■ 第4話 忘れられぬ人
いくら 黒い道被を来ていても、昼間の直射日光は、吸血鬼の天敵。
クラクラ~っと意識も朦朧としがちな状況の中・・・、ソンヨルは、自分の目を疑う。
ミョンヒに瓜二つのヘリョンを見かけ、思わず抱きしめてしまうソンヨル。
ヘリョンはそんなソンヨルを平手打ちし、冷たく背を向ける。
ヘリョンの従者にも乱暴を受け、意識を失ったソンヨルを看病するヤンソン。
120年前、ミョンヒの血を吸わざるを得なかったあとのソンヨルの様子が、夢の中の出来事として描かれる。うわ言を言いながら、うなされている様子は、見守るヤンソンでさえも、もらい泣きをしてしまうほど。
ヤンソンの涙が、ソンヨルの吸血本能を刺激するが、なんとか思いとどまった鉄の意思の男!
一方、ヤンソンは、おじさんと慕っている貸し本屋の主人ウェソンをつけて、父のチョ・センと共にサドン世子の冊契(本売り)として働いていたことを知って驚く。しかも、父親には、二度とその本のことは口にしてはならない、そうしなければ われわれ家族は殺されるのだ、と頬を叩かれてしまう。その権幕に驚くヤンソン。
ウェソンの書店に争ったあとがあり、店主が消えた。
この件で、お前以外、信用できるものはいない、と、200両で、必要な書を探すソンヨル専用の冊契になるよう、依頼されるヤンソン。
そんな中、ヒョンジョはユンに淫乱書生の追捕を命じ、サドン世子の命日に宴会を開けと指示。
~地下宮殿~
ああ、罰だ、罰があたるだろうとも。
死んだサドン世子の命日に宴だと?それも 父親が死んだ場所で。
やらせる王も王だが、受ける世孫も罰を受けるだろう。
領相から情報を得るクィ。
「王様は大きいことを言われますが、命が惜しい方です。どうせ、取りやめになさるでしょう。」
「王がおまえほど単純なら、話は簡単にすむのだがな。」
ソンヨルは、命日に行われる追悼のときに、淫乱書生の続編の偽物を配布することにした。
官軍がやってくれば、参列した人たちが危険な目にあうが、逆に本物の淫乱書生が助けにくる可能性も高い。
ソンヨルは、ヤンソンが何かを隠していると考えている。
スヒャンは、ソンヨルがヤンソンを手元におくことを危険視し、再三、ソンヨルに注意するが、ソンヨルは聞き入れない。
備忘録を探すことが最優先だ。
それだけじゃないって、スヒャンも ホジンも知ってるもん。
ミョンヒ、ミョンヒ、ミョンヒ・・・
ヤンソンは、亡くなった愛する人へ今も強い愛情を持ち続けているソンヨルの姿を見て、少しショックを受けている。
一方、ヘリョンもまた、それほどまでに 人を愛するということが理解できない一方で、なぜか それを否定できない自分に戸惑う。
クィはクィで、袋の持ち主を探すことをあきらめない。
今夜も 森に出向き、同じ時分に歩いている者に声をかける。
「ちょっとこれをお忘れではないか?」
後ろ姿は似ているが、香りが違うな。
クィの餌食となった通りすがりの人。。。
首に噛み跡のある死体が見つかり、街中は大騒ぎとなる。
クィの存在をいつまで隠せるか、心配になる王。
ソンヨルは、追補と同じ日に開かれるサドン世子の鎮魂祭で淫乱書生の小説の続編が配布されるという噂を広める…。
ヤンソンも、続編を手に入れるために、鎮魂祭に参加することに。
そのとき、官軍に追われる参加者たち。
しかし、実はその官軍は、ソンヨルたちが用意していた偽物。(参列者は、安全な場所まで来たところで、解放される)
しかし、その混乱の際、香箱を落とすヤンソン。
さっきまで昼だったのに、すぐに 夜になってしまう「夜歩く士」の世界(笑)
ソンヨルが捕まったのではないかと、森を探し回るヤンソン。
