■ 第8話 志を同じくする者

 

私の気持ちは・・・

お前の気持ちなど聞いてやるほど、私は暇ではない。

ただ、その理由だけですか?

私が官軍につかまれば、学士様の害になるから、と。

 

学士様の知りたいのです。

本心が気になると?一晩くらいの情交なら結ばないわけではないが、本心をどうこう言うそなたに耐えられるか?

口づけを避けるヤンソン。

どうした?もっと聞きたいか?愛していると?

 

そんなひどいことを言われなくても、学士様のお気持ちはわかっています。

はじめてでした。助けになれず、もどかしくて そんな自分がなさけなくて、そんな気持ち。

薬を差し出す。

私には、これくらいのことしか・・・。どうか受け取ってください。

 

動揺するソンヨルは、その想いを必死に隠し、目をそらす。

そんな彼の冷たい態度に傷つき、そのまま、去るヤンソン。

泣くな、泣くな、泣くな

自分に言い聞かせるが、しゃがみこみ、薬をかかえたまま、泣き始める。

 

なんてことだ。。

ヤンソン父がショックを受けてます。

10年前、サドン世子の親友、ソ・ジョンドの息子として育てられていたジン(ヤンソン)は、吸血鬼になった父親に、一瞬、肩を噛まれていたのね。

寸でのところで、ジョンドからジンを引きはがすソンヨル。

狂ったように、襲い掛かるジョンドに向かい、「しっかりしてください。」と声をかけるも、もはやジョンドは吸血鬼でしかなくて・・・。

ソンヨルが止めに、さんざしの剣で、心臓をつきさしたところを、チョ・センが目撃した。

 

チョ・センはヤンソンの実父を殺したソンヨルが「チョンヒョン世子備忘録」を探していると知って震え上がり、慌てて耽羅に発とうとする。

 

 

~地下宮殿~

そうか、キム・ソンヨルと会ったのだな。

(私を)領相の娘だと知ったので、また、会いにくるでしょう。

頭ではなかっていても、心はそう簡単には受け入れられない。

私がみても、命を差し出した恋人に、本当に似ているのだ。簡単には忘れられないだろう。

 

旦那様もわたしとの約束をお守りください。

「私を王の女にすると・・・」

「そうだな。そうしなければ、すぐに 世尊妃の座はお前のものだ。」

この話になると、ちょっと嫌そうな表情をするクィ。

 

チェ・ドガプが世孫のところに説明にやってくる。(ソンヨルの指示で)

「お探しの備忘録のことはしりません。他のものであれば、持っています。任命書です。

陰謀の罪をかぶせられたサドン世子。その嘘を白状させたものがこの書面で、自筆で書かれているので、十分証拠になるかと。

ノ左相の署名がされている。

「間違いありません。祖父の字です。」

ノ・ハンギョが確認する。

 

また、犠牲者が出た。

首に噛み跡のある護衛官たちの死体が、街中で見つかり、噂がかけめぐる。

 

その頃、ユンは淫乱書生の正体を明かす準備を進めていた。

告発文も大量に用意する。

『私は 亡くなったサドン世子の息子、この国の世孫で 淫乱書生だ。私は今から、宮殿に住む吸血妖怪クィに立ち向かう。』

 

世孫のビラがまかれるとき、王妃の死体を、ソンヨルが甦らせれば、世孫のいうことを世間が信じるだろう。

 

慌てる領相。

「とめなければなりません。」

それに対し、クィはいつものごとく、

「死人に口なしだ。噂をする民など、殺してしまえいい。お前がふさわしくないという王と 世孫も。こいつを捕まえてこい。そうすれば、お前を許してやろう。」

「許す?」

キム・ソンヨルの人相書きを見せる。

「キム・ソンヨル、ついにお前も終わりだ。」

 

今生の別れになるかもしれず、寺に、母をたずねるユン。

それを予見したかのように、

「私を残して、先に逝かないで」と言われてしまう。

そこで、ヘリョンと引き合わせられる。

1年計画で、母に取り入っていたヘリョン。。。

 

「お姉ちゃんは、また、続きを書こうと思ってるの。その名も『夜士外伝』」よ。」

少しだけ、話のさわりをはじめるが、結局、ソンヨルとの思い出につながり、自分が辛くなってしまう。

・・・だめね。面白くないわ。ふつうのを書かなきゃ。

夢だもの。目が覚めたら全部忘れる。

 

備忘録を持ち出すチョ・セイ。

こんな夜更けに、寺に供養に行くなんて。準備させられた夫人の機嫌は悪い。

「旦那様、私はこの本をどうしたら、いいのでしょう。」

サドン世子と仏に祈るセイ。

 

