兵庫県姫路市内の小学校で、食物アレルギーの男児が給食で急性反応・アナフィラキシーショックを起こした際、学校側が預かっていた緊急用の自己注射薬を打たなかった問題を受けて、読売新聞社が調べたところ、全国47都道府県教委の7割を超す35府県教委で、薬の使用法を学ぶ教職員対象の研修をしていないことがわかった。

 文部科学省は2008年以降、救命のために教職員が注射をしても医師法違反にはならないとして、各教委に適切な対応を促しているが、現場の準備は十分でない実態が浮き彫りになった。

 姫路市の市立小は今年1月、ショックを起こした男児に、保護者から預かっていた、症状を和らげる注射をせず、119番。男児は救急車に乗ったところで、駆けつけた母親から注射を受け、2日間の入院で済んだ。学校側は「注射する取り決めを保護者と交わしていなかった」と説明している。

 調査は3月上旬、各都道府県教委の担当者に、文科省通知に対する認識や、児童生徒が発作を起こした場合に備えた訓練・研修の有無などを聞いた。

 「ショック状態の児童生徒が自ら注射を打てない場合は適切な対応を行うこと」を求めた09年7月の同省通知については、45教委が「教職員は積極的に打つべきだと理解している」などと回答。しかし、実際の打ち方の研修を都道府県単位で行っていたのは、北海道、埼玉、東京、石川、高知など12教委にとどまった。

 神奈川県教委は09年度に12回、養護教諭や一般の教職員を対象に、針のない訓練用キットを使って太ももなどへの打ち方を学んでもらった。東京都、千葉県の教委も、アレルギーの専門家を講師に、注射を使うかどうかの判断や打ち方についての研修をした。

 教育評論家の尾木直樹・法政大教授は「文科省のお墨付きがあっても、注射を打つ医療行為は、教師にはハードルが高い。一刻を争う場面でためらわずに対応できるよう、教育委員会のチェックのもとで、全教職員が実技などの研修を受けるべきだ」と話している。

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