菅平CC7アナリシス | It's Only Orienteering (But We Like It)

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Orienteeringに関するよしなしごとを語るBlog。

菅平CC7にトータスBチーム2走として出走。

せっかくなので、アナリシス的な見本で書いてみよう。長いよ。

○目標
 結果目標:1走が10位前後で帰って来た場合、多少順位を上げて帰ってくる。
 (解説:チーム目標が6位。そのためには6&7走が他チームより劣り、4&5走が若者のため、3走までに確実に入賞圏内に入っておく必要があった。)

 技術目標:勝負所でミスをしない。つねに現在位置を把握。テクニカルなアタックをうまくこなす。
        オープンをうまく使う。直進を精度高く行う。
 (解説:コースが難しめと聞いていたので、ミスり合いになることを予想。抜け出すためにはとにかくミスなしにまとめることが必要と考えた。また菅平で過去ミスした際、とにかく現在地ロストをすると大きかったので、それをしないことを意識した技術目標を立てた)

 体力目標:下りをスピードを出す。上りもちゃんと走る。
 (解説:前日、上りは走ったが下りは押さえたら、その通りのタイム差で現れた。きちんと下りもスピードを出すことをポイントとした。また2走は老練な選手が多いので、負けないためにはちゃんと走ることが必要と考えていた。)

 メンタル目標:楽しむ。体力的に負けそうでもちぎれない。
 (解説:標高の高さでのきつさや、登りで精神的に負けないことを意識。)

○アナリシス

Days That Used To Be ...

タッチ時点で10位。目の前に3人くらいいた。後ろも迫っているらしかったが、気にしないことにした。

(※ここからは、上の地図を別ウインドウで開けてからご覧ください)

△→1
プラン:直進で1の西のヘヤピン状の道に当て、直進。微妙にやぶいのと沢が浅そうなのでアタックに注意。

実際:直進途上で、斜面を登る破線の小道に出たのでそのまま利用。ヘヤピンからリングを合わせ慎重に直進。予想通りヤブがあり見通しも悪く地形もイメージと合わず一瞬不安になるが、沢より早くフラッグが目の前に見える。

評価:頑張って走った。この登りで何チームか抜いたのは評価できる。アタックは相当スピードを落としたが、あたったので良しとする。ただ、リスクはあった。75点。

1→2
プラン:直進で2つめの道。道のオープンのところから直進気味にセミオープンへ出て、方向を定めてフラッグへ。

実際:コンパスリング合わせてラフ直進でスピードを上げて登る。2つめの道で曲がりの感じを確認。ちょっと左気味に出たことをチェックしてフラッグ方向にリングを合わせ直す(ほぼかわらない)。森のある斜面を登ると、思ったより早くセミオープンに出て焦るが、形はあってそうなので、そのフチの方向を確かめつつたどり、その方向で森に入ると正面にフラッグ。

評価:プランが明快だったので特に問題なし。ただ登りでもう少し走れたか。80点。

2→3 ※ロス1分
プラン:直進上のヤブを避けるか思案するが、避けて方向がずれるのが嫌だったので、突っ込んで直進。そのまま尾根に当てる。

実際:やや右目に脱出してヤブの少ない部分を狙う。しかしヤブに突っ込んでしまい、かつ結構長い。抜けると笹藪なのでまあ若干右目に来ているがほぼ直線かと思い、そのまま直進、尾根っぽいところを目指す。
 尾根っぽいところに出るとなぜかオープン風。なんだかわからない。尾根を越えると道っぽいのを発見。どうもセミオープンのところにある破線の小道まできたか?納得いかないまま、もどり気味に登っていくと少し高くなってる感じの場所が見える。こんなに登るかなあと思いながら行くと、上の方にフラッグが。

評価:ヤブの感じや地形の感じが相当違っていたので、何とも言えない。ただ直進が右にずれ気味だなあという意識はあったため、何とか取り戻せた。最初からヤブをよけるプランが良かったのだろう。50点。

3→4 ※ロス30秒~1分
プラン:直進気味に進み尾根を越えたら大きな凹地なんでわかるだろう。

実際:コンタ気味に直進するといきなりオープンに出る。なんで?でも形的に南東のオープンしかないのでオープンから道をたどるプランに変更。オープンをたどる。道を下るが何となくイメージがあわない。付近にも京葉の大塚が立ち止まったりしてる。でも尾根が見えたので越えると大きな凹地ぽいものが。でもフラッグが見えない。立ち止まって考えるが、地図を見直しても付近にこんな地形はないため、とにかく降りてみると、笹藪に隠れてフラッグが。