ヤンソンのランプに、ヒビが入る。不吉な予感がするソンヨル。

街中では、世孫の協力者たちが ビラをまく準備をしている。

 

羊の刻に、ビラをまきます。

ノ・ハギョンが告げる。最後まで、世孫が淫乱書生だと名乗ることに反対している。

これは 誰にも代わることができない私の役目だ。

 

ソンヨルは「クィを倒す」という同じ志を持っていることをユンに告げ、協力を申し出る。

そなたの正体を知るのが先だ。それでなければ、信じられぬ。

そこへ王がやってくる。

世孫、淫乱書生とその仲間をとらえることに成功した。

その者とは、ほかでもない本売りの チェ・ヤンソンという者だ。

王の衝撃的な言葉に、声も出ない世孫と 隠れているソンヨル。

 

出発の日。ソンヨルからもらった靴を置いてきてしまったヤンソン。父とともに、急いで 自宅に取りに戻る。

そこに、瀕死のウェソン(チョ・ドガプ)が倒れこんでくる。

「おじさん しっかりして。」

「サドン世子の無念をはらしてくれ。世孫殿下が、淫乱書生だ」と打ち明け、息を引き取る。

ヒョンジョの命令によって、官軍が ヤンソンを淫乱書生として捕らえる…。家から、続々と証拠の品が出てくる。

「違います。なにかの間違いです」

 

血相かえて、ソンヨルが ヤンソン一家のもとにやってくる

「ヤンソンはどこだ」

タムが驚く。

「忘れ物を取りに、家に戻りました」

すぐに 自宅に向かうソンヨル。

「あの方が、ヤンソンの言っていた学士様?」

 

計画は失敗する。世孫は、東宮殿に留め置かれる。

ノ・ハギョンは、淫乱書生の仲間として、投獄されました。

「絶対に、世孫殿下が淫乱書生などと口にしてはいけない」

牢のヤンソンたちを救い出そうとするソンヨルのことを、ヤンソン父は信用できず、大声で助けを呼ぶチョ・セン。逃げ出すことができない。

私のことを知っているのか?

父は、サドン世子様の個人的な冊契をしてました。理由はわからないけど、ずっと、学士様から離れろって。

一旦、退却するソンヨル。

 

華陽閣につれてこられる ヤンソンの妹と母。

「まさか・・・悪いことなんて できない人なのに」

備忘録があれば、ヤンソンたちを救えると 話すソンヨル。

「筆と紙を・・・」

自分が見たままの綴りを書いて見せる母。まだまだ、ハングルの読み書きができない人も多かった時代です。

「このように書かれているものが お探しのものですか?在処を知っています。どうか、娘と主人を助けてください。旦那様」

あの冷たいお母さんが。。。

家じゅうの本を探すが、既に、センが隠したあとで、荷物の中には見つからない。

「金色の包みだったのは覚えています。」

 

ヤンソンたちが牢から移される。

駆けつけるソンヨル。空っぽになった牢から、ヤンソンのにおいをたどるが、はっきりとは分からず。そこへ、クィと王がやってくる。屋根の上から立ち聞きするソンヨル。

(こんなに近くにいるのに、なぜ、クィは、ソンヨルの気配を感じないの??)

 

牢の前で、王とクィが対峙している。

「もう一度、言ってみろ。淫乱書生がどこにいるか、教えられないと? なぜだ?」

領相が、まずは、最初に捕えたときに、クィ殿に渡すべきだと訴える。

「道理を知る領相が捕まえたのであれば、そうできただろうな。奴がここに来たらしい。お前が言っていたもう一人の吸血鬼だ。事なきを得たが、また、連れ浚われたりしたら、かなわん。まずは、罪を認めるまで、秘密の場所に隠すことにした。吸血鬼でも探せぬところだから、安心しろ。」

「自白しなければどうする?」

「2日後に お前に引き渡す。彼らが、備忘録を持っていれば、それも一緒に。」

「王の言ってることは正論だが、心に響かぬのはなぜだ。信じていないからであろうな。」

「では、世孫の命を賭けよう。いまは、世孫も囚われ同然の身だ。余が不審な真似をしたら、殺せばよかろう。」

笑うクィ。

「溺愛している孫を担保にするのか。覚えておけ。世孫の命を助けられるのは2日間だけだ。」

 

宮廷はおろか 漢陽のどこにもいない。

誰もみつけられない場所に、王が隠したのでしょう。

その王のおかげで、世孫は、名乗り出ることができないのだ。

これだけは確かだ。どちらにしても、世孫を救うために、ヤンソンを淫乱書生に仕立てる気だ。

 

なにか言ってよ。さっきは驚いたよ。どうして、あんなに興奮したの?お父さん、学士様のことを知ってるの?学士様は 私たちを助けようとしてくれたのに・・・。

人を助けるだと?あいつが、誰を殺したと。

何を言ってるの?学士様が人を殺すなんて・・

そこへ、ノ・ハギョンが連れてこられる。

ノ様・・・?

