天井から降り注ぐ光にグレゴリオ聖歌風のBGMという画面で登場する、落ち着き毅然と気高く覚悟を決めた者の佇まいを一瞬の表情で魅せる大森半平太。

まるで、キリストのようである。勤皇党の殉教者、武市半平太だ。って妄想しすぎ?(笑)

あの短い数秒のショットでそれを表現する南朋さんもすごいし、演出家もすごい。

今回は出だしからいいぞぉ~!


あの短いタイトルロール前で、山内容堂公の不気味な酒飲みシーンを使い、勤皇党員の弾圧や京都での幕府による攘夷派の残党狩りが始まったことを弥太郎のナレーションだけでなくスタイリッシュに映像でも見せてくれたのがよかったぜよ。

龍馬が、以蔵や半平太を想う気持ちを勝塾で学ぶことで抑えているのは、今回わざわざナレーションしなくても、前回のタイトルロール前の龍馬筋肉自慢のときの、ちっくと荒ぶれている感じとかそれを物憂げに見つめる長次郎の表情で表現されていたから十分じゃなかったかしら?(えらそ~)


この短い時間にこれだけ表現してくれるのって梶原さんかしら?

な~んて思っていたら大友啓史様だった。よしよし。(←意味不明 笑)


勝塾、いつもながらいいっすね~。

いつも見ていると元気になるシーンだ。

佐藤与之助塾頭(有薗芳記)さん、ほんといいわぁ。けっこーファンなのである。

ああいう、説得力のあるさりげない芝居って本当に貴重。ドラマのクオリティがぐ~~~っと上がる。


ちっくと脱線。

私、幕末にあまり興味がなくて時代劇も全くと言っていいほど興味がなくて、受験に出るような日本史しか頭にないようなかわいそうな子なんです。


そのせいか、半平太応援隊(←かってにひとくくりにしてごめんちゃ!)の皆様方が、前回の新撰組の登場に結構興奮していらして褒めちぎっていらっしゃるのをブログ&そのコメントで拝見して驚いちょります。

前回の素敵半平太×富さんにやられているうちに、The 不憫な以蔵が出てきて心の中は「以蔵、がんばれ!」ってわけのわからない感情一色で冷静にドラマの画面を見ていなかったのかも。

全く持って、新撰組のことについての感想が頭に残っておりません。

原田泰造を見て、「あれ?大久保利通だったっけ?」とかわけのわからないことを思ったほどで(苦笑)


それにしても、The 不憫 以蔵である。

あくまでスタイリッシュに無言で攻めかかる新撰組に対してあくまで無様な振る舞いと汚い身なりの以蔵。

形式美の領域に達しているとも思えるほどの対比だ。

そしてその対比までもが、私の以蔵不憫萌えツボを押しまくるのである(笑)

そういえば、スタパで佐藤健君は第2部のこの汚い衣装や髪型が気に入っているとうれしそうだった。

役者魂に火が付いている感じのうれしさがにじみ出ていたなぁ。

今回の新撰組はさすがに怖かった。なんだか、宇宙から来た得体の知れない虫が地を這ってヒトを追い詰めているようなそういう不気味さがあった。(←わけのわからない比喩でごめんなさい)


もう、以蔵の心のよりどころはなつだけなのに、人斬りを知ってしまったなつにおびえられて「ほじゃの、おまんに、め、迷惑は、かけられんの・・・わしのことは忘れてくれや」とよろよろと出ていく以蔵。

「え~~、なつったら!以蔵が来たら龍馬に知らせるって約束したじゃない!知らせてよ!!!」と心の中で叫ぶおバカな私。

もう、このくだりのセリフ回し、表情や動きすごいぞ、佐藤健君!

そしてそのカメラアングルや照明もすごすぎ。

The 不憫大賞決定である。(←まったく権限なし)


お寺の住職に話しかけられても狂ったように逃げ出す以蔵。

あんな狭いところから上手に、身軽に腰をかがめたまま刀をぶつけることもなくぴょんと出て走り去るところなんて、不憫なんだけど上手い!って思っちゃう。あんな動きを逃げまどう必死さの中で軽々やるなんてすごいと思う。


やっと龍馬に見つけてもらった以蔵は、精神的に極限状態で龍馬すら見わけがつかない。

もう不憫で不憫で涙

ここでも、めずらしく刀を抜いて幼なじみ以蔵を助けるカッコイイ龍馬。

大友さんらしく、不気味さを盛り上げるカラスがギャーギャー鳴いている。

いつもだとすっごくイラっとかするのに、今回はこのシーンもお龍に五両やるところもなんかかっこよかった。

ついでに、お龍が運んだ夕餉を喉を通らないから下げてほしい、大切な友達がまた捕まった、なんちゃあ出来んかった。ってところもよかったぜよ、福山龍馬。効果音の秋の夜の虫の声がいい。

福山龍馬も本当に佐藤以蔵を想って泣いていたんだと思う。

だって、私も一緒に「以蔵!」って涙ぐんじゃったもん。(笑)


以蔵がいよいよつかまってしまうところ、カッコよかった。

以蔵目線~俯瞰での傘。勝手にメタファーだと感動するワタクシ。

もう、龍馬からも保護(=傘)してもらえない状態になった時には傘も残らず蹴散らされていた。

こんな「画」が45分のテレビドラマで見ることができるなんて贅沢だぁ。


取り調べ中の半平太もやつれているのに気高くて素敵Wハート

大森半平太が素敵なんだけど、その映像って言うか画面も素敵過ぎるぅうう。


どうして、大殿様にあんなに忠義を尽くしている半平太があんな目に合うのか今一つきちんと説明しきれていなかったのだが、今回の大殿様と家臣の会話と弥太郎と乙女ねえやんの会話で上手に説明していた。

そのつなぎに、乙女ねえやんと富さんの会話や、上士であるがため拷問されることのない半平太や乙女ねえやんのお参りなんかを使っていたところが上手いなぁって思う。


弥太郎の「大殿様が武市さんのことを嫌っている、土佐では下士は調子に乗ってはいけない。大殿様のためと言えば言うほど言われた方はイライラしてくる。人間と言うのはそういうもの。」という説明台詞で半平太の置かれている状況を上手く説明していたな~と。


イギリス公使代理の英語が一応クイーンズイングリッシュであるところなんか丁寧で大友啓史様素敵。

昔わざわざ映画館で見た「王様と私」のジョディ・フォスターが英国人英語家庭教師だったのだが、露骨にアメリカンイングリッシュでびっくり&ガックリしたのを思い出した。ハリウッド映画ですらそんな感じなのにいいわぁ。

白洲次郎のときも、伊勢谷友介さんが見事なオックスブリッジなまり(上流階級の証)だったのには感服した。

大友イズムのそんなところが大好き。


愛する以蔵も半平太も(あ、いつの間にか以蔵が先に・・・・)退場するのがわかっていて見ているのは本当に辛いけど、大友啓史様×伊勢谷友介さんも楽しみ♪


と、いつもながら散漫な感想だが今回は盛りだくさんながらもまとまっていて安心してドラマの世界に浸れた。

って、「龍という女」っていう第22回のタイトルには殆ど触れない偏った感想で、失礼しました。