評価:3番の位置がやはり高かったのか。オープンや道を下るときはかなり信頼度が下がっていて、スピードも落ち気味。なおかつ凹地では無駄に20秒ほどたたずんでいた。地図の違いがあるとはいえ、より直進で攻めるべき。40点。

4→5
プラン:とにかく直進気味に。手前の植生界に囲まれた林からアタック。とにかくスピード上げる。

実際:道へ降り。先ほど1→2で通った辺りまで道を走る。そこから直進。右手の尾根を確認できればと思いながら下るとなんとなく右手にそれらしい尾根が。でもやはりイメージが違い信頼度は低い。道に出て下を見ると、植生界の林らしい針葉樹の明確な林が見えるがその右も林でオープンぽくない。信頼度は落ちつつも、その植生界らしい林を信じ、沿って下る。植生界終わりかけで右手にランナーが止まっている場所が確認でき、方向的にもあっていたので向かうと、その場所にフラッグが。

評価:アタック付近は地図の曖昧でも何とか対応できた。アタックは甘めだったが。スピードは出せてたと思う。85点。

5→6
プラン:オープンをとにかく直進。林の中の岩。簡単。

実際:前の選手が見えていたので、その方向を確かめつつ直進。昨日もこういうショートレッグは早かったんだよなとか思いつつ、でもスピードを出すよりも確実にと思い、道を横切る時に一応道の曲がりで現在地を確認し、また直進。目の前の林へ入り、岩の向こうを見るとフラッグが。

評価:ただ真っ直ぐ行くだけだったので特になし。95点。余計なことを考えていたので減点。

6→7
プラン:会場の右めがけてスピードをあげて下る。ただ1走でオーバーランしていた選手もいたので、上からは見えづらいことに注意。

実際:コンパスを合わせ真っ直ぐ下る。前にいたグループが見えていたので頑張って走る。が、スピード出したいが足元が悪くあまりスピードがあがらない。途中の林で一応地図をチェック。林を過ぎた辺りで会場が見え、黄色いテープも見えてくる。テープを意識しながら下っていくと、林の終わり辺りにフラッグが見える。

評価:技術的には特にないが、スピードに乗れなかった。80点。

7→8
プラン:オープンの脇を意識して直進。森の中の岩。
実際:リングを振って直進。オープンに出ると目の前に2~3人の集団が見える。先頭に多摩のヨルクも確認。彼と一緒に帰ればまあいいかな、と考える。あとは学生らしい選手が2人ほど。森が見え、直進上に集団が集まっているフラッグを発見。
評価:特に問題なし。前の集団を利用できた。100点。

8→9 ※30秒ロス
プラン:難しいので注意。オープンをたどり、終わりからコンタ気味で直進。横穴は地図上大きく書いてあるが、実際はどうなんだろう・・・

実際:オープンに出たところで学生らしき2人に追いつく。1人は2分ほど前にスタートしたトータスAの水樹君であることを確認。もう一人は赤いトリム、よくわからないが足速そう(多分東北大だった?)。オープンの終わりが見えるあたり、赤トリム君がさらに上り、水樹君がコンタしていくのを見て、コンタを選択。左の沢を意識しつつコンタ。でもヤブさと斜面でスピードあがらず。また慣れない横穴のコントロール位置なので、見逃したら、と思うとさらにスピード上がらず。ゆるゆると進むと石積みみたいな横穴入口が。水樹君が先に取り、自分の後に上から降りてきた赤トリムが。

評価:オープンからのアタックのスピードが遅かった。イメージが難しく、点状特徴物だということを差し引いても、遅い。ラップでは3位だが、出来として70点。

9→10
プラン:直進してオープンに出て沢へ飛び込む。(競ってるので、シンプル)

実際:斜面を水樹君と一緒に登る。その前にヨルクが見える。あんまりスピードは出ていないみたい。抜けるか。斜面を越えて一応岩を確認する。オープンに入りヨルクを追いつつそのまま直進。水樹君がやや右からヤブを避けぎみに。自分は方向を大事にしてヤブに突っ込む。ヤブのあるなしで水樹、ヨルク、自分でフラッグへ。

評価:最後のやぶはまあしょうがないか。95点。

10→11
プラン:難しそう。アタックも。一瞬直進もよぎるが、とにかくシンプルに道に戻る。道は破線だけどこれまでも破線は分かり易かったんで使えるはず。アタックポイントは曖昧だが、フラッグは沢の中なんで大丈夫だろう。

