関空,伊丹持ち株会社で統合-国交省改革案
国土交通省が検討していた関西空港の経営改善案の全容が23日、
明らかになった。近隣の大阪(伊丹)空港を株式会社化した後、
持ち株会社により関空と伊丹を経営統合し 両空港の一体的な「事業運営権」を
民間事業者に売却し、1.3兆円超の関空の債務圧縮に充てるのが柱だ。
前原誠司国交相は25日、橋下徹大阪府知事に案を提示し、国交省の
有識者会議である成長戦略会議が28日に公表。その後 財務省等と折衝に入る。
現在、関空は国などが出資する関西国際空港会社が経営し 伊丹は国の直営。
国交省案では、伊丹を株式会社化して「伊丹会社(仮称)」を設立。
伊丹の空港ビルは第三セクターが運営しているが、これも「伊丹会社」に一本化する。
国が出資する持ち株会社が、関空会社と伊丹会社を傘下に置き、経営統合する。
当面は持ち株会社が経営。事業価値を高めたうえで、両空港一体の「事業運営権」を
売却する民間事業者を募り、売却益を債務返済に回すことを目指す。
空港の土地・建物は国など「公的主体」が引き続き保有する。
関空については、24時間利用が可能なことや空港内のスペースがあることを生かして
格安航空会社の誘致や貨物機の拠点化を図り、首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として
再生を目指す。
伊丹は、関空の「補完的空港」と位置づけ、当面は存続させる。将来的にリニア等で
関空への交通の便が改善した場合には廃港を検討する、としている。
国交省は伊丹の民営化と、持ち株会社設立に向けた法案を来年の通常国会に
提出することを目指す。民間の資金やノウハウを公的部門に活用する
「PPP(公民連携)」の法制化も検討する。
ただ、事業運営権の売却益だけで1.3兆円の債務全額を返すのは困難とみられる。
両空港の事業価値をどう高め、民間の「買い手」をどう探すかが今後の焦点となる。
関空支援の補給金は昨秋の「事業仕分け」で「凍結」とされた。
財務省は今年度予算に盛った補給金75億円について 神戸を含む3空港競合問題の
解決策が明確に示されなければ予算執行しないとしている。