■ 第11話  お前は私のものだ

 

崖から身を投げようとしていたヤンソン

「もうなにもかもわからなくなりました」

「そんなに死にたいなら、死に場所に行こう」

 

クィを本気で倒す気があるのなら、華陽閣にお越しください。そのとき、備忘録をお渡しします、というソンヨルの言葉を考えているユン。

クィは、ユンの王としての資質と自分への忠誠心を早く確認したいとし、まずは、私が選んだ娘、領相の娘ヘリョンと結婚させよとヒョンジョに命じる。

 

現世に残したものが心配で、成仏できない魂が集まるという川辺に来る二人。

 

どうだ。見えるか?この美しい自然全てが、父親が命がけでお前に遺したものだ。自分の身代わりとなって死んだ父親を思えば、胸がはりさけそうであろう。でも 生きろ。父親をしのぶことで、何も意味のない人生であっても耐えて生きろ。私もそうしてきた。現世に残ったものが手放さないかぎり、魂はさまよい続ける。ここで、父親を開放してやれ。

 

ミョンヒや、私もそろそろ、お前を手放す時がきたようだ。

ずっと愛し続けると誓ったが、すまない。だが、他の女性を愛してしまった。心から詫びる。

 

邸に戻ってきたふたり。

私の許可なく、離れても、病気になっても、泣いてもいけない。おまえは私のものなのだ。

ヤンソンは部屋を用意され、家事をしながら暮らすことになる。

 

父が命をかけて守った遺品のようなものだから、貞顕世子の備忘録をみたいと申し出るヤンソン。これを探していた理由が、クィを倒すためであり、ここに秘策が書かれていると知り、これは、学士様がお持ちください、と戻す。

その代わり、ジンと世孫を結ぶ筆箱を渡される。

なんで、これをお父さんが持っていたのだろう?


ソンヨルの書庫にやってくるヤンソン。本の香りに、機嫌がよくなる。

「古書ばっかりね。恋愛小説は読まないのかな」

「右へ2歩だ。そこにある。ところで、なぜ、ここへ。」

「眠れなくて・・・。古書を呼んだら、すぐ眠くなります。」

「そうか、では私も読むとするか。」

案の定、気付くと寝ているヤンソン。眠りながら笑顔になるヤンソンを見つめるソンヨル。

寝室に運ぶと 今度はうなされている。

悪夢を見たのか?

ここ数日、人か獣かわからないものに、噛まれる夢をみます、と肩の古傷をおさえるヤンソン。

 

旦那様 いままで ヤンソンの部屋に?

とうとう、部屋まで与えて、一緒に暮らすことになったヤンソンに対し、穏やかでないスヒャンの気持ち。

「ソ・ジンだったときの記憶が戻り、実父を殺したのが旦那様だと知ったら、また、旦那様が吸血鬼だと知ったら・・・。」

「私のもとを去るであろうな。」

「愛を育んでも、いつかは去る子です。」

それでも、その夢がさめるまでは、それまでは、大事にしてやりたい、と考えるソンヨル。

 

ソンヨルの屋敷で、慣れない家事に励むヤンソン。

もちろん、そこは、お約束どおり、ハチャメチャ(笑)

ホジンが音を上げる。

お願いします、邸中、ひどいことになります。彼女に仕事を与えないでください(泣)

恐ろしくまずい料理も、おいしいといって食べてくれる学士様ドキドキドキドキドキドキ

張り切るヤンソンに、「無理するな、生きる理由は、生きているうちに見つかるものだ」と優しい言葉をかけるソンヨル。

 

領相は、ユンとヘリョンの婚姻に反対をする。

「世孫は、いまは、服従の意志をみせているが、いずれ反旗を翻します。淫乱書生が世孫であるという証拠をいま、集めています。」

「いいえ、淫乱書生は死んだチョ・センです。彼が、備忘録をソンヨルに残した可能性が高いとなれば、つかまえるべきは、キム・ソンヨルです。」

父娘で言い合いをはじめると、クィは、領相にむかって、さがるように命じる。

しかも、一言も発せず、手つきだけで く~~~ゾクゾクする

父を憎み、父より上に立とうとする娘。

面白いな。

そんなに 世孫嬪になりたいか。王の女ではなく、俺の女になるのはどうだ?

