松山ケンイチさんインタビュー
若かりし日の森の中から抜け出して
恋愛にはまちがいも正解もない
おなじ傷をもった者どうし
支えあおうとすることも
責任という感情も
すべてをひっくるめて愛だと思う
ぼくの箸の持ちかたって
どんな感じですか?
2011年に4本の主演映画が公開される、松山ケンイチさん。そのすべては、すでに今年のうちに撮影が終わっているといいます。「これまでの限界を超えました(笑)」という松山さんに、この多忙を極めた1年で、強く印象に残った出来事を挙げてもらいました。
「撮影の現場で、ぼくを応援してくださっているという女性から手紙をいただいたんです。そこには『応援しています。でも箸の使いかたを直してください』と書いてあって、最初びっくりしたんですよね。いままで、そんなところを見られているなんて考えたことがなかったから。ぼくたち役者はいろいろな部分で表現をしています。表情、目の動き、手の動き、しゃべりかた、そういうところはいつも意識しているんですけれど……。お客さんはいろんなところを見ているんだなと気づかされましたね。だから、それからは箸には気をつけるようになりましたよ(笑)」
そんな思いがけないエピソードもあった2010年の最後に、満を持して公開される映画、『ノルウェイの森』。1987年に刊行された村上春樹さんの大ベストセラー小説を映画化したのはベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督。トラン監督は、日本で日本人の役者が日本語で、ということにこだわり、松山さんはオーディションで、主人公・ワタナベの役を射止めました。松山さんにとっては2度目の海外の監督との仕事。
「トラン監督はとても品性のある方でした。それは映像のなかにも表れています。できあがった作品を観て感じましたが、ワタナベがとても綺麗で品を感じるたたずまいなんですよね。いままでのぼくにはなかった表現でした」
ワタナベは、高校時代に唯一の親友だったキズキを自殺で失い、彼の幼なじみであり恋人で、ともに高校時代を過ごした直子と大学生活をはじめた東京で出会い、恋に落ちる。そして、大学で出会った緑にもこころ惹かれていく。一方で直子は、ワタナベを求めながらも、キズキがこころのなかに住みつづけ、精神のバランスを崩していく。そして直子は死を選ぶ。「生と死が緑と直子に象徴されている気がしていました。直子が死に引っ張られていくのをワタナベは追いかけて、先に行ってしまいそうになる直子の手をちゃんとつかんで、そこで踏ん張っていっしょに生きていきたいと思っているんです。緑がワタナベに与えている太陽の光のような温かい愛を、ワタナベは直子に向けて注ぎたかったんじゃないかな。でもどれだけ精いっぱいの愛を直子に与えたとしても、ワタナベは直子を最後まで理解することはできなかった。だからこそいつも追いかけてたんだと思うんです」
閉じ込めなくても
いいんだと気づいて
17歳、18歳、19歳、20歳。その年齢を生きている最中、若さゆえに、ひとは時に自分自身をえぐるように内面を深く深く掘り、入り込んでいく。「危うい年ごろ」。トラン監督はそう表現しています。そしてその揺らぐ精神と成熟する身体は、アンバランスなまま強く絡み合っているのかもしれません。原作でも、登場人物たちの“性”はとても繊細なかたちでていねいに描かれています。
「原作を読んだときには、性にかかわる表現が相当大変なのではないかと、覚悟していたんです。でも、それはぼくが何もわかっていなかったんだということに、後々気づきました。トラン監督の表現のしかたも、この物語における性の意味も。“濡れ場”という言葉をよく使いますが、この作品ではそうではなく“芝居場”でした。作品全体を通して観たとき、すごく意味のあるシーンだということが改めてわかりました。性行為にかかわるイメージはギリギリまで排除しているんですが、それはこの作品にとってすごく重要なことだったんだと思います。監督がお客さんに感じとってほしい“意味”を表現するために、必要な描きかただった。直子はつねに自分自身を試そうとしているんです。たった一度だけワタナベと交わることができた自分をまた、取り戻そうとしてる。それが直子にとって生きていることと強く結びついているからなんです。そのとき一瞬、生のほうに来ることができたんだと思う。もし、もう一度することができたら、死の淵から戻ってくることができるかもしれないって。ひとすじの希望だったんだと思います」
トラン監督のいう“危うい年ごろ”について、25歳の松山さんは「ぼくは、もうその先に来ているような感じがしています。演じているときはわからなかったんですけれど……」と言います。
「でも自分自身の方向性の定義って、つい最近までできていませんでしたよ。いつまでもあやふやなままなんじゃないかと思うこともありました。でも最近だんだん見えてきたような気がするんです。ふだんの生活や、一つひとつの出会い、コミュニケーションを通して、やっと自分が固まってきたような。いろいろな方向に目を向けられるようになったから、言うこともすることもすごく変わってきたなって感じています。仕事に関して言うと、あるときふと気づいたんです。これまでは仕事中に、ひとりでイライラしていることが何度となくあって、でも、それがなぜなのかはわからなかった。でも、それは腹立たしさやイラつきを感じていることについて、口に出さないようにしていたからなんですよね。『どうして、こういうことになるんですか?』と、理由を尋ねたらよかったんです。もちろん仕事ですから、拒否しようとか文句を言おうとかいうことではなくて、ただ、その訳を聞こうともしないで、意味がわからないまま受け入れていることにイライラしていたんです。ちゃんとコミュニケーションをとって解決していけばいいだけだったのに、どうしてそれに気づけなかったのかなぁ……。そう思って口に出してみたら、ずいぶん変わりました」
また新しい一歩を踏み出した松山さん。この『ノルウェイの森』でも、「おとなになっていく」自分に気づいたのだそう。
「撮影前、トラン監督に『キミはこの作品をとおして、大恋愛をするよ』って言われていたんですけれど、たしかにしました。ワタナベとして、ぼくが疑似体験したことで、大恋愛で得たワタナベの“理解”を肌で感じることができた。ひとはたった一人の人間ですら変えることは難しくて、自分を賭してもどうにもならないこともあるということがわかったし、若さ特有の“覚悟”とはどういうものかということも理解することができたし、目の前の幸せをつかみとることの大切さということも感じました。ワタナベはこの大恋愛を通して、なくしたものがあるからこそ、これからの人生で手に入れられることがたくさんあると思うんです。ぼくも、そう。ワタナベといっしょに、ひとつおとなになったし、いい意味で一人の人間としてできることの“精いっぱい”を知ることができました」
最後に2011年の抱負をたずねると、「箸がうまく使えるようになったらいいと思います!」と周囲をわかせ、その意味を話してくれました。
「今まで気づいていなかった部分にまでも役づくりをできるようになれたらいいなと思うんです。役らしさ、キャラクターの色が、箸づかいにも表れていれば、またひとつ説得力が生まれますから」 松山ケンイチさんの2011年は、どんな1年になるのでしょう。
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