SS ブロークンドリーム◇後編 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 にゃふぅ~ヾ(@°▽°@)ノオッハー!朝だよ~♪ボクの名前は一葉だよ~

 薄い蓮キョあーんどドン☆フェス光sideの後編ですよ~。前編も無事フェスに拾って頂けました~。有難いですね~。有難うございます~!!


 そう言えばね、光くんが蓮をどう呼ぶのか判らなくて、「敦賀君」で統一しちゃいました。でも雰囲気的には「敦賀さん」かも~?ま、いっか。


■ ブロークンドリーム◇後編 ■





「 もう俺、限界なんだ… 」


「 え…?もうですか…?そんなこと言わず、頑張ってください! 」


 歪んだ顔で顔を伏せたのは演技なんかじゃなくて、腕も脚も激しく限界に近かったせいなんだけど。


 キョーコちゃんの応援の言葉でハッと我に返った。


 そうだよ。この想いの丈を彼女に伝えなくては、このミッションに成功はないんだ。


 俺は、自分の内に眠るありとあらゆる根性をたたき起こし、絞る様に声を押し出した。


「 ありがとう、京子ちゃん。だからいい加減…俺の気持ちに… 」


 カッコよく…を念頭に。


 両手に握り拳を作って、キッと力みながら俺を見上げる彼女の仕草が嬉しくて

 額を苦痛に歪めながらも想いを吐露したときだった。


 視界がグルンと反転をしたと思う間もなく、白い壁が目前いっぱいに迫って来たのは。


「 何をしているのかな?こんな所で… 」


 低く揺れる男の声が耳に届いて

 誰かが俺の腰をがっしりと掴んでいるのだけは感覚でわかった。

 そして、自分がさり気に宙に浮いている事も…。


 視界は同じ高さのまま中に浮いてる…。


「 あー…敦賀さん…。こんにちは… 」


「 最上さん!質問に答える!! 」


 張りのある声に思考が緊急停止した。

 アドバイスに従って、雄生曰く蝉ドンを実施することでタッパを稼いでカッコよく決めていたはずだった俺は、抱っこされたネコのように情けない体制で宙に浮いていた。


 やがて視線が元々の自分の高さへと戻って、地に足が着いたと同時に自分を持ち上げていたであろう剛腕な男の方へと目を向けると、先ほどまで確かにこびりついていた全てのセリフまでどこかに吹き飛んでしまった。


 つい見上げてしまう上背のがっしりとした男の身体が、京子ちゃんの姿をすっぽりと覆い隠している。


 そう言えば、敦賀さんって、京子ちゃん言ったか?


「 え?…えーっと…あの???敦賀さん… 」


「 人前だって、判ってる? 」


 真剣な顔で俺を見上げてくれた京子ちゃんの前にいるのは

 やはり敦賀君らしかった。


 少し染まっていた頬を究極に引きつらせた彼女の左側には

 ドラマよりも鋭く敦賀君の右ひじが壁についている。


 俺よりも随分近い二人の顔距離

 加えてその長い左手は逃がさないとばかりに彼女の腰を抱いていた。



 かっこよさが、もう全然違う…。



「 最上さん?なにをしていたの? 」


 凄むように落とされた敦賀君の一声で、京子ちゃんは肩を震わせながら涙声で真実を叫ぶ。

 いや、自分心情的には事実とは全く異なる内容だったけど。


「 ひ…光さんが、壁のぼりの練習をするけど自分は見ていられないから、代わりに見ていてほしいって雄生さんからお願いされただけですぅ!! 」


 真っ赤に染まった京子ちゃんの顔が

 一切のブレを見せずに敦賀くんを見上げていた。


 困ったように八の字に歪んだ眉

 畳みかけるように滑舌よく動いた唇

 小刻みに震える肩からは恐怖の二文字すら見える様だったけど



 涙で滲んだその瞳だけが

 縋るように敦賀君を見上げていた


 嫌わないでと、訴えているように見えた。




 ――――― ああ、なんだ。そうだったんだ…?




 本当に、自分は鈍くて、ほとほと嫌になる時がある。


 これでも俺は、京子ちゃんの事をよく見ていたつもりだったのに…。



「 あ、のー……すみません。本当に、京子ちゃんが言う通りですよ? 」



 壁に預けた自分の背中が、冷たくなっていくのを感じていた。

 それでも頭を掻きながら、なけなしの勇気を絞り出す。


 俺がいま彼女に出来ることは、それしかないと思ったから。



「 京子ちゃんに、壁のぼりの練習を…見てもらっていたんです 」


「 …本当に…? 」


 振り向いた敦賀君の真剣なまなざしが、俺を射るように鋭く光っていた。

 年下相手に、なんで自分は敬語を使っているんだろうとかは、振り返ってから後でこっそり思ったことだった。


「 本当だよ、ね?京子ちゃん。協力してもらって、ありがとうね? 」


 俺の言葉で、ホッと小さく京子ちゃんが溜息をついたのが見えた。



 うん…いいや。俺、それで…


 自分の想いを伝えられなくても

 この想いがたとえ届かなくても



「 いえ、そんな!!お役に立てずに申し訳ありません!! 」



 彼女に迷惑がかかるよりは、ずっといい事じゃないかと精一杯の笑顔を浮かべる。


 …愛想笑いが自然と出来る芸能人で、ホント良かったよ俺…。



「 じゃあ俺、先にスタジオへ行ってるね?ありがとうね? 」



 だけど、この胸が痛まない訳じゃないんだ ――――― …




 ――――― 失恋、確定か…。



 本当は、心のどこかで判っていた。

 自分が、自分以外の人間になんてなれる訳はないと。


「 あー…なんだかなぁー… 」


 自分自身に誇りを持たないと、芸能人としてこの厳しい荒波を生き抜くことは難しいことなのだと、いつも教えてもらっていたのに。



「 だけどさー… 」



 それでも、男なら誰だってそう思うよ。


 自分の好きな子を腰砕けにしちゃうような

 そんな、敦賀蓮みたいにカッコいい男になりたいって…



「 なりたかったなー… 」



 いつかこの経験が、自分をイイ男に導くための成長過程だったのだと、せめていえる男になりたいと思った。

 




E N D


イエス♡キライじゃないぜ☆( ̄▽+ ̄*)


ええ。すみません。本当はこういうの、大好きなんです。

一つの痛みを経験することで、一つ大人の階段を昇る…風な感じが。

そして一葉、結構、光くんを気に入っています(‐^▽^‐)


余談ですが、中学時代、クラス中の誰もが知っているカップルの間に挟まれた席に座っていた一葉は、卒業するまで二人が付き合っていた事に一切気付かなかったニブちんです(笑)←同窓会で真実を知り驚愕に慄きました


そんな奴がいまこんなお話を書いているなんて、世の中って本当に面白いですよね。

ドン☆フェス作、無事提出!!お粗末様でした~!!


⇒ブロークンドリーム◇後編・おまけおバカ話つき拍手

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