今回は主な候補者の顔ぶれを見てみたいと思います。
【ポイント】
・マルコスとサラによる1・2位連合
・反ドゥテルテ
・反マルコス
マニー・パッキャオ
ご存じ8階級(日本では6階級という認識)制覇のボクシング界の英雄。
与党PDPラバン内の『反ドゥテルテ派』。下院議員を2期務め、現在は上院議員を務めてました。
実は20年にBGC近郊のUniversity of Makatiという大学で政治学の学位も取得したりしています。
(MBA取ろうかな、と思って大学に情報収集に行ったら対応してくださった教授が言ってました)
マルコス・ジュニア
2010年から2016年まで上院議員を務めたフィリピンの政治家。世論調査では優勢な位置に付ける。
独裁政治を築いたフェルディナンド・マルコス元大統領と贅沢な生活ぶりで有名なイメルダ夫人の息子です。
通称ボンボン・マルコス。
イスコ・モレノ
現マニラ市長で、スラム街出身の元俳優。
ドゥテルテ政権による『麻薬戦争』など超法規的措置も辞さない強権姿勢を否定。
(マニラ市と、一般に言う“マニラ”とは別です。マニラと言えばイコールメトロマニラ全域を指し、
言ってみれば東京首都圏が神奈川千葉埼玉含む、みたいな括りで、マニラ市はその中の1つの市。
いわゆるロサンゼルスを指すグレーターL.A.とロサンゼルス市の違いに近いです。)
レニー・ロブレド
現副大統領で反ドゥテルテの急先鋒。
フィリピンでは大統領と副大統領が別々に選ばれるので、政党や政治的立ち位置が異なる、という事が起きます。
このコロナ禍においても、大事な会議に一度も呼ばれていない、とかそれくらいの事をやってのけるフィリピン議会です。
ボン・ゴー
ドゥテルテ大統領の腹心。党内ドゥテルテ派からの立候補で、言うなれば最も『正攻法』の人。
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サラ
ドゥテルテの娘で最近まで地元ダバオ市長。なんとマルコスとタッグを組み副大統領候補となることを決定。
世論調査人気1位のマルコスと、立候補を表明していなかったものの待望論が強く2番人気だったサラが組むことに。
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【結論】
候補者の争点は、①反ドゥテルテかどうか、②マルコス、③人気の高いサラがマルコスと手を組んだ、の3点に集約されます。
①に関しては文字通り現政権を批判する人たちですが、イスコの様に中国に対して宥和的な人もいれば、
パッキャオのように同じ政党なのに反ドゥテルテ、だけど中国に対しては同様に対抗姿勢の人、ロブレドの様にとにかく嫌い、と様々です。
②のボンボン・マルコスは知名度や世論調査ではナンバーワンですが、根強い『反マルコス派』も多いのも事実です。
(父親のマルコス政権時の人権侵害、GDPの下落、不正や汚職などの悪いイメージが根強い)
③そんな2家族が手を組んだんので、かなりのインパクトを与えています。
元々ドゥテルテ家とマルコス家は概ね良好な関係で、強権であるものの国の立て直しに成功している側面も多々あり、
そこを評価する感情と独裁マルコスを否定する感情とがぶつかり合っている状況です。
現時点ではマルコス・サラ陣営が有利とも言われていますが、日本の総裁選やアメリカの大統領選と異なり、
いろんな角度の色んな人が入り混じる混とんとした模様は、フィリピンならではかもしれません。