実際:皆プランで立ち止まってる。直進的に行くとアタックが難しそうだからだろうか。
ちょうど集団の先頭に立ったので、ここで勝負をかけることに。
とにかく今来たオープンへダッシュ。そしてオープンから破線の道へ乗り、2つめの曲がりからリングをまわさず、方向だけで直進。沢っぽいのが見え、フラッグが現れる。チェックしたときはヨルクも水樹君も気配を感じず。抜け出せた。

評価:勝負をかけ集団から抜け出す。レース唯一のトップラップ。結果としてここで抜け出したので、置いていったメンバーがこの後ミスをして差がつくことになった。結果論だがまあ100点にしておこう。

11→12 ※ロス30秒
プラン:フラッグ位置が難しい。白の中のヤブはわからない、というか精度的に怪しい。穴もこれまで隠し気味なので危ない。ただ有効な策がない。今日は直進が好調なのと破線の道がわかりやすいので道から直進で。

実際:11で完全に一人になる。丁寧にやって集団に追いつかれるのも嫌だったので、とにかく先へ。破線の小道はやはりわかった。が終わりはやはり曖昧。不安を抱えながらも森の中へと直進。しかしそれらしいのは見えない。多少行き過ぎたかなという感じで止まる。ずれたとすれば、道の方向から若干左目に行くことが考えられたので、北方向に戻ると、ちょうど水樹君が降りてきてフラッグへ。ラッキー。

評価:集団から抜け出した奢りと焦りが難しいコントロールでミスを生んだ。水樹君がいて本当にラッキー。結構危なかった。できとしてこのレースで最悪だが、行き過ぎをすぐにわかった点、ずれをすぐに認識できて、最小限のロスタイムで押さえた点を評価して、50点。

12→13 ※ロス30秒
プラン:直進で道に出る。オープンからアタック。まあ難しくないだろう。

実際:直進気味に出る。水樹君はやや自分より右方向へ。下っていくと、急斜面に。尾根っぽいところを下っていったつもりだが、大きな岩を確認できない。道に出てオープンに出るが、右手が道の下側にオープンが。ということは直進がやや左にずれたか?でもそうすると通ってきた地形のイメージが全然あわないなあ。
下を見ると白っぽい林。ということはやはり左なのかと思うがとりあえず道から林に降り、右手に向かうと、水樹君がフラッグから離れるところ。

評価:道があるので、ラフに行ったが、ロスにつながった。地図はかなり信頼度低い。修正できたのでまあ70点。

13→14
プラン:直進と道まわりを考える。降りてきた斜面が結構急な斜面だったので、あそこをあるくよりは道まわりを走った方が良いか。7500分の1だし迂回もそう遅くないだろうと、道での迂回を選択。急斜面を小道で降り、そこから通れる場所を抜けて最後は直進。

実際:道を辿りつつ、森を見ると意外とたいした傾斜じゃない。そこで、若干道を辿ったところから直進に切り替える。途中フラッグを見て、「沢のポスト?」と思いつつ斜面まで登る。結局あまりスピードはでなかったが、斜面の上でちょうど道を迂回してきた水樹君に追いつく。斜面の道を降り沢底を過ぎると湿地帯で走りにくい。そこかちょっと上れそうなところがあり、水樹君はそこから上っていくが、地図にはないところだったので、我慢して湿地帯を進むとまたフラッグ。「これも沢か?」と思いつつ、なんかイメージが違う。ヤブの終わりからオープンに出て直進。水樹君が先にフラッグに見える。

評価:結果として直進より良いルートだった。ラップも3位。上りレッグとしては良い。アタックは水樹君より結果として遅かったが、地図の違いからなので、まあ仕方がない。80点。

14→15 ※30秒ロス
プラン:斜面をヤブをよけコンタ気味に直進。斜面のオープンを辿り、沢へ。道の終わりだからわかるだろう。

実際:フラッグを取った時、上の方にカッシーが斜面を登っていくのが見える。ああやはり追いつかれたかと思いつつ、でも随分上へと上がっていくので、コース違うのかなと思いながらヤブへ向かう。
ヤブはやはりイメージと形が違い、なおかつ、過ぎたところで既にオープンが広がっていてまたイメージが合わない。とまどい気味に佇んでいる水樹君に追いつく。
あらためて地図を見ると、とにかく沢を辿るイメージかなと思い、ややオープンを降り、沢に近いところからオープンの縁を沢沿いに詰めることにする。結構距離を走ったところで左から踏み跡が来ているのに気づき、沢向こうへ向かうとフラッグがある。

