■ 第15話 真の王命
日光にさらされながらも、ユンからヤンソンを守ろうとしたソンヨル。
剣をふりかざすユン。そこへ、イノが救出にやってくる。
官軍を一人で相手をしながら、ソンヨルにジンを連れて逃げるように告げるイノ。
ユン「遠くにはいけまい。捕まえろ。」
渾身の力を振り絞り、別の隠れ家に身をひそめるヤンソンとソンヨルのもとに、スヒャンが駆けつける。
この状態では、ソンヨルは夜になるまで、外に出られない。日が落ちたら、馬に乗せ、この先の村の隠れ家に向かうよう指示するスヒャン。
以前、ソンヨルに助けられた味方が済んでいる里だから、そこに行けば安心だと。
お馬、賢い!!
ちゃんと、その隠れ家に到着しだところで、馬ナビでもついているかの如く、一歩も動かなくなりました。
そこで出会った親子は、依然、ソンヨルに助けられたことがあり、ソンヨルが吸血鬼であることも、血が必要であることもすべて承知していた。
「必要なものがあれば、なんでも言ってください。」
主人が出て行ったあと、自分の指先を噛み、数滴の血をソンヨルに含ませるヤンソン。意識を取り戻すソンヨル。
「これ以上はだめだ。」
かぐわしいヤンソンの血を必死で我慢するソンヨル、ホント、節制の人!
ヤンソンは、主人親子の助けで、動物の血を手に入れ、ソンヨルの命を救う。
「どうして、ここを知った?」
「スヒャンさんに教えてもらいました。よくなるまで、ここを出ることはできません。」
うたた寝をしているヤンソンを見ながら
ヤンソンのたった数滴の血が 自分の意識を取り戻させたと知ったソンヨル。
「これが、母系の血の力なのか?」
一方、ヘリョンは 黒い道被をユンに渡し、クィにはソンヨルを騙せなかったと嘘をつく。
~ユンの居室~
「いつ キム・ソンヨルを知ったのだ。なぜ、黒い道被を手に入れることができたのか」
「殿下が、なぜ、それをお聞きになりたいのか、わかっております。実は、世孫嬪になる前から、知っておりました。最初 会ったとき、彼は、亡くなった恋人と 私を間違えたのです。私の父は、クィに従属しております。先日、父に地下宮殿に連れていかれ、キム・ソンヨルから道被を奪わないと、クィは私を吸血鬼にすると脅しました。」
首の噛み傷を見せるヘリョン。
「そこで、彼を見つけ出すしかなく、既にかなり弱っている彼を見つけました。過去の恋人のふりをして、黒い道被を手に入れました。クィには、マントを手に入れられなかったと話しました。」
「それでは、そなたが あまりにも危険だ。まずは、私がクィのもとにいかねば。」
ノ・ハギョンが棺桶の中で暴れている。足で押さえつけるクィ。
「王妃は何をしている?王も現れない。」
~回想~
10歳にも満たないヘリョンが泣きながら、父にすがるも 地下宮殿に連れてこられる。
自分の出世のために、ヘリョンをクィに差し出す父。
~ヘリョンの居室~
クィが ヘリョンをたずねてくる。
「なぜ、報告にこない。俺のほうから出向いてやったぞ。キム・ソンヨルの黒い道被はどうした?」
「手に入れることはできませんでした。淫乱書生の娘に恋をしているのです。もう私では通用しません。」
そこへ、ユンが部屋に入ってくる。
「ここで、なにをしているのです。」
「王には、我々が何をしているように見える?」
わざわざ、ユンに見せつけるように、ヘリョンをバックハグ
「彼女を離してください。私は、あなたに従うといったのに、私の妃に 狼藉を働くのか」
「キム・ソンヨルをつかまえたか。」
「私たちが到着したときには、すでに逃げたあとだった。」
全国に、ソンヨル捕獲の触書を出すと話すユン。
口笛を吹き、ハギョンを呼びつけるクィ。ユンを突き飛ばし、襲い掛かるハギョン。ユンに襲い掛かる。まるで、狂犬病にかかった犬のような状況。
「なぜ、このような姿に。。。」
「ショックだろう。友のこんな姿を見るのは?あまり近づくなよ。躾の途中だからな、お前に噛みつくかもしれない。だから、うまく立ち回れ。王妃をこのような姿にしたくはないだろう。」
「行こう。」ハギョンを連れて戻るクィ。
「陛下、大丈夫ですか」
「クィ、俺はお前を簡単には殺さぬ。絶対、同じだけの辛さを味あわせてやる。」
怒りに震えるユンを抱きしめるヘリョン。
~地下宮殿~
道被の切れ端を蝋燭にかざすクィ。熱にも強いのか。燃えもしない。
スヒャンは、領相を通じて、クィから大金を受け取る。
これで、好きなところに行って、ぜいたくに暮らすといい。
