こんにちは。
臨床心理士☆福森です。

今回は、カウンセリングを受ける方々へ向けて書いてみます。

私が精神科クリニックで患者さんとお会いしていても、最初によく聞かれる質問です。
それも患者様以上に、ご家族から聞かれることが多いですね。

やはり、そこを心配されるのは当然ですね。
お金や時間がかかるというのもさることながら、一日でも早く良くなってほしいと思うのが自然な感情でしょう。
もちろん、そうでないご家族もいらっしゃることは、よく承知しておりますが。

この「カウンセリングって効果あるんですか?」という問いに、この場でも答えておきましょう。


Therapy by Microsoft ClipArt
[写真はイメージ画像です]

◇カウンセリングが目指すもの

カウンセリングと似たイメージで捉えられているものに、コンサルティングやケースワークなどがあります。

コンサルティングとは、ある事柄に詳しい専門家が、問題を抱えた方に適切な助言を与える行為を指して言います。

一方、ケースワークとは、問題を抱えて困っている人に対して、「こういう制度がありますよ」とか「こういう支援者に協力してもらいましょう」といった〝社会資源〟の活用によって援助を図る行為を言います。

特にケースワークでは、問題を抱えた人が自分だけで社会資源を活用できない場合、〝代理行為〟といってケースワークを提供する人(ケースワーカー)が橋渡しで動いてくれるのが特徴です。

これに対してカウンセリングの場合は、問題を抱えて困っている人の気持ちに寄り添うことが基本的な援助法になります。

一つの例を挙げましょう。
あなたが重い障害を負って、働くことも出来ず、生活するお金もなくなってしまったとしましょう。

コンサルティングであれば、「それなら市役所の福祉課に行きなさい。生活保護をもらえばいいのです。」と助言するでしょう。
ケースワークであれば、同じ助言をするだけでなく、もしあなたが動けないのであれば代わりに市役所に行ってくれるでしょう。

でもカウンセラーはそのどちらもしません。
カウンセラーは、あなたの話に深くうなずきながら、お金がなくて不安になっているあなたの気持ちに寄り添おうとするでしょう。
(現在では、さすがにここまで受身に徹するカウンセラーも少ないでしょうが、ここでは一つの基本的なモデル提示として)

え?
不安に寄り添ってくれるよりお金を工面してほしい?

わかります。
「同情するなら金をくれ!」という名ゼリフのドラマも昔にありましたね。

でも、ここに先の質問の答えがあるのです。


◇目標なくして効果なし

カウンセリングに効果があるのか否かを判定する上で、そもそも何をカウンセリングの目標とするかは、とても大切な点です。

これが「お金が欲しい」であるなら、カウンセリングでその望みを達成しようとすること自体が間違っていたのです。
お寿司を食べたいのにラーメン屋に入るようなものかもしれません。

ですからカウンセリングでは、最初のセッションの時に「あなたは何をこのカウンセリングで達成したいですか?」という点を明確にするのが基本です。
そして、あなたが達成したいことと、カウンセリングで提供できることとをすり合わせる作業をするわけです。

例えば、「お金が欲しい」と言われても、カウンセラーにはどうすることもできません。
私だって欲しいくらいですから。

でも代わりに、あなたが「お金がない」ということでどれほど不安であるのか、その不安をどうやって耐えているのか、これまでに自分ではどんな努力をしてみたのか、といった点にあなたの意識の焦点を当てるお手伝いはできます。

そして、「お金がなくて不安」と思っていた気持ちの背後に、「親には迷惑をかけられない」とか「今まで人を頼らず頑張って生きてきたのに、今の自分は情けない」といった、いろいろな思い込みがありはしないかと、あなたの気付きを拡げるお手伝いはできるでしょう。
実はこうした思い込みこそが、あなたを苦しめている真の問題であることも多いのです。

つまるところカウンセリングとは、あなた自身を縛っているあなたの中の気持ちに気付くことを助け、あなたの心を自由にするお手伝いをすることなのだと言ってもいいでしょう。

カウンセリングに効果があるか否かは、最初の目標設定(あなたは何を望んでいて、カウンセリングでは何ができるかのすり合わせ)にかかっています。

もしも、あなたがすでにカウンセリングを受けていて、あなたのカウンセラーとの間で目標設定があいまいになってきているのでしたら、この機会に、二人で目標設定を検討し直してみてください。
必ず、あなたにとって得るところの多い話し合いになるはずです。



《 セラピー、カウンセリング、セミナーをご希望の方は》
e-mail: cp.fukumori@gmail.com