さて、サヤ取りシリーズを御贈りしておりますが今回は値差について
の解説を行います。まず値差を含めてサヤ取りの基礎が不安な方は
下記記事を参照してくださいね (^-^)/
参考 : サヤ取りの理解
サヤ取りで重要なことは求めた値差の特徴がどのようなものなのかを
把握することです。この把握によってサヤ取りが行えるかどうかが決定
します。
ん? サヤ取りが行えるかどうかって (+_+)?
そうなのです。サヤ取りは全ての銘柄間の値差で行えるわけではないの
ですよ。もちろん売買はできます。ただ、それがサヤ取りとして意味があ
るかどうかは別問題です。通常、
サヤ取りはサヤ取りを行う理由があるか?
を考えて行います。このサヤ取りの理由については次の記事で扱います
ので今回の記事は、
値差の特徴を知る o(^▽^)o
ことを中心に解説していきます。
【値差の特徴の前に銘柄間の特徴を知る!】
値差の特徴といってもイメージしにくいと思います。ではイメージしやすいよ
うに値差を求める銘柄間の特徴から解説していきましょう (^-^)/
銘柄間の特徴ってのは、
互いに同方向へ動く関係なのか?
それとも互いに逆方向へ動く関係なのか?
ということを意味します。まあ、金融危機の際やビックイベントの際には債券
以外の全市場は同方向に動くことが多いのですが、ここでは、
平常時の動き (ノ゚ο゚)ノ
に注目します。そして互いの関係を知るには、
相関係数 Σ(・ω・ノ)ノ!
を見れば良いことは多くの方が知っていることでしょう。相関係数についての
知識は下記記事を参照してください。
参考 : 相関係数とは?
そしてサヤ取りに適した銘柄の組み合わせを先に示しておきます。それは、
互いに正の相関が強い銘柄が最適
である可能性 (ノ´▽`)ノ
となります。例えばNYMEX原油の2012年4月限と5月限の2012年8月15日か
ら3月17日までの日足の終値の相関係数を計算しますと、
0.999219
上段:4月限
中段:5月限
下段:値差
となります。次いで住友化学と三井化学の相関係数を同条件で計算しますと、
0.765705
上段:住友化学
中段:三井化学
下段:値差
となります。どちらも高めの正の相関なのでサヤ取りに適した組み合わせで
ある可能性があります。あくまでも可能性のレベルであることを間違えないよう
にしてください (^-^)/
【値差の特徴を知る!】
最適な銘柄の組み合わせと同じ方法で求めた値差と銘柄との関係を調べること
で値差の特徴を知ることができます。要は、
銘柄Aと値差、銘柄Bと値差の相関係数を計測 o(^▽^)o
するということです。まずは先の例題を使って調べてみましょう♪
■ NYMEX原油の各相関係数
NYMEX原油 各相関係数 | ||
4月と5月 | 4月と値差 | 5月と値差 |
0.999219018 | -0.228052175 | -0.266346802 |
■ 住友化学と三井化学の各相関係数
住友化学と三井化学 各相関係数 | ||
住友と三井 | 住友と値差 | 三井と値差 |
0.765705196 | 0.845943337 | 0.304746579 |
さて、この結果は何を意味しているでしょう。1つづつ相関係数の値と
その値が示す意味を理解していきましょう。
・ NYMEX原油
4月と値差 ⇒ 負の値であるため互いに逆相関 & 相関具合は比較的低い
5月と値差 ⇒ 負の値であるため互いに逆相関 & 相関具合は比較的低い
・ 住友化学と三井化学
住友と値差 ⇒ 正の値であるため互いに順相関 & 相関具合は高い
三井と値差 ⇒ 正の値であるため互いに順相関 & 相関具合は比較的低い
まあ、相関係数の値の解釈そのままで疑いようがない結果ですね (;^_^A
で、同時に明確な値差の特徴も導かれているのですよ。結論を先に述べ
れば、
・ NYMEX原油の値差 ⇒ 求めた値差はNYMEX原油4・5月限のどちらとも関係が低い
・ 住友化学と三井化学の値差 ⇒ 求めた値差は住友化学と関係が高い
ということです。そして、この明確な値差の特徴から重要なことが導けます。
・ NYMEX原油の値差はNYMEX原油の動きと関連が低いサヤ取りとなる
・ 住友化学と三井化学の値差は住友化学の動きと関連が高いサヤ取りとなる
何か気づきませんか?住友と三井の値差は住友の動きとの関連が強いと
いうことは、
住友化学と三井化学の値差は住友化学
を売買することに非常に近い Σ(゚д゚;)
ことも意味するのです。つまり、値差変動を分析しても結局は住友化学の
変動を分析しているにすぎず、逆に住友化学の変動を分析することは、住
友化学と三井化学の値差を分析していることになるわけです。
ここで疑問が生まれませんか?
サヤ取りをする理由とは何でしょう?
一般的にサヤ取りをするメリットは以下のように語られます。これはネットで
調べればわかるので調べてみると良いでしょう。
ⅰ) ローリスク・ローリターン
ⅱ) 急落・急騰に左右されない
ⅲ) どのような局面でも狙うことができる
ⅳ) 勝ちやすい
果たしてそうなのでしょうか?銘柄間の値差が片方もしくは両方の銘柄の価格
変動に似ている場合にも上記のメリットは通用するのでしょうか?
ん?ん?となりますよね?
ということで値差の特徴を知ることで、サヤ取りをする理由をしっかりと考えない
といけないことに気付きます。既に、この時点でネットに出回っている情報には
多くの間違いがありそうだと感付かれるでしょう。それもそのはずです、
勝つことを理由にサヤ取りを導入
すること自体が間違い ヽ(`Д´)ノ
だからです。サヤ取りは取引手法の1種に過ぎず、決して勝つための取引手法
ではありません。サヤ取りを導入するには、
ⅰ) トレードスタンスの決定
ⅱ) トレードスタンスに従った想定ポートフォリオ
ⅲ) サヤ取りに適した組み合わせを抽出する技術
ⅳ) 値差変動を理解するためのアプローチ方法
をしっかりとしておかなければならないのです。そして、決して統計学的に攻略
できるほど甘くもありません。実際は、アウトライト(通常の片張り)と環境は同じ
なのです。さらに、
何に対してサヤ取りを行うか?
によって求められる技術レベルが異なります
ちなみに一般的に知られている
株式におけるサヤ取りは技術度MAXです。最も難易度の高いサヤ取りに初心者
の方が群がる・・・
危険ですねえ (-_-
営業の賜物ですねえ (´_`。)
チャレンジャーですねえ (ノ゚ο゚)ノ
次回は「サヤ取りをする理由について」です (^O^)/