転んでけがまでしちゃう。。。
もちろん、ソンヨルが助けに来るのは、お約束。
いつでも、なぜか風のように現れて、自分を助けてくれるソンヨルの気持ちがわからず、もどかしいヤンソン。
ライティングの加減か、ヤンソンをお姫様抱っこしながら、森の道を歩くジュンギ様が美しすぎて、間違いなく名シーンねらいな感じですが、悔しいかな、成功してます(笑)
「私は、チェ・ドガプとかいう人じゃありませんよ。」
本屋のおじさんウェソンことチェ・ドガプが、世孫イ・ユンの手元に連れてこられる。
ユンは、自分の身分と目的を明らかにし、なんとか 貞顕世子の備忘録を渡すよう、厳命する。舌を噛み切ろうとするドガプ。
吸血鬼の存在を知らせる怪文書がまかれる。
一枚残らず、回収するよう、命じる王。
「キム・ソンヨル・・・偽の淫乱書生の本の続編を書いてまで、淫乱書生を守るとは。
さて、そろそろお前の出番だな。」
クィの視線の先には、ヘリョンが立っていた。
血の入った器をクィに差し出すヘリョン。
ヘリョンの顔をまじまじと見つめ、
「似ている。いや、同じだ。あの女が生きて戻ったといっても、信じるだろうな。」
「ミョンヒという方ですか」
「お前をそう呼ぶ人間に会ったのか?」
「まだ、逢えておりません」
「確かに、お前が漢陽に来て何日たった? 体の調子はどうだ?」
「おかげ様で完治しました」
ヘリョンを見つめるクィの雰囲気は、いつもと全然違う。
「お前をミョンヒと呼ぶ男が現れたら、何としてでも、俺の前に連れてこい。」
「かしこまりました」
本屋で寝込むヤンソン。まだ、足袋に血がにじんでいる。
もう私を探しまわらないで。悪い学士様、悪い男。
怪文書の裏に書かれたヤンソンのかいたメモを読んでしまうソンヨル。
うたた寝から目覚めるヤンソン。ふと気づくと、足の痛みが消えている。足袋を脱ぐと、森での怪我が治っている。
なんで?いつのまに??
ソンヨルが、またまた 自分を心配してここにきたことも、傷を自分の血で治してくれたことも、今はまだ、何も知らないヤンソン。
ヤンソンのメモ書きをもってきてしまったソンヨル。
★第5話に続く★
今回は、ヤンソンの切なさ序盤編ってところでしょうか。
私をもう探しまわらないで。私に会いにこないで。
こんな強烈な誘い文句を無自覚に繰り出す乙女、おそるべし。
私を探して。私を見つめて。
ヤンソンは「太陽の明るさとぬくもりを持つ女」だけあって、内面には灼熱の情熱を秘めています。
それに対して、ソンヨルは 風かな。木立をぬける穏やかな涼風のときもあれば、人の命を奪いかねない暴風となるときもある、そんなイメージです。
そんなことを言っても、引き合うものは引き合うのですが・・・。
ヘリョンが これから、クィの元で、本格的に絡み始めます。
自分の野心のため、先手先手を打ちながら、立ち位置を守ってきた彼女は、たった一人で、クィと対峙し続けてきました。
それでも、人間ではないソンヨルによって、人間の心の愛しみという気持ちの一端に気づかされることになるヘリョン。
もし、生まれ変わりというものがあって、ミョンヒの魂がヘリョンの根底にあるのなら・・・本能的なストッパーなのかもしれません。
なにしろ、ミョンヒとは別人のような、「氷の女」
ただ冷たいだけではなく、その姿を保ち続けるために、あえて、心を冷たく保つ無情。それでいて、触れた瞬間に感じる「痛みと熱さ」が刺激的な女。
闇の象徴であるクィの動きは、どうしても月をイメージさせます。常に一定の形を保たない月のように、あまりに制限の多い生き様の裏には、虚勢と、「明るい世界への渇望」と「孤独への恐れ」を感じます。