評価:カッシーを見た時点でやや実行が曖昧になる。抜かれたショックか。オープンからのナビゲーションの質は低い。難しいポスト位置ならミスしていたに違いない。60点。

15→16
プラン;ただ登る。

実際:リングをまわしてただ登る。傾斜がきつくさすがに走れない。すると水樹君が淡々と走っていく。うーむ。上まで行き、柵まで来ると若干左にずれていた。そして水樹君はなぜかその柵をくぐろうとしていたので、声をかける。体力は残っているが頭は限界に来ていたのだろう。16は水樹君のすぐ後にパンチ。水樹君が「1位ですよ」と声をかけられているのを聞く、ちょっと驚く。

評価:最後なのに走れない。というか走って登った水樹君に驚く。でも、体力的に30秒差がついているのはいただけない。でも今の自分的には限界なので70点。

16→◎
プラン:なし

実際:頑張って水樹君のあとをおいかけるが足が重く走れない・・・

評価:300mをトップと20秒差なら今の状態ではしかたない。75点。でも結果として水樹君に次いで、2位でゴールとなった。


○評価
結果評価:リレーとしては全体で7人抜き、2位でゴール、しかもトップと8秒差なら上出来。十分評価できる結果だった。

技術面評価:勝負所でミスをしない、つねに現在位置を把握、という部分は意識してできた。いっぽうテクニカルなアタックをうまくこなす、直進を精度高く行うというのは、1や6,8などでうまくいった反面、12や13でのロスもあった。アタックについての安全性、ヤブなどが混在する中での直進の精度は今後の課題だ。またオープンをうまく使うといったあたりは、予想以上に地図のイメージあわず、評価としては微妙。

体力面評価:スタート時、体は重く、前に日の疲れも残っている感じだったが、上りはスピードはあがらないなりに走れた。しかしやはり下りのスピードが往年のものがなく残念。筋力不足だろう。それでも最近の中ではちゃんとキレやスピードをある程度出せたと思う。また持久力的には30分はなんとか走り切れた。

精神面評価:軽い緊張感を持って楽しく走れた。また集団の中、抜け出した後も大きく崩れず、安定した精神状態だった。カッシーに抜かれた時若干動揺したが持ち直すことができた。アップもそれなりに頑張れた気がする。

評価点数:75点(全部の評価の平均) 順位結果に比べれば内容的にはあまり高くない。だがまあ及第点だろう。

○感想・総評
目標としていたレースで、それなりの結果を出せたことは満足。内容的にも、技術・走力ともまあまあだったと言える。まあかなりラッキーに、というか水樹君に助けられた分もあったが。

タイムとして35分43秒、コース3位、アップ6%でキロあたり8分ちょうどというのは今の自分の体力では限界値的な数値だろう。いっぽうで鹿島田は別コースながら28分。同コースでも7歳上の吉田勉氏が33分台と差を付けられている。これは単純にトレーニング量の差はもちろんだが、技術的な差もある数値だ。

さらに次回はここまでの難易度はないはずで、まわりとの競争は厳しくなる。より高い目標を掲げる場合、プレッシャーも出てくるだろう。来年、個人とて、またチームとして、今回以上のパフォーマンスを発揮するには、より高次の取り組みが必要とされる。良い動機付けにしたい。

○おまけ
トータスの若い2人がそれぞれ10分レベルのミスをしてしまったことには、責任を感じる。

一つはあまりに高順位で渡すことになってしまったこと。まあこれ自体は良い経験になるはずなのでまあよい。

もう一つは、アドバイスの問題。やはり2人のテクニカル的な問題はわかっていたのだから、もう少しきちんとした具体的なここでの課題や対処法、キーとなるテクニックなどについて、きちんとレクチャーすべきだった。

4走5走は簡単という情報を鵜呑みにしてしまったこともあるが、やはりここまで高順位の争いになるというのを、正直予想していなかったということもある。
来年以降、実際優勝争いにも絡む可能性があることもわかったので、この辺りをチームとして修正していきたい。

それと、2人の内容を見て感じたのが、やはり若い選手における「基本技術」と「ルーチン」の確立のなさだ。

いっぽうでOTがトータスAチームで同じ4&5走コースで良いタイムを出していたところを見ると、決して若者に技術や走力が足りないというわけでわけではない。

うまくまとめてくるベテランは、どのようなシチュエーションにおいても技術を発揮できる。
しかし、若者はそれが危うい。

もちろん、経験ともいえるが、それだけでなく、より自信を持って使えるよう、基本技術を高めること、そしてどんな精神状態でも、自動的に手順が踏め、実行できる「ルーチン」を確立することが、大切なレースには特に重要なのだと、こうした高いレベルでのレースが改めて教えてくれた気がする。