福島県と長崎県の子供たちの甲状腺検査結果の比較(後編) | 福島原発事故★自主避難者として生きる

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福島原発事故の原因や汚染の現状、放射能や放射線の健康被害や影響。避難は必要か?など福島原発事故を判断する材料になる資料を集めました。

山下俊一放射線健康リスク管理アドバイザーが中心になってまとめた、2つの資料を比較しようと思います。


今回の2012年福島県の子供を対象とした甲状腺検査結果(※1)と、2000年長崎県の子供の甲状腺検査結果(※2)です。


比較するための、資料の地ならしを①~⑥まで掲載してあります。なおこの記事は、精神科医のかたが執筆されている意識屋のブログ の記事の結論を、その過程も含めてビジュアル化してみたものです。


①まず、2012年福島県の子供達を対象とした甲状腺検査結果から、該当者のいなかった検査結果をのぞきます。

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

結節なし

嚢胞なし

経過観察 24468人 64.2%
A2

0.5cm以下の結節あり

2cm以下の嚢胞あり

経過観察 13460人 35.3%

0.5cmを超える結節あり

2cmを超える嚢胞あり

二次検査 186人 0.5%
直ちに2次検査が必要 二次検査 0人 0%

                  ↓

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

結節なし

嚢胞なし

経過観察 24468人 64.2%
A2

0.5cm以下の結節あり

2cm以下の嚢胞あり

経過観察 13460人 35.3%

0.5cmを超える結節あり

2cmを超える嚢胞あり

二次検査 186人 0.5%

②次に、結節と嚢胞の2つの異常を、大きさでA2とBの2つに分類していた表から、結節を対象外にし、嚢胞のみに書き換えます(※3)。

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

結節なし

嚢胞なし

経過観察 24468人 64.2%
A2

0.5cm以下の結節あり

2cm以下の嚢胞あり

経過観察 13460人 35.3%

0.5cmを超える結節あり

2cmを超える嚢胞あり

二次検査 186人 0.5%

                  ↓

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

嚢胞なし

経過観察 24734人 64.897%
A2

2cm以下の嚢胞あり

経過観察 13379人 35.1%

2cmを超える嚢胞あり

二次検査 1人 0.003%

③さらに、嚢胞のある、なしで分類するためにA2を統一します。

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

嚢胞なし

経過観察 24734人 64.897%
A2

2cm以下の嚢胞あり

経過観察 13379人 35.1%

2cmを超える嚢胞あり

二次検査 1人 0.003%

                  ↓

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

嚢胞なし

経過観察 24734人 64.897%
A2 

嚢胞あり

経過観察等 13380人 35.103%

④検査結果のA1やA2、Bなどの検査結果の分類は福島県の調査で使われた指標ですから削除します。対応も、福島県の調査特有ですので削除します。

検査結果 内容 対応 人数 割合
A1

嚢胞なし

経過観察 24734人 64.897%
A2 

嚢胞あり

経過観察等 13380人 35.103%

                  ↓

内容 人数 割合

嚢胞なし

24734人 64.897%

嚢胞あり

13380人 35.103%

⑤これで一応、完成です。

【2012年福島県甲状腺検査】

内容 人数 割合

嚢胞なし

24734人 64.897%

嚢胞あり

13380人 35.103%

【2000年長崎県甲状腺検査】
内容 人数 割合

嚢胞なし

248人 99.2%

嚢胞あり

2人 0.8%

⑥このままでは、分かりにくいので表を統合して、福島県と長崎県の区分をして比較してみます。調査人数の規模があまりにも違うので、パーセントのみ記載。さらにパーセントは、小数点第二位以下を切り捨てました。

内容 福島県 長崎県

嚢胞なし

64.8%

99.2%

嚢胞あり

35.1%

0.8%


つまり嚢胞ありの甲状腺に問題が見つかる子供の割合は、長崎県では1%未満だったのに対して、福島県はその35倍もあったということです。


逆を言えば長崎県の場合、嚢胞なしの正常な子どもが99%なのに対して、福島県では64%まで減少しています。


※2012年9月11日、福島県発表の最新のデータと長崎県とのはこちら です。



※1http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/240426shiryou.pdf


※2https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj1993/48/5/48_5_591/_pdf


※3 ※1のpdf資料の14ページの一番下にいきます。そこに(参考)として「結節を認めたもの」と「嚢胞を認めたもの」に分類した表があります。この表の「嚢胞を認めたもの」の、『20.1㎜以上』1人はB、『20.0㎜以下』13,379人はA2判定となります。A1については、14ページの上のほうに「検査実施総数」38,114人とあります。この総数38,114人-1人-13,379人=24,734人がA1となります。