THAT SCENE
suffering from acaseがCDをリリースしたというので
UNIONのパンクマーケットに買いに行ったのは二日前。
やっとウチでじっくり聞ける余裕ができた。
凄い。メチャメチャカッコいい。
カッコいいという言葉は漠然としていて、あまり使いたくないのだが、それにつきる。
それだけこの音源には”強さ”を感じてしまうということだろう。
このバンドを動物で例えるなら犬だろうな。それも、野生化した捨て犬。
とにもかくにも筋力がうずく。野生の血がさわぐ。
外に飛び出し犬のごとく走り出して、叫びたくなる。
この疾走感はたまらない。タッチ&ゴーのすばやさにぐっときてしまう。
ダダダッッ! ビューーーン!!! てなぐあいに。
スタートからのダッシュ、風を切って無我夢中で走る気持ちよさを
3ピースのシンプルな楽器構成の中から感じてしまうのはごくまれなことだろう。
それだけ、メロディセンスで勝負していることが良く分かる。そこに誤魔化しは無い。
そして、ボーカルの声。シャウト感。
それは自分が日ごろ溜めたグツグツねちっこいフラストレーションの塊を吹き飛ばすほどの破壊力がある。
何でこんなにムカついているのだろう。何故か分からないけど、そのシャウト感を自分も一緒に共有したくなる。
拳を突き上げて一緒に叫びたくなる。その荒々しさはアバラ骨につきささってくるのだ。
憎しみや、悲壮感。ムカつき、安らぎや陶酔にも似た感情がである。でもそれはネガティブなものではなく、
ポジティブな感情として発せられるのだ。
そのポジティブな感情はこのCDの中ジャケットの写真からも伝わってくるだろう。
メロディックハードコアのライブなのにもかかわらず、客であるパンクス達が目を瞑り気持ちよさそうに聞き入っている写真。
自分も目を瞑りそのシーンに投身する。そして聞こえてくる。
ハートが崩壊するほどの轟音を味わうのである。スゴクウルサイ。でもそこの空気はとても気持ち良くてみんな笑っている。
気づいたら、もうこのCDの6曲は終わっていて、あっという間に20分程の時間は過ぎていた。
そして僕の心には崩れ去ったフラストレーションの断片が嵐の後の水たまりの様に残っているのである。