(株)アイエフパートナーズ"藤田雅彦"のブログ
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企業型DC以外の経営者向けお得な制度③ はぐくみ企業年金

経営者向けのお得な制度の3回目は「はぐくみ企業年金(旧名称:はぐくみ基金)」です。

 

はぐくみ企業年金のHPによれば、

「はぐくみ企業年金(旧愛称:はぐくみ基金/正式名称:福祉はぐくみ企業年金基金)は、厚生労働大臣の認可を受けて設立された企業年金制度(確定給付企業年金)です。

福祉や医療など、社会の発展を下支えする人たちの福利厚生や資産形成を支援するために設立され、今日では福祉・医療業界以外にも幅広く導入いただいております。

(業界業種や規模を問わず導入・加入いただけます)」とあります。

 

基金型の「確定給付企業年金(DB:Defined Benefit)」に分類される企業年金制度になります。確定給付年金なので、給付(受け取り)の金額が確定していて、確定拠出年金(DC:Defined Contribution)と違って、運用で増えることはありません。逆に、運用で損をすることもありません。また、DCと違い60歳まで受け取ることができないということはなく、中退共のように60歳を待たずとも退職時に一時金で受け取れます。

 

はぐくみ企業年金が、注目される最大の特長は、掛け金額の大きさにあります。はぐくみ企業年金の掛金は、毎月1,000円から拠出でき、最大で毎月、月額給与や報酬の20%まで拠出することができます(上限は100万円まで)

 

特に、役員報酬の高い経営者は、この部分に興味を持ちます。例えば、報酬が200万円の経営者であれば、毎月、40万円掛けることができ、年間240万円にもなります。企業型DCの場合、毎月55,000円、年間66万円が上限となります。しかも、はぐくみ企業年金の掛け金は、企業型DCと同様に全額損金計上できるのですから、この違いは大きいです。

 

さて、はぐくみ企業年金のもう一つの特長は、「選択制」で「給与減額型」ということです。大企業が取り組んでいる確定給付年金(DB)は、社員全員が対象となり、会社が掛け金を積み立てます。社員のお給料は減額されることはありません。一方、はぐくみ企業年金は、自らのお給料の中から将来の為に積み立てることになります。したがって、その分、手取りが減るわけです。なので、はぐくみ企業年金に加入したい人だけが加入するという「選択制」となっています。

 

選択制の企業型DCとの違いは、どこにあるのでしょう?

 

ともに、「選択制」で「給与減額型」なので、社会保険料削減効果は同じです。違いは、掛け金額の上限と資産運用で増える可能性があるかないかということになります。

 

高額報酬の経営者は「はぐくみ企業年金」を選ぶかもしれません。従業員の立場からすると今のインフレの世の中では、「企業型DC」を選ぶのではないでしょうか。なぜなら、企業型DCを利用し外国株式などで上手に運用すると期間にもよりますが2倍にも3倍にも増える可能性があるからです。しかも、運用益は非課税です。

 

今月は、企業型DC以外の経営者にとってお得な制度を3回に渡りご案内しました。それぞれの特徴を把握すると企業型DCの有利さに気づかれたのではないでしょうか。

企業型DC以外の経営者向けお得な制度② 経営セーフティ共済

経営者向けのお得な制度の2回目は「経営セーフティ共済」です。

 

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円、掛金の上限は800万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。前回ご案内した小規模企業共済と同様に、国の機関である中小機構が運営する共済制度です。

 

セーフティ共済の旧名称は、倒産防止共済と言いますが、実際に取引先が倒産した時に利用することは、ほぼ無いそうです。では、何故、多くの中小企業がセーフティ共済に加入しているのでしょう。

 

以下、中小機構のホームページに記載されている「安心の4つのポイント」です。

 

ポイント1 無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。

 

ポイント2 取引先が倒産後、すぐに借入れできる

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。

 

ポイント3 掛金を損金、または必要経費に算入できる

掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。

 

ポイント4 解約手当金が受けとれる

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。

 

ポイント1と2は、取引先が倒産した場合に連鎖倒産から免れるという本来の趣旨に基づいています。

 

ポイント3では、掛金は全額損金算入と掛金を増減できるという点が素晴らしいのです。損金に算入されますが、「保険積立金」として資産計上もできます。その場合、法人税を計算する時に、別表にて損金扱いします。資産計上しないところが多いと思いますが、その場合、いわゆる「簿外資産」が作れるのです。

年払いと月払いが可能です。増減できるということは、儲かっている時に上限の20万円×12カ月=240万円の損金が作れます。儲かっていない時は、5,000円×12カ月=6万円まで落とすことができるのです。但し、掛金額の上限は、800万円なので、240万円を3回積立てて、4年目に80万円積立てると上限に達します。

 

ポイント4では、解約手当金は、40カ月(3年4カ月)加入していれば、全額戻るというのも良いですね。解約手当金は、雑収入に計上されて、法人税の対象となります。一つの利用の仕方は、役員の退職時期に合わせて解約することです。役員退職金が損金になるので相殺することができます。もう一つは、業績が悪くなり、赤字になった時に解約します。赤字の時は資金繰りも悪化していることが多いので「助かった」という経営者も多いのではないでしょうか。

 

経営セーフティ共済は、会社で加入します。一方、前回ご案内した小規模企業共済は、役員個人が加入します。二つとも経営者にとっては大変うれしい国の制度です。是非、活用しましょう。