いえ、私は、あの方がいつお見えになってもよいように、もう一度、華陽閣を立て直そうと思います。
なんだと?あの方がお前を生かしたからといって、ずいぶん、軽く考えているようだな。
強いものに従うのは当然では? 私はあなたの娘よりも従順です。大監にとっても、利用価値があると思いますが。
~宮殿~
クィは朝議を深夜に変えさせて重臣たちの前に姿を現し、ユンに、先王ヒョンジョを罪人とする即位教書を読ませる。
唇をかみしめるユン。途中で、クィが姿をみせる。ざわめく朝廷の高官たち。
「続けろ。」
~隠れ家~
ヤンソンは、かいがいしくソンヨルの世話をやく毎日を過ごす。可愛らしい恩人の娘をみて、妹を思い出すと話す。将来の夢が、学士様のような方と結婚し、幸せに暮らすことだというので、学士様はダメだと言ってやりました、というヤンソンに、笑顔をみせるソンヨル。
「聞いてもいいですか。私が秘策だというお話でしたが、それは本当ですか」
「いや・・・それは違うのだ」
「でも、王は (私を)クィに差し出すといわれました」
「違うといったぞ。王は、誤解されているだけだ。本気にしてはいけない。」
「学士様は、すでに、十分、長い間、戦ってこられたでしょう。こんなふうに、私とふたりで、しばらくの間、穏やかに暮らすことはできませんか。」
「しばらくとは、どのくらいだ。」
「10年か、20年、いえ、50年・・・学士様には、そのくらいでも、しばらくでしょう。そうすることができれば、どんなに。」
「それを聞いて、傷のおかげで体は重いが、しばらくぶりに、心が軽くなった。」
口づけをする一瞬、ためらうソンヨル。
今の私を受け入れることは、お前を傷付けることになるのだ。
ふたり、かたく抱きしめあう。
~再開した華陽閣~
スヒャンは、両班の姿になったクィに、カヤグムをきかせる。
成均館の儒生たちがクィに抵抗しているが、結局、自分たちでは何もできず、無能な王を引きずりおろすような流れになるだろう、と話すクィ。
「あなた様の望みどおりにいかないことなど ありましょうか」
「わたしが、なにを 願っていると」
「あなたは、傀儡の王ではなく、ご自分で支配なさりたいのでしょう。」
「おい、お前ごときに何がわかる」
領相が咎める。
「いや、彼女が言ったことは正しい。そのためにも、キム・ソンヨルを始末しなければ」
キム・ソンヨルをおびき出す算段をする領相とクィ。
街に 触書がはられる。
未婚の女性を 各村から 毎月供出すること。
黒い道被を来ているものを かたっぱしから捕まえる官軍。
~皇宮~
「お客様です。」
スヒャンが ヘリョンをたずねる。人払いをして、ふたりきりで話をする。
「黒い道被は、あなたのもとにありますね。中殿様、あなたは、クィの女でしょう。そのことを王はご存じなのですか?」
「そなたは私を脅すのか?」
「長年、キム・ソンヨルに仕えてきました。彼のために、命を投げ出すことなど、たやすいことです。」
「私はこの国の王の妃だ。」
二人とも、愛する男のために、死力を尽くすことを決意している。
「クィを殺すことができるのは、彼の子孫のみ。私は、直接、クィから聞いたのだ」
村では、処女を差し出す話でもちきり。
身を寄せている村には、恩人の娘のみ。ヤンソンの心配が的中する。
「数日の間に、迎えにくるからな。準備しておけ。」
主人に言い捨てる官軍の手先。
スヒャンはソンヨルの隠れ家を訪れ、クィがソンヨルを誘き出すために王宮に未婚の娘を献上せよというお触れを出したことを知らせるが…。
「ヤンソンをクィのまえに差し出しましょう。」
「なにをいっている。昔、私の恋人は私のために命をさしだし、私は生きながらえた。また、おなじことをくりかえさせるのか。そんなことはできない。」
話を外できいてしまうヤンソン。
外にいたヤンソンの姿を見て、驚くスヒャン。
「きいてしまったのなら、きちんと知るべきでしょう。」
「私は、クィのために、二人の父を失いました。これで、学士様まで失えません。そんことになったら、耐えられません。ここで、学士様と穏やかに過ごしたいです。」
「それでいいの?あなたの子供、そのまた、子供が クィにねらわれ続けるのよ。人々は永遠に、クィの恐怖から逃れられない。あなただけが、それを止められるのよ。」
ショックを受けるヤンソン。
~回想:ソ・ジョンドとソ・ジン~
お父様、わたしも かわいらしい服が着たいのに。
いまは、それができない。
でも、世子様が必ず、その方法をみつけてくださる。それまでは我慢してくれ。