なぜ?

ユンといつも一緒にいる学士様なのに、捕まえられてきたことが理解できないヤンソン。

 

生活のために、淫乱書生の本は売りましたが、書いたりなどしていません。

濡れ衣です。

拷問にかけられるヤンソンたち。

 

必死で探すソンヨル。

どこだ、どこにいるのだ。

ヤンソンの衣からの匂いでも辿れない。

 

コップン(センの妻)が訴えに来る。

「旦那様 思い出しました。前日に、持ち出していたんです。寺にいきました。」

 

寺には、ソ・ジョンド領監の位牌がまつられている。

思い出したソンヨル。サドン世子の側近でクィに殺された者だ。

なぜ、その方を、ヤンソンの父が供養をするんです?不思議がるホジン。

 

直接 取り調べをする ノ左相( ハギョンのおじいさんね )

「淫乱書生が、ヤンソンだと明らかにすれば、お前たちは助けてやろう。自白するまで、責め続けろ。」

ハギョンは自分の祖父を睨み付ける。

「殺さなければならないのは、私たちではありません。権力欲にとらわれ、国と民を吸血鬼に差しだし、私の父や、サドン世子や ソ・ジョンド様を見殺しにした王と忠臣たちです。この場には、私の父を吸血鬼に差し出した祖父が座るべきです。」

祖父を見据えて、はっきりと宣言するハギョン。

 

「私が淫乱書生です。」

ノ・ハギョンが自白をする。

しかし、もとから、ヤンソンを仕立てる計画になっているため、聞き入れられない。

 

焼き鏝を当てられそうになるヤンソン。

うちの子は、娘です。女の子なのです。

チョ・センの言葉に、泣きだすヤンソン。

 

ユン「あの子は淫乱書生ではありません。淫乱書生は私です。」

王「黙れ。」

ユン「あの吸血鬼にささげるのでしょう?父上をそうしたように、」

王「私は、息子を捨て、お前を守った。お前は いま何を守っているのだ。私が必死で守らねば、お前など、すでに、クィに殺されていた。」

ユン「すべておわかりになっていたのに、ただ、見守ってきただけですか。」

王「お前に、クィと戦う能力があるかどうかを見極めていたのだ。しかし、お前は、サドン同様、無分別な行動を起こし、民を、多くの者の命を落とすことになったのだ。」

志だけではだめなのだ。

ぐうの音も出ないユン。

 

そこへ報告にやってくる内官。

なんだと。男装した女人だと? なんと破廉恥な。淫乱書生でなくても、自然の摂理にそむいた罪は重いぞ。

ヤンソンの命乞いが難しくなったことを知るユン。

 

このままでは、ヤンソン含め、全員斬首です。

わかっている。ヤンソンの命と引き換えに、父親と取引する。

 

★第9話に続く★

今までは、数々の特殊能力を見せてきたクィやソンヨルなのに、ヤンソンの居場所ひとつ掴めないいってどういうこと~~?という大きな疑問には目をつぶり(笑)、緊迫感がただよってきました。

ヤンソンの白い肌に、焼き鏝なんて、めっそうもございません。

前半に あんな冷たい態度をとって、ヤンソンを泣かせたソンヨルも、自分を呪いたくなるでしょう。

 

でも、王様も死力を尽くして、クィと渡り合ってきたのだと、ようやくユンも気づいたようです。

人は、大事なものを失いかけると 大人にならざるを得ないのです。

その意味では、息子を犠牲にし、自分が矢面に立ち続けてきた王は、一枚も二枚も上です。

クィも、王の先を読む力に関しては、よくわかっているとみえて、譲るべきところは譲るしね。

短いやり取りの間に、先手をうちまくって、会話を続けている様子など、そこらへんのパワーバランスは、見ていて面白いです。

これで、領相が無能じゃなかったら、どうなっていたかな、このドラマ。

ま、ラブロマンスの順位は 確実に下がっていたことでしょう。

 

甘ちゃんを脱却するということは、大切なものを捨てるということ。

あああ、でも、どこかで 甘ちゃんユンのままでいてほしい自分もいます~~~。