平成25年3月20日、母が他界してから1年が経ちました。
その日は母の命日だと言うのに、一周忌の法要は行われず、父も福島から戻って来なかったので、母の仏壇は誰もいない家に放置されたままになっていました。
あまりにも母が不憫だったので、その日の出来事を機に、私は仏壇と位牌を再度購入して、今度は自分の自宅に設置する事にしたのです。
同年3月末、私は妻と一緒に1年前に仏壇を購入したお店へ行き、マンション内でも置ける小さな仏壇を探していた時です。
女性の店員に声をかけられたのですが、その方は偶然にも、以前、仏壇を購入した時に対応していただいた方でした。
(女性の店員:店)
店:「どのようなものをお探しですか?」
私:「マンション内でも置ける、小さな仏壇を探してて…」
店:「あら、確か以前、当店で購入していただいた方ですよね?」
私:「あ、あの時の!」
「その節は色々とありがとうございました」
店:「今度はご自宅用ですか?」
私:「はい」
「家がマンションなので、小さな仏壇があればと思って」
店:「では、ご案内しますので、こちらへどうぞ」
私:「ありがとうございます」
店:「お子さんも大きくなられましたね」
私:「はい、あの時はまだ10ヶ月でしたからね」
「もうすぐ2才になります」
私の長男が店内を走り回る姿を見て、話題が私の長男の話になった時です。
店:「ご実家のお父様はお元気ですか?」
「お孫さんに会えるのを楽しみにしてるでしょ?」
私:「…実は…」
余計な事だと思ったのですが、ウソをつくのもどうかと思い、私はその女性店員に、それまでの1年間の出来事を話しました。
店:「それは大変でしたね」
「僕ちゃんも可哀想に…」
私:「はい、出来れば父と争うような事はしたくなかったのですが」
「勝手に戸籍を変えられて、そのままって訳にもいかなくて…」
店:「それはそうですよね」
「そう言えば昨年、お品物をご自宅にお届けした後に…」
「お姉様なのかしら、女性の方が当店にいらっしゃったんです」
私:「え?」
「何か言ってました?」
店:「それが…」
その女性店員の話は、以下の通りでした。
■配送員が仏壇をご実家にお届けしてから数日後の出来事だったと思う。
■ある女性が夕方1人で来店された。
■その女性は「私はK市の職員」と言い、「共済カード」を提示して来た。
■「数日前、弟がここで仏壇を購入したようだが、この共済カードで割引されるのではないか?」と聞かれた。
■確かにそのカードを提示すれば、割引サービスが受けられる。
■しかし、それは「購入時」のみのサービスであり、更に「本人」が購入された場合のみ。
■事情を説明したら、そのまま帰って行った。
私:「……非常識ですよね……」
「まったく、お恥ずかしい限りで…」
「その後、またお店に来たりしましたか?」
店:「いえ、それ以来、いらしてはないですね」
私:「ああいう感じなので、戸籍まで偽造したんですよ」
その日、私達夫婦はカウンターに置ける仏壇をオーダーして帰りましたが、帰りの車中で、再びその話題になりました。
妻:「ありえないよね…」
私:「うん」
私も妻も、怒りを通り越して、「次女H」の行動には呆れるしかありませんでした。
この後、霊園の管理事務所に連絡を入れ、私の家の宗派の住職を探してもらい、少し遅れた「一周忌の法要」を、私達家族のみで取り行いました。
それから数日後、私の自宅に家庭裁判所から「訴状」が届きました。
「養子縁組無効確認反訴事件」
私の長男の戸籍を戻すために、私達が起こした「離縁無効請求事件」に対抗し、父はこともあろうか「反訴」という形で新たな訴えを起こして来たのです。