ヤンソンを待っていたソンヨル。だいぶ、起き上れるようになった様子。
「随分、帰りが遅いな。少し、散歩に出たいが、付き合うか?」
微笑むヤンソン。
「あ、そうだ。」
ソンヨルの手を引き、しゃがむようにいうヤンソン。
新しい靴をもっている。ソンヨルに履かせる。
「これを買うために、夜なべをしていたのか?」
「もう書店の仕事はできません。物語をかく才能もないし。」
「それは残念だな。次の 夜士伝をまっているのは、私だけではないと思うが・・・」
それを聞き、寂しげな表情を見せるヤンソン。
「あれは、作り話でした。学士様の負担をなにもしらなかった。」
現実との差に戸惑い、筆をとれない状態だと、ヤンソンは素直に打ち明ける。
「いつの日か、平和になったとき、必要なのは 夜士ではない。彼らに夢と希望を与えることができる人間だ。」
まぶしげに、ソンヨルを見つめるヤンソン。
「どうしてそんなふうに見るのだ?」
「あなたが美しくて・・・。」
「え?」
「まえに、学士様がおっしゃったんです。美しい・・・私の心が美しいと。あなたがおっしゃってくださったのです。」
どれくらい回復したかどうか知りたい、と ヤンソンをおんぶするソンヨル。
「重くないですか?」
「身体も軽くなったが、心も軽くなったようだな。」
「どうやってわかったんですか?」
ソンヨルの靴をそろえるヤンソン。
眠るソンヨルに、最敬礼をして 地下宮殿に向かうヤンソン。
ホジンと イノが ソ・ジョンドの邸をたずねる。
「旦那様はなんどもここにきて、何かを探されていました」
イノが 急に 思いつく。
「そうだ、重要なことを見落としていた。王にしらせなければ。」
母系というのであれば、ソ・ジンの母もまた、その資格があったが、彼女は、クィにかみ殺されたが、彼は命をおとしていない。ヤンソンが身をささげても無駄だ。
街中でも 若い娘が連れて行かれる姿があちこちで見かけるようになる。
高利貸しコンビが「お前らにも 娘がいるだろうに、なんてひどいことをしやがる」と怒りを露わにしてます。そこへ、イノが通りかかり、「気持ちはわかるが、あまりでしゃばると、身が危険だ」とけん制する。
「兄貴!」なぜか、イノを慕いはじめる高利貸しコンビ。
ヤンソンの姿が見えないことに不安を覚えたソンヨルが探し回る。
村人親子の言い争いをきいてしまう。
「どういうことだ。ヤンソンはどこにいったのだ。」
村人にたずねるソンヨル。
「実は、この娘の代わりに、連れていかれました。」
死ぬ罪をおかしました。と詫びる村人。
「あなた方のせいではない。」
ユンの着替えを行うヘリョン。下に道被を着込んでいる。
~地下宮殿~
客人がそろそろ来るころだな。
村をでて、馬を走らせるソンヨル。
「ヤンソナ~ だめだ ヤンソナ~」
屋敷に立ち寄り、ホジンと再会する。
「ヤンソンが、貢女として、皇宮にむかった」
「ヤンソンが? あ、旦那様、違うんです」
ホジンが、イノが気づいた事実を説明する。
ヤンソンの実の母は、クィにかみ殺された。でも クィが生きているということは、ただ母系の血を飲んでも、クィは死なないんです。
~華陽閣~
ヤンソンの身支度を整えるスヒャン。
「クィが、人間と恋におちて、子供がうまれた。その末裔があなた。でも、このように命をおとさなければならないなんて」
「私が選択したことです。学士様に、生きてもらうために。」
★第16話に続く★
チャレッソ~~ イノ殿!
よく、ヤンソンの実のオモニのことを思い出してくださいました!
いや~、ユンが血眼になって、ヤンソンをクィに捧げようとするから、みんなして引っ張られたよ。。。いや、おじいちゃん もとい、ヒョンジョのせいか。貞顕世子も3つ必要だって最初から言ってるじゃん。
ま、そりゃ、やり方は書いてないけど。。。
ゲームのヒントアイテムと 攻略法は別物だってことです。
ここにきて、ヘリョンがユンに対し、愛情を寄せ始めたので、頭の回転が速いダークなやりとりができるクィのお相手が必要になり、それをスヒャンが担ってます。
も、スヒャンやヘリョンが、ヤンソンをクィに捧げようと、躍起になってます。この二人にとって、ヤンソンの存在は、自分たちが手に入れられない「愛」そのものなのかな。
そんな中で、ヤンソンとソンヨルのやり取りが、とても成熟してきたように思います。ソンヨルがヤンソンを守るという一方的な関係から、お互いを思いあえる、本当に素敵なカップルになりました。