こんにちわ。
今日は、「室内の適切な温度と湿度とは」何かを最近の話の流れを
追って、歴史的な経緯からまとめておきたいと思います。
1.相対湿度40%~60%であるべき 論
アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE;アシュレ)が1985年に報告した図をもとに
主張されているようです。
25年以上も前に発表されたデータをもとに、主張されている基準だけれども
私自身、家を建てようと思い立って一条工務店の工場見学で初めて知りました。
日本で湿度管理がいかに周知されていないかということではないかな…?
2.絶対湿度11g以上 論
日本では、常陸太田医師会のHPにてインフルエンザの流行が絶対湿度と関係がある
ことが報告された。
2009年5月26日
http://www.hitachioota-med.or.jp/xoops/modules/bulletin/article.php?storyid=38
その記事ではアメリカの大学でそのような報告がなされたと伝えている。
当該記事は、2009年1月7日発表のオレゴン州立大Jeffrey Shaman らにより、絶対湿度とインフルエンザ流行の関係が報告されたもの。
論文要約
http://www.pnas.org/content/106/9/3243.abstract
本文
http://www.pnas.org/content/106/9/3243.full.pdf+html
これらを受けて、インフルエンザなどのウイルス繁殖抑制の観点から7g/m3 11g/m3 で境界を設けて11g/m3以上を推奨しているのは庄司医師(宮城県)だそうです。
http://www23.ocn.ne.jp/~mmic/flu/flu-list.htm
3.夏期における11g以下 論
上記経緯を受けて、鵜野日出男(高気密健康住宅研究所)さんが自身のHPで2010年8月10日から
経験則から提案されている。
室温が高くても湿度が低ければ過ごしやすいという経験を、絶対湿度を指標に用いることで
説明しようという趣旨。
実際やってみるとわかるが、夏期11g/m3以下という目標はかなりハードルが高い。
28度設定だと湿度は40%になる。
4.11gクラブ&8gクラブ
手前味噌ではありますが、これらの流れを受けて実験的に夏期11g/m3冬期8g/m3を
めざしてみようという試み。
まあ、ほとんど反響はありませんでしたが(苦笑)
議論すべき事柄
・相対湿度は指標として不的確か?
そもそも冬でも夏でものどがからからになるのは、相対湿度40%以下ぐらいではないのか?
8g/m3を目指した場合、室温によって相対湿度がかなり変ります。
25度だと35%
20度だと46%
です。
そういった意味からもなるべく(寒くない程度に)室温を低めにして、相対湿度を上げてやる方が
体もエネルギー的にも楽なのではないでしょうか?
逆に夏期の場合。
29度湿度30%でもかなり過ごしやすいという意見もあり、一概に相対湿度が低い=からからする
というわけでもないかもしれない。
のどがからからしたり、肌がかさつくのは絶対湿度でみるのがよいのか相対湿度で見るのがよいのか?
私個人的には相対湿度が目安になると思っています。
なので夏期でも35%以下にすべきではない。
・インフルエンザなどのウイルス感染抑制の主因子は本当に絶対湿度なのか?
鵜野先生のブログにも名前が挙がっていますので、敬意を表してとりあげさせていただきます。
アダチさんによりますと、絶対湿度よりもむしろ有効な換気がきちんとなされているかどうか
が問題ではないかとのことです。
たしかに、ウイルスが室外に排出されてしまえばいいので家の中にウイルスを持ち込んだとしても
しっかりと換気されていることで室内のウイルスの濃度が下がることの方が重要ではないかと。
こちらもまた、もっともな意見だと思います。
従来の中気密住宅ですと、思ったよりちゃんと換気が出来ていない可能性が高いのではないでしょうか。
http://unohideo.blog3.fc2.com/blog-entry-76.html
仮にインフルエンザ予防に絶対湿度がそれほど重要でなかったとしたら、絶対湿度にこだわる理由は
あるのでしょうか?
これらの流れ、最近の絶対湿度で管理すべきという論は、最新のため
まだ広く世間に知られるに至っていません。
というか、住宅環境で湿度が語られること自体少ないと言えましょう。