中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は3月31日の総会で、大手製薬企業が大型化を見込む高血圧症治療薬や糖尿病治療薬など10成分13品目の薬価を了承した。これにより4月16日付で保険適用となる。

 高血圧症治療薬は、いずれもアンジオテンシン2受容体拮抗薬(ARB)とカルシウム(Ca)拮抗薬の配合剤。ノバルティスファーマのエックスフォージ配合錠の薬価は130.10円。ARBバルサルタン(製品名=ディオバン錠)の薬価に八掛けし、これにCa拮抗薬アムロジピンの後発医薬品の最低薬価を加えて算定した。同社では、ピーク時に426.5億円の売り上げ規模になると予想している。
 一方、第一三共のレザルタス配合錠LD、同HDの薬価は、各91.00円、170.10円。ARBオルメサルタン(オルメテック錠)とCa拮抗薬アゼルニジピン(カルブロック錠)の薬価の合計に八掛けして算定した。同社によるピーク時売り上げ予想は476億円に上る。

 総会で安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、「後発品があるのはエックスフォージのアムロジピンのみだが、もう片方のディオバン、あるいはレザルタスの片方か、両方に後発品が出たら、薬価は再算定されるのか」とただした。これに対し、厚生労働省の担当者は「最初の後発品が出た先発品について、現行では4―6%追加で薬価を引き下げている特例引き下げルールがあるが、例えばエックスフォージの場合、ディオバンに後発品が出ても、そのルールは適用されない」と答えた。これを受け遠藤会長は、「後発品が出そうになった段階で配合剤にすれば、特例引き下げを回避できることもあり得る」と述べた。今後、中医協薬価専門部会で議論する。
 また、嘉山孝正委員(山形大医学部長)は「『2010年問題』で新薬が出にくくなっているからこそ、こうした配合剤が出てくる。薬価の決め方を再考してみたらどうか」と提案。他の委員から異論は出ず、新薬開発の原資を確保する観点から薬価専門部会で薬価算定ルールの抜本的見直しを検討することで合意した。

 糖尿病治療薬は、ノバルティスの国内2番手のDPP-4阻害薬エクア錠と、大日本住友製薬のメトグルコ錠。エクア錠の薬価は、1番手のDPP-4阻害薬の薬価に基づき104.70円となり、ノバルティスはピーク時に274.9億円の売り上げを予想。
 メトグルコ錠は、同一成分の既収載品(メルビン錠)を高用量まで使用できるようにしたもので、薬価は9.90円、大日本住友製薬によるピーク時売り上げ予想は61.0億円。メルビン錠は1961年に発売された古い医薬品だが、メトグルコ錠は新薬扱いとなり、保険適用から1年間、14日の処方制限が掛かることに関して、安達委員は「長く使用されてきた医薬品が投与量を変更したり、新たな適応を取得したりした場合、おしなべて新規の薬剤の扱いとすることで、薬価算定から投薬日数(14日処方制限)に至るまで新たな枠組みを画一的に適用することには大きな疑問を感じざるを得ない」と述べた。遠藤会長も同調し、これも今後の中医協での検討課題となった。

 このほか薬価が決まったのは、▽塩野義製薬の抗うつ薬サインバルタカプセル(ピーク時売り上げ予想244.0億円)▽ノバルティスファーマの腎細胞がん治療薬アフィニトール錠(30.0億円)▽大鵬薬品工業の抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状用薬アロキシ静注(60.7億円)▽シェリング・プラウの解毒剤ブリディオン静注(82.4億円)▽同社の悪性神経膠腫治療薬テモダール点滴静注用(6.45億円)▽ファイザーの緑内障、高眼圧症治療薬ザラカム配合点眼液(147億円)―。


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