企業型DC以外の経営者向けお得な制度① 小規模企業共済

今回から、経営者向けのお得な制度を複数回ご案内します。まず第一回は「小規模企業共済」です。

 

小規模企業共済は経営者の節税ツールとしてよく知られていますが、その節税効果だけでなく、受取時の税務もご紹介します。

 

■小規模企業共済とは

 国の機関である中小機構が運営する共済制度で、中小企業経営者や役員、個人事業主のための「退職金積立制度」です。退職金積立ですが、会社ではなく経営者個人が加入し積立します。積み立てたお金は退職や廃業、死亡時に受け取ります。

 

■掛金の節税効果

 掛金全額が「小規模企業共済等掛金控除」となり、その年に積み立てた金額分だけ課税所得を圧縮できます。つまり、経営者個人の節税効果が非常に高いです。

掛金は月1,000円~70,000円で、途中で変更も可能です。

 小規模企業共済等掛金控除は、個人型DC(iDeCo)の掛金でも使用する項目です。どちらも加入している経営者は、両方の節税効果を得ることができるのも大きな魅力です。

 例えば、個人事業主のiDeCoの掛金上限額は月68,000円です。小規模企業共済を70,000円、iDeCoを68,000円積み立てると、年間1,656,000円の課税所得を減らすことができます。

 会社経営者のiDeCoの掛金上限額は月23,000円です(他の企業年金を実施していない場合)。個人事業主並みの節税効果を期待したいなら、iDeCoではなく企業型DCがおすすめです。企業型DCはiDeCoよりも掛金上限額が高く、月55,000円です。

 

■共済金の受取

 小規模企業共済で積み立てたお金(共済金)は、受け取り方によって所得の種類や税額が異なることをご存じでしょうか。ここでは一括受取の税務をご紹介します。

 

①     役員の退任や廃業による受取

「退職金積立」という目的通りの受け取り方です。共済金は「退職所得」となり、

退職所得控除を引いたうえで税額を計算します。受け取った年に他の所得があっても合算しない「分離課税」であることも、退職所得として受け取る大きなメリットです。

 

②     死亡による受け取り

在職中に亡くなられた場合、共済金は「死亡退職金」として経営者のご遺族が受け取ります。死亡退職金には非課税枠があり、その額は500万円×法定相続人の数です。

 

③     任意解約による受け取り

在職中に共済金を受取ることも可能です。任意解約の場合、受け取った共済金は「一時所得」です。退職所得に比べ控除できる額が少なく、他の所得と合算し「総合課税」となるので注意が必要です。

ただし、65歳以上の方が任意解約する場合は退職所得扱いとなるのがポイントです。生涯現役の経営者も、在職中に退職所得として共済金が受け取れます。

 

経営者個人の節税と資産形成に有利な小規模企業共済についてご紹介しました。次回は、法人の節税効果が期待できる「経営セーフティ共済」をご紹介します。

2月17日大分上野丘高校の同窓会の模様

大分県立大分上野丘高校32期(62歳)の同窓会が開催されました。

1クラス40人で10クラス、400人の内、首都圏に50名ぐらい出てきています。その内、半数程度が参加しました。

まぁ、楽しいものです。

 

中小企業が企業型DCを導入する理由その④ 会社拠出+選択制という形態

前回、「中小企業が企業型DCを導入する動機として、社員の採用と定着があります。」と説明しました。

 

中小企業が加入できる確定拠出年金の形態が4つあります。

①会社拠出のみ(大企業中心)

②会社拠出+マッチング拠出(大企業中心)

③完全選択制(給与減額型)

④会社拠出+選択制(一部給与減額型、A+Bとも言う)

 

従来は、DeCoPAで取り扱っている企業型DCの形態は、圧倒的に③完全選択制(給与減額型)でした。ところが、最近になって急速に④A+Bが増えてきたのです。

 

A+Bは、導入する企業にとってはコストが高くなります。何故なら、企業型DCのコストは、加入人数に応じて増えていくからです。完全選択制では、加入するかしないかを従業員一人一人が選択します。加入しない人には、コストが発生せず、加入者の掛金額が大きいと社会保険の等級が下がり、会社の法定福利費が減るので利益が増えることもなります。これが、企業型DCを中小企業が導入しやすい大きな理由でもあったのです。

 

ところが、A+Bのおいては、選択部分を利用しない人(会社が出してくれる分のみを掛金として拠出)にも加入者としてのコストが発生します。また、選択部分を利用しない人は、社会保険料が削減される副次的効果が見込めません。

 

そこには、コスト高となっても社員への福利厚生を充実させようという企業の意思があると考えられます。社員の採用と定着が大きな課題であると言えるでしょう。

 

あるDeCoPAの確定拠出年金アドバイザーさんから聞いたのですが、経営者から「コストが高くなっても、DCを始めて運用することによって、金融リテラシー向上につながるから会社拠出+選択制にしたい。」と言われたそうです。素晴らしい経営者ですね。また、そのアドバイザーは、「毎年、投資教育をお願いします。個別面談もお願いします。」と言われたそうです。アドバイザーとして、とても嬉しいお言葉です。

 

なるほど、世の中が「資産所得倍増プラン」の元、iDeCoや新NISAがマスコミにも大きく取り上げられるようになってきました。企業型DCが中小企業にも広まりやすい下地ができつつあります。

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