私は、力のある人間になりたいのです。

きゃ~、顎クイです。

もうさがってよい。

クィが、なにかを考えているわ~~~。

 

備忘録に書かれた人物の名前を 紙に書くソンヨル。

それをみたヤンソンは、学士様、小説でもお書きになるつもりなのですか?どうして 家系図を?とたずねる。

「これが家系図?」

ええ、小説をかくときには、登場人物の係累などもあらかじめまとめるんです、と話すヤンソン。

それに似ていると。

「ほら、この人とこの人の子供が この人。ね?」

「そうか、これが母系か。お前が小説を書いていたことが、役に立つこともあるのだな。」

褒められてうれしいヤンソン。

 

袖の下をもらい、ヤンソンを ソンヨルに譲った役人が、領相に詰め寄られる。

「大重罪人のむすめだぞ」

「想像以上の大金をつまれて、農地の半分は 領相様の名義にしてあります」

「誰が、ヤンソンを連れて行った?」

「キムとかいう清の国の豪商です」

「まさか、この男か」

ソンヨルの似顔絵を見せる。

「そのとおりです」

「どこにおる」

「華陽閣に出入りしているそうです」

 

ソ・ジョンドの屋敷を買い取る話をして情報を得ようとするソンヨル。

そんな中、ソンヨルはソ・ジョンドの屋敷を訪れ、ジョンドの命日になるとやってくる猟師の存在を知る。

 

婚姻に二の足を踏むユンに、ヒョンジョは、他に考えている娘がいるのか尋ねる。

「いいえ、婚姻の相手が、領相の娘となれば、いわば仇のこどもです」

「だからこそ、クィは命じてきたのだ。忠誠心をみるために」

「私の動きは、すべて領相とクィに知られることになります」

「余がそうしてきたように、身近な側近にさえ、真意を悟られてはならぬ。いまは、クィに従うしかない。」

淫乱書生を助けた吸血鬼が備忘録をもっていることを王に報告するユン。

手を結べば、クィを倒せると進言するが、吸血鬼などの力をかりれば、クィなきあと、また、そいつが君臨するだけの話ではないか。と反対される。反論できないユン。

クィ討伐の指揮は、サドン世子の親友 ソ・ジョンドの側近で、ユンの武芸の師匠を務めていたペク・イノが取る予定だと告げるヒョンジョ。

 

ハギョンのところに、ようやく出向くことができたユン。ええっと、クィの監視は解かれたの?領相が、やっきになって 証拠さがしをしているんじゃなかったでしたっけ。

「お待ちしておりました。」

「身体は屈しても、志は曲げぬ。」

「わかっておりました。それで、私はなにを。」

「人を探してもらいたい。」

 

一足先に、ペク・イノの居所をたずねたソンヨル。

イノは自分に会いに来たソンヨルが吸血鬼だと気づき、ジョンドの仇とみなして銃で撃ってしまう。

 

撃たれたソンヨルが 邸に戻ってくる。

ヤンソンに気づかれないよう、スヒョンがケガの手当てをする。

スヒャンは、ヤンソンを 華陽閣にいかせる。

血をたどり、邸近くまでつけてきたペク・イノが、華陽閣に向かうヤンソンをみかける。

ソ・ジョンドの娘、ジンと気づく。

 

一方、ソンヨルに会うため、華陽閣にくることは来たユンだったが、やはり ヒョンジョの言葉にそむくことができず、取引を中止するつもりで引き返すが、ヤンソンとすれ違う。

ユンに気づいたヤンソンは、二度と会わぬという言葉を思い出し、急ぎその場から離れる。

ヤンソンを見失ったユンは、追手の存在もあり、ヤンソンに会うのをあきらめる。

 

ソンヨルから取り出された銃弾は、普通のものとは違い、イノが、相当、吸血鬼のことを調べていることがわかる。

「しかし、敵ではない」と確信しているソンヨル。

 

「ヤンソンは今どこに?」

「念のため、華陽閣に行かせました。」

「なんだと、世孫が寝返れば、あそこが狙われる」

銃弾を取り出したばかりの身体だというのに、無理を押して、ヤンソンのもとにむかうソンヨル。

 

ユンに会ったことで、ユンとのこれまでのことを思い返すヤンソン。

筆箱をみて、もしや、さがしている友人は、本当に自分のことではないかと考える。

筆箱まで持ち歩いてるなんて、さすがヤンソン。ドラえもんみたい。

そこへ、ソンヨル到着。

なぜ、許可なく邸を離れた?言ったはずだ、お前の主人は誰だ。

学士様です。

帰ろう

ヤンソンの手をひき、帰路に着くソンヨル。

置き忘れた筆箱を手にとるイノ。

 

手を離しても、ついて歩けます。

それでも、手を離さないソンヨル。

怒ったんですか?私が勝手に仕事をしたから?

お前を使用人とは思っていない。

なぜ、私を手元に置かれるのですか?

