人類は衰退しました | 満目蕭条(まんもくしょうじょう)

人類は衰退しました

そういえば読み終わってたんでかるーく感想でも。

本題に入る前に、作者の田中ロミオって名前を知ってる人どれくらいいるんですかね?
そっちの世界じゃそれなりに有名だけど一般的な知名度はきっとさっぱりですよね。
端的に言ってしまうとエ・・・ゲフン、ゴフンなんですが、まあ本人がそれを「ウインドウズ用アプリケーションに使用されるテキスト・データの作成」と言い張るならあえてつっこみませんよ。その意思を尊重します、ええ。
しかしこれ本当に面白いですよね、後書き。
俺の脳内で、今年のベスト・オブ・ジ・後書きに早くもノミネートされそうな勢いであります。
「バイシクル機関」には本気で吹きました。それなんのカリスマだよ。そのうち秘伝の「雪達磨式」とか新モデルの「ファイヤーカー」とか出てきそうですね。
後書きに定評のある、あの時雨沢さんや恵一さんを超えちゃうかもわかりません。
今年の年末が楽しみですね。

さて本題。
舞台はちょっと未来の地球。
人類の人口は減少の一途をたどり、今や文明は崩壊しかつて人類の栄華を支えた技術も知識も現在進行形で失われつつある世界の片隅にある田舎町が舞台です。
今や地球上で人類といえば妖精さんの事を指し、人間は既に旧人類と呼ばれてたりします。
その妖精さん、単体では無味無臭無毒無害なんですが、数が集まるとその法外な技術力で都市は作るは紙細工で生態系を作ってしまうは、とにかく手がつけられません。
その妖精さんと「うまくやる」のが「調停官」に就職した主人公の役割なのです。

といっても身長約10センチ、お菓子が大好き、3秒前の出来事を覚えていない等等もろにメルヘン世界の住人である彼らをもってすれば、お花畑にハチミツの雨が降り注ぐような話が展開されるのは必然というか自分でもこの例えは壊滅的に間違っていると思います。
ぬるくてゆるくて甘くて怠惰な世界観だってことを言いたかったのです。
こういう雰囲気が嫌いでなければこの作品全体を楽しめると思います。
無駄に高い文章力をズレた方向に惜しみなく放出したロミオ節は健在なので、そちら界隈のアレゲ諸氏も安心です。

主人公もなかなかちょっとアレな性格で面白いっすよ。
「楽でクリエイティブな仕事ください」は個人的に名台詞だと思います。
俺もいつも同じこと思ってるけど、さすがに口に出して言ったことはないなあ。

総評。
後書き補正も含めて5段階中の4。
応援すれば続きも出るらしいんで応援するよ、俺は。
ロミオ氏も健やかなる印税様生活を目指してまい進していただきたいものです。

(そういえば楽しげなところに集まるとか、個体では無力だけど集まると凄いことになるとか、そんな妖精さんの性質って俺の大好きなインターネッツで見たことある気が・・・)
(気のせいだよね、きっと)

人類は衰退しました/田中 ロミオ
¥600
Amazon.co.jp