ヨダレカケです。
先月末のお休みに定例の魚類相調査に行ってきました。昨年からはじめて11ヶ月目。今月がとうとう最終調査となりました。

地味ですが、なかなか興味深いデータが獲れています。一年間を通じての調査で瀬戸内海の定点に潜ることは初めてでしたので、一年間の出現リストだけでなく、藻場の消長、ベラ類やハゼ類の消失や出現、同属のハゼの出現が種によってずれているなど、いろいろな驚きがありました。特に、幼魚の出現が視覚的に見て取れたことは、新鮮な感動を覚えました。これから今後の博物館研究報告などを視野にデータ解析を進めていきます。

9月度の調査では、一緒に調査を行っている生物圏科学研究科の博士課程Tさんが、面白いものを拾ってきました。

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アサヒアナハゼという魚が、ウミタナゴの一種を捕食したままの状態で、水底で絶命していたそうです。口からウミタナゴ尾びれが突き出ています。アサヒアナハゼは、藻場や岩場の隙間に隠れて近くを通過する小魚に飛びかかって丸飲みする「待ち伏せ型採餌(まちぶせがたさいじ)」を行います。想像するに。。。。。

「おっ!いいエサみ~つけっ。。もう少しこっちまで来い。。。こい。こい(うぅ~まだやでまだとんだらいけんで俺)。もう少しや!」

「よし!きたぁ~~~~いけぇ~~~~」「ガブ!!!!!!」

「よっしゃぁ~~~~~喰ったでぇ~~大物や!久しぶりの獲物やぁ!俺ってやるじゃん!」

・・・・・・・・・・・・・・・・「あれ???????」

「なんか、飲み込めない!?小魚のヒレがかえしになって吐くに吐けないえっ。これってまずくない??なんか苦しい!!!!!!」

「うぅ~~~~もうダメ。。。。。。」絶命。


っと、こんな感じかなぁと察します(擬人化するのはあまりよくありませんが)。本館にも、魚を食べている状態で化石なったものがあります。よく、解説では、1.食べてる途中に土石流に遭った。2.食べ過ぎで死んだ。などと説明して笑っていましたが、あながち、嘘ではないかもしれませんね。人間も気をつけないといけませんね。

ちなみに、アサヒアナハゼのお腹の下部には、突起物が出ていますが、これは生殖突起という魚類の交尾器です。この個体はオスということになります。一般に魚類の多くは、メスが卵を「産出(放卵)」し、その横でオスが「放精」する「体外受精」するタイプが大半ですが、この魚は、交尾器を用いて交尾するタイプ、すなわち体内受精するタイプです。ですので、小さな赤ちゃんが「わらわら~」っと産仔(さんし)されます。中国地方では、昔からこのような形態にちなんだユニークな地方名がついています。