ファンタジーランド
ある日、ボミカとサーガル、ウッジャルと一緒に遊園地に行った。
といっても、小さなミリクの町に一時的に設営されただけの特設遊園地。
日本で見られるテーマパークのような大きな遊園地には程遠いけれど、デパートの屋上で見られる子供の遊技場よりは大きいといった規模だ。
ちょっと遠出をすればいくらでも遊び場のある日本とは違って、ボミカにとってもサーガルにとっても、このミリクにできた遊園地はきっと唯一のファンタジーランド。
一回20ルピー(50円程度)の観覧車や、10ルピーのメリーゴーラウンドは、僕にとってちゃちなおもちゃでしかないけれど、ボミカとサーガルにとっては夢の世界なのだ。
夢中で乗り物に乗っている二人が時々僕に向かって大きく笑顔で手を振ると、おもわずこちらまで顔がほころんでしまう。
「ったく、おまえらいつまでたってもガキだぜ」
そんな様子で外から眺めていたお兄ちゃんのウッジャル。
それを見ていたら、なんだかおかしくなった。
ウッジャルだってほんとは乗りたいくせに。
きっとボミカとサーガルは言うだろう。
なんだかんだ言って、三人は仲良し。
そんなシャルマ家の子供たちを見ていてふと思った。
この小さなファンタジーランドで夢を見させてもらっていたのは子供たちではなく、むしろ僕だったのかもしれない。