逢わせ鏡<教師編> 第1話 | 主婦の空想世界 my novels and photos

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 歳を重ねると、階段1つ上がるにも

とても体力を使います。

たとえそれが、幼い子供も簡単に上がれるような

低い段差でも…。

あれから…69年経ちました。

当時25歳だった私は、今年で94歳。

ずいぶんと、長生きしてしまいました。

誰かに支えられなければ

身の回り1つにしても、満足にできない自分に

とても情けなく、泣きたくなる毎日を送ってますが

今日だけは…頑張らなくちゃね…。

私は、とても高く見える最上階を

恨めしげに見上げて溜息をつき

正直、誰かにおぶさりたい気持ちをかなぐり捨てて

一段、一段上がります。


 長期休暇に入った校内は、

水を打ったように静まり返っています。

グランドで部活動に励む生徒達の

元気な掛け声を遠くに聞きながら

私はやっとの思いで

4階(最上階)にある視聴覚室へ着きました。

ここは、私の大切な生徒達との交流の場。

『逢わせ鏡』と題した本をバックから取り出し

付録の鏡を、白い壁と向かい合わせにして置きました。

私はこれから、この本の第25章にある

『死んだ教え子との再会の方法』を実践します。

とても古い映写機を回して

映像を映し出すと…。


※次回へ続く


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