三吉神社(福島県伊達郡国見町)
三吉神社(みよしじんじゃ)。
福島県伊達郡国見町に鎮座。
御祭神は弥都波能売神(みつはのめのかみ)、三吉大神(みよしおおかみ)、坂上田村麻呂命(さかのうえのたむらまろのみこと)。
創始年代は不詳。
奥州街道沿いのこの地に霊水が湧き出たため、この恩恵に感謝し、水神を祀ったのが始まりとされている。
その後、坂上田村麻呂や源頼義・義家らが奥州の往来のなかで、戦勝祈願や道中の安全を祈願したという。
明治時代初期に入り、秋田県の太平山三吉神社の御分霊を祀り、現在の三吉神社となったそうだ。
御祭神の弥都波能売神は、イザナミが火の神であるカグツチを生んで大火傷を負った際に、イザナミの尿から生まれた水の女神。
また、その際に尿からは和久産巣日神(わくむすびのかみ)が生まれており、さらにこの二神の間から伊勢神宮外宮に祀られている豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)が生れている。
尿から水の神というのは非常に分かりやすいんですが。
ただ、同じく尿から生まれた和久産巣日神とその子の豊宇気毘売神は穀物を司る神だったりするんですよね。
なんで尿から穀物なのかが疑問なんですけども。
たしかに、水と穀物は切っても切れない関係なので納得するといえば納得するんですが。
うーん。
それと、もう一柱の御祭神の三吉大神。
この神は秋田の太平山で生まれた神で、もともとは太平山のふもとの城主である藤原鶴寿丸三吉という人だった。
この人物は名君で非常に優れた人物であった。
しかし、それゆえに周囲の有力者の妬みを買い追い出されてしまう。
その後、太平山にこもり厳しい修行を続けて神の力を身につけ、宿敵を討ち滅ぼした。
これに驚いた人々は畏敬の念を込めて『三吉大神』と呼び、郷土の神として崇拝している。
分霊を祀っている神社は東北・北海道を中心に分布しており、ブラジルにも秋田からの移民の手によって祀られているらしい。
ワールドワイドだねえ、インターナショナルだねえ。グローバルだねえ。
さて、この三吉神社。
市街地からはちょっと離れている。
見ての通り、回りは田んぼだらけ。
ちょうど高速道路と東北本線の線路の間の土地が境内だから……なのかどうかは分からないけども。
非常にのどかな風景の中に鎮座している。
ちなみに田んぼだらけなので駐車場は神社の敷地からは数百メートルほど離れた場所にあります。
駐車場は結構広いので、参拝者も多いのだろうと思っていたんだけど。
珍しく秋に台風が接近中だった日に参拝したせいか、おいらの車以外は参拝者ゼロ。
あとで調べてみたら翌週あたりはお祭だったようで。
みんなそっちの日程でお参りしたのかもしれないね、うん。
こちらの鳥居は周りに柱があるので、両部鳥居。たぶん。
田んぼの緑の中に鳥居の朱色が鮮やか。
【 拝殿前の左右の狛犬 】
新しいものなのか、くっきり色鮮やかな狛犬。
それにしても左右どちらも威嚇しまくってる感じの造形。
鋭い眼光。まさに切れたナイフ。
なんだか色が鮮やかなせいか、狛犬様の足の下の玉がサッカーボールみたいに見える。
ちょっと素敵じゃないですか。日本代表的な。
田中にマルクスに闘莉王。
っていうか、サッカーとかの球技って日本代表って言うのに、なんでバレーだけは全日本なんでしょうか。
このあいだの世界バレーでもずっと疑問だったんですが。
なんだか屋根がすごく立派な手水舎。
やっぱり水の神様祀っているせいかなあ。水関係の部分には重厚さを感じる。
【 拝殿 】
立派な瓦屋根のせいか、「うおっ、お寺?」みたいに思ってしまった拝殿。
まあ、三吉大神は大平山という山岳信仰みたいなもんで、権現信仰につながるわけで、神仏習合なわけだからお寺っぽく感じるのもそういった部分があるんだろう。
何を言ってるんだかまとまらなくなってるけども。
周りにはおみくじやお守りが置かれている。
右手奥に見えるのが本殿。
ホントはもう少し大きく撮ったのもあるんだけど、ブレまくりだったのでこれで御容赦を。
参拝を済ませ、社務所へ。
ちょうど宮司さんがいらしたので御朱印をいただく。
初穂料はお気持ちでということだったので、500円をお納めした。
すると宮司さんから、
「ありがとうございます。こちらは神様にお供えさせて頂きますので。」
というお言葉が。
ひいいいっ。こんなん言われたの初めてですよ。
なんだかかえって恐縮してしまいます。
ちなみに、帰って来てから三吉神社の公式サイトを見て初めて知ったんだけども、社伝にあった「湧き出した霊水」というのは今もあるらしい。
空の容器を持っていくと頂いてくることも可能だそうだ。
水筒を持って神社にお参りに行くのも、なかなかオツなものかもしれない。
■石母田 三吉神社への地図
※東北自動車道・国見インターから数分。
大きな地図で見る