陸)が実現する可能性があるとの見方から米国債が売られ、利回りが上昇した」と。

 

<株式>

米国株式市場は小幅上昇し、ダウが終値での最高値を更新した。FRBの先週の利下げを受け、相場のトレンドが持続するかを見極める雰囲気も強く、主要指数の上げ幅は限定的となった。

FRBの大幅利下げ後に主要株価指数は月間でプラスとなっており、月末まで好調を維持できれば歴史的に軟調な9月の相場傾向を覆すことになる。

「投資家はソフトランディングが最も確実な見通しなのかどうかを見極めようとする姿勢をなお見せている」と。

 

投資家はFRBが通常の2倍となる0.5%ポイントの利下げに踏み切った理由を探っており、この日はFRB当局者3人による発言が材料視された。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁などは利下げについて、正しい判断だったとの認識を示し、年内のさらなる利下げに支持を示した。

 

<金先物>

金先物相場は、米大幅利下げ決定を好感した強地合いが続いたことに加え、中東情勢の緊迫化から安全資産としての金の需要が高まり、4営業日続伸した。

FRBは先週開催したFOMCで通常の2倍となる0.50%の利下げを決定。FOMC後に公表した政策金利見通し(中央値)でも、年内にさらに合計0.50%の利上げを想定しており、利回りを生まない資産である金には追い風との見方から相場の先高観が強まっている。シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁はこの日のイベントで、米国のインフレ率が「実際、2%の目標に達している」との見解を明らかにし、物価安定と雇用最大化の二つの責務における現状維持を望むならFRBの「金利は大幅に下げられる必要がある」と発言した。

また、イスラエル軍は23日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点約800カ所を空爆したと明らかにした。双方が全面衝突するシナリオが現実味を帯び、リスク回避として安全な資金逃避先の金に買いが入りやすかった。

 

<米原油先物>

原油先物相場は、対ユーロでのドル高を背景に売りが優勢となり、下落した。

S&Pグローバルが23日発表した9月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値は44.8と前月(45.8)から低下し、9カ月ぶりの低水準となった。サービス業PMIも50.5と前月の52.9から低下した。これを背景に、対ユーロでドルが上昇。ドル建てで取引される商品の割高感が意識され、原油は売り圧力に押された。一方、S&Pグローバルが同日発表した9月の米製造業・サービス業PMI速報値はともに前月から低下した。ユーロ圏に加え、米国の製造業関連指標も低調な内容となったことを受け、米欧の景気先行きを巡る不透明感から石油需要減退懸念がくすぶり、相場の下押し要因となった。

 

イスラエル軍は23日、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点約800カ所を空爆したと発表した。中東情勢悪化に伴う供給懸念を背景に午前は買いが先行する場面もあった。英石油大手シェルが22日、熱帯低気圧発生の恐れから、米メキシコ湾の深海油田の操業を一時停止したと公表したことも供給不安につながった。

 

 

 

 

 

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