当ててみろ

「1番 心配だから。2番 恩返しをさせるため・・・」

心の中で、 3番 私を愛しているから とおもうヤンソン。

「3番だ」

「え?3番? 内容も知らないのに?」

「では、3番はなんなのだ?」

「それは、それは言えません」

「とにかく、正解は3番だ」

ちょこまかとついて歩くヤンソン(笑)

 

配下の者から報告を受けるヘリョン。

「領相殿の配下を殺しました。」

「・・・で、世孫はソンヨルに会ったの?」

「いえ、誰にも会わずに戻られました。」

「そう、ご苦労」

ヘリョンは、父親の先手を打つ策を講じる。

 

邸に戻ってきたヤンソン。ソンヨルが気になり、部屋の前まできてしまう。

それが、影絵のように、ソンヨルから丸見え。

(学士様、本当に3番ですか?)

そっと、戸に手をかけようとするが、躊躇ってしまう。

障子戸をへだて、見つめあう二人。

 

ハギョンが イノを連れて、世孫のもとにやってくる。

お見せしたいものがあります、と ジン(ヤンソン)の筆箱を見せるイノ。

これを、どこで・・・、ジンを見つけたのか?

居場所を知っております。どうやら、ソ・ジョンド様を殺した吸血鬼が ジンを捕虜にしているようです。

うわ~~ん、勘違いだから それ! ほんと、誤解だから!

 

ソ・ジョンドが殺されたとき、イノは、実際のシーンを目撃してはいなかったのね。黒い道被を来たものが逃げて行ったっていう情報が混同させたようす。

 

探しても見つからぬはずだ。

家も確認しております。

 

世孫から 連絡がないことをいぶかしむソンヨル。

「わたしは、世孫を買い被っていたのか?あの狩人を調べたか?サドン世子の側近であれば、秘策の秘密をしっているかもしれない。」

 

そこへ、前回にもまして、大量のおかずを作ってきたヤンソン登場!(笑)

上達は・・・。

ふと、気配を感じ、外にでるソンヨル。

「でかけてくる」

おかずを味見するヤンソン。別にふつうそうに食べてる。。。味音痴なのかな。

ソンヨルのことが気になって、外にでていくヤンソン。

 

そこにいたのは、世孫。

「いったい、邸下の裏には誰がいるのですか?私は、クィを倒す志を邸下にたずねましたが、来られませんでしたね。志がないということですか?ここには、クィの使いで来たのですか?」

「違う。友人を迎えにきたのだ。君が軟禁しているソ・ジンだ。ソ・ジョンドを殺した吸血鬼というのは君だったのか。」

「違います。彼を死に追いやったのは、私ではなくクィの仕業です。私は、クィに噛まれた彼を・・・」

「黙れ、やはり 吸血鬼など信用できぬ。」

「私とクィは違います。クィは私の仇でもある。」

「ならば、その仇を倒した後は?」

「この獣のような人生を 自ら終わらせます。」

「気が変わって、クィのように、人間の上に君臨するのでは?」

さすがのソンヨルもその言葉には黙っていられません。

「口を慎め。」

「ほらみろ、もう私に命令しているではないか。」

怒りに震え、世孫の首をつかみ、持ち上げる。

「これのどこが クィと違うというのだ。」

「私は、私は、人間の心をもっている。そのために、どれほどの辛苦をなめてきたか、あなたには想像もつかないはずだ」

世孫を腕一本でつるしあげているソンヨルをみて 驚くヤンソン。

「学士様・・・」

しかたなく、世孫を離すソンヨル

 

★第12話に続く★

少しずつ、心と体の傷が癒え、ヤンソンにも生きる気力が戻ってきました。誰かの命を犠牲にして生き続ける辛さを知るソンヨルの心からの言葉が整理をつけるきっかけになったのでしょう。お父さんをきちんと送ってあげたいと願う娘心としての優しさも。。。

 

気持ちの通じ合った二人を見ているのは、ほほえましいです。

韓国ドラマあるあるでも、よく取り上げられる「ヒロイン、無防備な寝姿をさらす」っていうのがありますが(笑)、ヤンソンもご多聞に漏れず。お姫様だっこで、部屋まで連れて行ってもらえるなんて、なんて羨ましい展開。

私なんて、そんなはしたないことしたことないですわ。わかってて誘ってるとしか思えない!!(by スヒャン)

でも、3番と言い続けるソンヨルも、影絵になった二人も、おかず攻防も、みんなみんな、つかの間の幸せ(涙)

 

ペク・イノ・・・どっかで見たことあると思いましたが、おおお、「検事プリンセス」のときの、ユン先輩ですね。わたし的には、けっこう久しぶりな感じです。やっぱり、時代劇だと、「この人誰だっけ、見たことあるのに~~」としばし悶え、結局、ギブアップしました。最初からおとなしく検索すればいいものを・・・「!」と事なきをえたのでした(笑)