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雨上がり決死隊の宮迫博之を初めて役者として認識したのは、5年前に公開された初主演作『蛇イチゴ』でした。『ゆれる』が話題を呼んだ西川美和監督のデビュー作でしたが、妹思いの無責任兄貴ぶりが最高でした。それ以来久々の入魂の主演作です。

宮迫さん演じる工事作業員・磯辺裕次郎は、8年前に妻と別れてから一人娘の女子高生・咲子と2人暮らし。ある日突然父親が死んで、多額の遺産が舞い込んできて以来、堕落して家でゴロゴロし出したのです!。働かない彼は娘に怒られっぱなし。

そこで道楽として、喫茶店を経営し出すのですが、これが思い切りダサイ店なのです!。ミラーボールやカラオケを備えて、テーブル・クロスはバラバラで、今どき工藤静香のLPジャケットを飾ってるんです。接客さえ出来ず、宣伝不足で客が来ない暇なお店に、ある日突然、素子という美女がバイト希望でやって来たんです。即採用して下心丸出しでイチャついて、再婚まで考えてるアホな父親店長に、呆れながらも嫉妬する娘…。この女がウソで塗り固められた最低女とも知らずに…。果たして店は繁盛し、磯辺家に幸福は訪れるのか?ってコメディーなのです。

父子家庭の複雑な心理状態を、娘の視点で見事にあぶり出してるのが素晴らしいんです。「一緒のお湯には浸かりたくない」、「洗濯物は一緒に洗いたくない」。年頃の娘は敏感です。ましてや、新しい若くて美しい母親なんかが家にやって来たりしたら、動揺します。「父親なんか大キライ!、だけど…」っていう、心苦しさ。実の母親を訪ねて「ヨリを戻して!」と懇願したって、もう新しい人生を進んでるんです。「大人って…」。そんな娘の心の成長を、2時間かけて、じっくりとし過ぎるぐらいに描いてるのです。

娘・咲子を演じるのは仲里依紗。
悩める彼女の魅力がタップリ引き出されてました。

彼女を知ったのはアニメ版『時をかける少女』の主人公の声優でした。元気いっぱいな吹き替えが印象的だったんですが、今年に入ってからは映画にドラマに出まくり状態。最近ではフジテレビ系『ハチワンダイバー』の巨乳娘・中静そよ役で、人気も急上昇中ですね。

この映画では、表情がコロコロ変化しまくり。たまに北乃きいにも似てきますが、ブサイク美少女の本領発揮です。喜怒哀楽が激しく、特に人前では強がってるのに、誰も見てない所ではメソメソ・ポロポロ…。そこからボロ泣きしちゃう涙演技の奥深さにはヤラレマシタ~!。ホントにセリフに頼らず表情だけで、何でも語ってくれます。足のニオイを嗅いでひっくり返ったり、お風呂上がりでバスタオル姿も色っぽいし、宮迫さんに胸触られて素で怒っちゃう所も必見です。

コーヒー1杯で粘りまくるイケメン客を好きになって、デートで家に遊びに行って騙されて監禁されそうになる所もスリリング。観ててハラハラドキドキしましたね。人間不信に陥りながらも、後日素直に謝られて動揺する所も、なかなか考えさせられます。

それから、素子役は麻生久美子。酔っぱらって抱きつきその気にさせながら、ビラ配りはサボったり、レジからお金盗んだりして、磯辺家を混乱させちゃうんです。お姫様コスプレ接客も輝いてるし、巨大どら焼き買ってきて、1人でムシャムシャ食べたりする所も面白いですね。

咲子が素子に他愛もない会話から恫喝に発展するまでの、緊張感漲るロング・ショットが最高!。それから、父親と母親(濱田マリ)とのファミレス食事での口喧嘩バトルも凄い!。もっと凄いのは、それらの緊迫した場面にウェイターがやって来て、「ご注文は?」と茶々入れた際に、どうリアクションするのか?も、キチンと計算されて成り立ってるのです!。なのに舞台劇みたいに声を張り上げる事なく、どこまでも自然体なのです。もう深刻なのに、クスっと笑えちゃう!。演技はもちろん、演出の巧さにも舌を巻いちゃいましたね~。


監督は塚本晋也作品の照明係からスタートして、ゆうばり国際ファンタでグランプリを取った事もある、吉田恵輔。

クセのある役者たちを起用しまくってます。常連客が、店長と間違われるミッキー・カーチス、変態男のダンカン、九州男児の斉藤洋介、盗撮好きな小説家の和田聰宏、キャバクラ嬢の小阪由佳と個性豊か。

店のバイトを、ハリセンボンの近藤春菜が好演。 彼女が、経費節減のために店長から「他店の方が時給高いよ!」と遠回しのリストラ勧告されちゃう所も、恐ろしかったなぁ。辞めさせるのではなく、自分から辞めたくなるようにマインド・コントロールするんですよ。

日本人の習慣や曖昧な表現をチクリと皮肉る所もお見事。居酒屋で外国人が「とりあえず、ビール!」と注文する時も、1人がビールだと、みんなビールだったりとか…。「私、アレなんで~」とか、「2日目はキツいんだよね~」といった、思わせぶりなセリフも目立ちます。親子で自転車乗ってる時でも、美しいスローモーションなのに、突然警官が「あの~、2人乗りは禁止ですよ!」と注意して、ストップ。音楽まで止まっちゃいました。

その音楽なんですが、なんと横山剣率いるCKB-Annexが担当しています。いかにも’60年代的なボッサでグルービーな、オシャレ感覚がいっぱいで素敵でしたね。しかも主題歌はクレイジーケンバンドの「男の滑走路」なんだから、たまらない!。

ほのぼの映画だと思ってたら、痛い目にあいます。親子愛って照れくさいものですね。

「あんなお父さんだけど、親権よこせ!って必死だったんだよ」。別れたお母さんにそんな事言われて、動揺しない娘はいないでしょう。

『小林少女』を観てラクロスを始める人は誰も居ないと断言しますが(笑)、この映画を観て喫茶店を始めたくなるオヤジは居るんじゃないかな?。そう思わせる映画です。麻生さんみたいなコスプレ美女が働いてくれたら、なお最高でしょう。

ただ、伝えたい事が多過ぎて、疲れてしまうのも確か。素子が元カレに殴られてる所なんかカットすべきだと思うけど…。もっと絞り込んで、親子関係中心でまとめた方が良かったかも。

7月、テアトル新宿・渋谷シネアミューズ他、全国公開です。
http://www.isobe-movie.com/
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